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18話 『名前』

 立ち上がり、遊んでいる女の子と巻き込まれているスケルトンナイトを横目に俺は自分のステータスを確認した。


『ステータス』


  名前:櫻井 槙人

 レベル:10

  所持金:1640円


 HP:56

 MP:79

 スタミナ:49

 STR:3

 DEX:28

 AGI:47

 INT:73

 LUCK:150


   スキル: 【低位モンスター召喚】 【モンスターテイム】【光魔法レベル1】【守護魔法】


 ステータスを見てみた感じ、どうやら意外と上がっているようだ。まぁ7レベルも上がれば当然といえば当然だろう。

 あとは、光魔法と見たことも無い守護魔法というスキルだ。


「ふむぅ……まだ光魔法はダメか」


 光魔法を見た感じ、まだ変化はないようだ。あとは守護魔法を調べないといけない。


『守護魔法』


 魔法障壁


 俺に使えるのはどうやら魔法障壁という魔法だけのようだ。詠唱が短ければ有用だが、長ければ使い方も変わってくるだろう。


『魔法障壁』: 弱き者を守護する盾となれ。


 詠唱自体は短く、扱いやすいようだが、何故かこの魔法にはリキャストタイムというものがあった。

 連続的に使用は出来ず、時間を置いてからしか再度使えないということだ。


「魔法障壁の効果は中々だけどなぁ……」


 魔法障壁はダメージを術者のHPの三割分耐えることが出来る魔法だ。ただ、障壁が展開されてる時間は180秒。それに加え、リキャストタイムは300秒だ。


 もちろん、三割以上与えられれば障壁は壊れるが、それはまぁ俺のかHPが増えれば問題はないだろう。


「まぁとりあえず強くなってからいいか!」


「ねぇねぇ! なにしてたのー? 一人でブツブツ呟いてたけど……」


「なっ! いつから聞いてた!!遊んでたんじゃ!」


「んー。結構前かなー?」


「はぁ、まぁいいや。あ、そうだ。お前のステータスも見てやるよ」


 本来、レベル10というのはまた三つの内から一つスキルを選べる筈だが、今回は自動で一つだけ選ばれていた。仕様が変わったのかはよく分からないが、まぁ悪くはないスキルだし、ひとまずは女の子のステータス確認をするとしよう。


『ステータス』


 名前:無し

 レベル:1

 所持金:0円


 HP:14

 MP:650


「あれ? 続きが出てこない?」


「どうしたの? なんか変な部分があった?」


「あー、まぁMPが少し数値がおかしいんだが、それ以上にな。なんかレベルとかHPとかMPは見れるんだけど、肝心の攻撃力とかの部分が見えないんだよ」


「なんでだろーね? 私がプレイヤーじゃないからとか?」


「うーん。かもなぁ……」


 こいつ以外に他にプレイヤーを知らないからまだどうして見えないか分からない。

 とりあえずHPが見れれば守るのにはなんとかなるから大丈夫だが、村や街に着いたら少し考えてみる必要がありそうだ。


「あ、そうだ。お前の名前が無いらしいんだけど、なんか覚えてることとかないか?」


「うーん。名前は確か無かった気がするなぁ……呼ばれ方は確か番号だった、かな?」


 番号……ってことは多分ダンジョンコアも運営? いや、俺たちをこの世界に連れてきた奴らが量産しているのかもしれない。

 まだ不確定な情報だが、ひとまずこの子にも名前を付けてあげよう。

 番号だとなにかしら不便にもなるだろうし。


「なぁ、もし名前が無いんならさ、俺が名前付けてもいいか?」


 名前を人に付けられるのは嫌かもしれない。けど、やっぱり名前ってのは必要だと思う。

 もちろん呼ぶ為もあるし、それに、名前が無いってのはなんか悲しい気がする。


「ほ、ほんとに?」


「あ、あぁ。でも名前を付けるのは俺でいいのか?」


「うん! むしろ貴方が良い!」


「分かった。それじゃ、名前を言うからな。ちゃんと覚えるんだぞ? お前の名前は今日から()()だ。あ、それと俺の名前は槙人だからな。ちゃんと名前で呼べよ?」


「シロ……」


 女の子はまだ俯いて俺の決めたシロという名前を何度も呟いている。もしかしたら嫌なのかもしれない。


「あ、あれだ。嫌なら別に違うのにするからな? ただ、お前のその綺麗な銀の長髪を見たらその名前が浮かんだんだよ。嫌なら納得のいく名前まで幾らでも考えるからな」


 名前は大事だ。名前だけで印象なども決まってしまう。それに、自分が嫌だと思う名前は付けられたくないだろう。


「ううん嫌じゃないよ……だけど、本当にシロって名前貰ってもいいの?」


「あぁ。俺なんかが考えた名前だけどな。喜んでくれるなら嬉しいよ」


「……うん。ありがとう。それと、遅くなったけどね。私を助けてくれてありがとう。閉じ込められて、暗い世界に居た私を明るい世界に連れてきてくれてありがとう。けど、あの時本当に殺してくれても良かったんだよ?」


「そういう事言うなって。シロはもっと子供らしく外で遊べばいいんだよ。それに、なんていうか、モンスターも居るけど一人ってのは少し寂しいんだよ。だからな、もう二度と殺してくれなんて言わないでくれ」


 突然こんな事を言われたらどうにも対応に困ってしまう。

 こんな子供が殺されてもいいだなんて言わないでほしい。聞きたくもない。だから、俺は少しだけ不機嫌な声で最後に俯きながら言ってしまった。


「ごめんなさい。最後のはちょっと冗談で言っちゃいました。私の悪い所ですね」


「……あ、あぁ。俺こそごめん。ちょっと怖がらせたかもしれねえ」


「大丈夫ですよ。全然怖くないです。むしろ少しずつ好きになりそうです」


「ばか。お前みたいな子供に好意を抱かれても俺はなんの反応もしねえよ」


「……むぅ……」


 頭を撫でながら俺の言葉を聞いたシロはまた口を膨らませてしまった。


「……マキト。私はお腹空いた。何か食べたい……」


「わかったわかった。んじゃ、とりあえず村でも探そうぜ」


 どうしてシロが俺に好意を抱くのかは分からないが、所詮は子供の言葉だ。俺に幼女趣味はあんまり無いが、多分シロも本心では言っていない。


 だから、もっと大人になってそれでもシロが俺に好意を抱いてくれるなら応えようと思う。

 それまでは好意を向けられても冗談で返すようにしよう。それがきっと最善な選択だから。


「俺もなんか変わってきてるのかなぁ……」


「ん?なんか言ったー?」


「いいや、なんでもない」


「そっか。それじゃ、スケルトン! 出発だよ!!」


 この世界に来て俺は多分現実の世界に居た時よりもだいぶ変わってしまっただろう。けど、それは悪い変化じゃない。だから受け入れられる。


 そんなことを考えた後、俺はほん少しの間青い空を見上げたあと、スケルトンナイトとシロと共に歩き出した。

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