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13話 『犠牲を超えて』

 無防備なアイアンゴーレムへと攻撃を繰り返し、HPを減らしていく。

 相変わらず俺は同じ魔法しか使えないが、三人での攻撃はやはり凄まじく、ぐんぐんアイアンゴーレムのHPは減っていく。


 次第にはふらついていたアイアンゴーレムが前のめりに倒れ、動かなくなった。


 モンスターの跳躍力を使っているからアイアンゴーレムの頭やコアを俺たちは攻撃出来た訳で、本来のアイアンゴーレムの倒し方は足元を崩していくのかもしれない。


「そういや、他の人達は何してんだろ……」


 俺以外にもこのゲームに強制参加させられている人は多数存在している筈だ。


 今何しているかは分からないが、今俺が居る雪山から出られれば探すことだって出来るだろう。


「二匹共! 一旦距離を取れ!」


 アイアンゴーレムのHPが少なくなった時、ついに倒れていたのが立ち上がってしまった。

 これでもう一度真空刃をずっと放たれてしまっては近寄ることすら難しくなる。


 それでも、ホブゴブリンとスケルトンナイトには一旦距離を取ってもらわないとさすがに危ない。

 だが、俺の言葉にスケルトンナイトは従ってはくれなかった。


 自分の持っている剣を不自然に青く光らせ、構えている。


「あれが剣術スキル……だよな?」


 スケルトンナイトには一応剣術のスキルがある。魔法以外のスキルを初めて見るが、モンスターだからか分からないが、詠唱しなくても使えるのかもしれない。


 いや、そんなことは今はどうでもいい。幾ら錆びた鉄剣からスキルを放とうとしても、アイアンゴーレムの巨大な斧に対抗出来る気がしない。

 根本的に大きさが違うのだ。スキルでその差を埋められる訳がない。


「ダメだ! やめろホブゴブリン!!」


 突然どうしたのか分からないが、ホブゴブリンが棍棒を勢いよく振りかぶり、アイアンゴーレムのコアへと投げつけた。

 上手くコアへと直撃はしたが、もちろんリフレクトシールドが張ってあり、ホブゴブリンへとダメージは返されてしまった。


 いや、初めからこれがホブゴブリンの作戦なのかもしれない。最後に注意を引き付け、シールドも無くす。スケルトンナイトへの道を作ったのだ。


「あ……」


 情けない声が出てしまった。

 返されたダメージを喰らい、相当な威力で棍棒を投げたのか、痛みで動けないホブゴブリンへとアイアンゴーレムは無慈悲な攻撃を打ち込んだ。


 煙で一瞬だけ見えなくなったが、そんな煙の中でも明確な死が見えた。

 煙が晴れれば一目瞭然。斧で綺麗に真っ二つになり、倒れていくホブゴブリンの姿が見えた。


 一瞬吐き気がしてしまったが、すぐにホブゴブリンはエフェクトとなって消えた。


 だが、スケルトンナイトはホブゴブリンの作った道をしっかりと活用した。

 仲間の仇を討つかのように、真っ直ぐとコアへと向かって光り輝く剣を突き刺した。


「……勝った……のか?」


 HPが無くなってしまったアイアンゴーレムはその場から後ろへと倒れた。

 そして、数秒経つと先程のホブゴブリンと同じようにエフェクトとなり消えた。


 俺とスケルトンナイトの頭上には『Congratulation!』の文字。


 違う。もう一体居るんだよ。俺とスケルトンナイトの勝ちじゃない。


「なぁ。ちげえよな? ほら、最後によ体張ってくれたやつが居るじゃねえか……そいつも賞賛してやってくれよ……」


 たった短い時間しか一緒に居ない。言葉も交わさなかった。

 でも、それでもやっぱり仲間が死ぬのは悲しい。


 このダンジョンでは俺の仲間が二体も死んでる。どっちも優しく逞しい仲間だ。


「ごめん。ありがとな」


 エフェクトとなって消えて、俺の言葉は聞こえていないかもしれない。

 でも、感謝はしないといけない気がした。

なにせ、俺とスケルトンナイトは仲間のお陰でこのダンジョンを乗り越えることが出来たのだから。

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