11話 『ボス戦開始』
なんか書き出しが変な感じ?
ゲームじゃ絶対にありえないくらい短いダンジョン。
俺はそのダンジョンを潜っていた。自分が召喚し、運良くテイム出来た2匹のモンスターたち。
そんな短いダンジョンの終わり、ボス部屋に今俺は居る。
推定10m以上はあるアイアンゴーレムというボス級モンスターと今から戦わなきゃいけないのだ。
ボスからは逃げられない。どんなゲームでも大抵はあるシステム。だから戦わなきゃいけない。とても、凄く嫌だけど。
「はぁ。俺たちで倒せるかなぁ……」
援護はすると言ったものの、まだ2匹のモンスターとアイアンゴーレムは睨み合っている。
だが、先に動いたのは俺のテイムしたホブゴブリンだった。
真っ先にアイアンゴーレムの胸元にあるコアを狙い、棍棒を振るおうとする。
「スケルトンナイト!ホブゴブリンを守れ!盾を投げろ!!」
弱点を晒しているのに早々簡単に殴らせてくれる訳がない。
ホブゴブリンは気付いているか分からないが、アイアンゴーレムは突っ込んでくるホブゴブリンにカウンターを叩き込もうと腕を振り下ろす準備をしている。
だから、今ならまだ間に合う。俺の言葉通り、スケルトンナイトが盾を投げて少しでも注意を引けば隙が出来るだろう。
後は、俺が魔法で更に注意を引けばホブゴブリンの棍棒は当たるはずだ。
「天翔る矢よ、我が敵となる者へと放たれよ『光の矢』」
魔法の矢はぐんぐんとアイアンゴーレムへと飛んでいき、顔へと刺さる。
普通の矢とは違い、魔法の矢だからなのか、しっかりとアイアンゴーレムへとダメージを与えることが出来た。もちろん微々たるダメージだが。
それに、俺の魔法の矢に気を取られていたのかコアのガードが疎かになっていた所をホブゴブリンが棍棒で攻撃した。
だが、ホブゴブリンの攻撃は防がれた。まるで剥き出しのように見えるコアに防がれたのだ。
「そういう事かよ……」
攻撃をして防がれたホブゴブリンを見るに、コアに掛かっている防御魔法が影響しているのだろう。
咄嗟に防御魔法を展開したとは考えにくい。多分、始めからこっちが本命なのだろう。
カウンターを叩き込めればそれはそれで良い。もしコアに攻撃されても防御魔法で防ぐことができる。ホブゴブリンの体力を見るに、展開してある防御魔法は反射系の魔法『リフレクトシールド』だろう。
事前情報にも載っていた筈のアイアンゴーレムが使う魔法の一つだ。
「まずいな……これが相手の作戦だとすれば相当やばいぞ……」
リフレクトシールド自体、ダメージを防ぎつつその半分のダメージを返す魔法だ。
もしも即死級のダメージをこちらが与えて、それを防がれ返されたのならこちらが死んでいただろう。
コアが剥き出しなのを上手く利用するなんて。
さすがはボスモンスターと言えるだろう。
「待て!不用意に攻撃するな! 一度体制を立て直すぞ!」
攻めようとしていた二匹をとりあえず引き止め、様子を見る。
事前情報が上手く思い出せないが、確かアイアンゴーレムは個体ごとに使える魔法が一つだけだった気がする。リフレクトシールドはリキャストタイムが長い。
もしも、アイアンゴーレムが情報通り魔法が一つしか使えないのなら多勢に無勢。
3対1で戦う事が出来、尚且つ時間が経つまで魔法が使えない今なら、アイアンゴーレムにダメージを与えることができる。
「ホブゴブリンは隙をついて確実に攻撃!スケルトンナイトはアイアンゴーレムの攻撃を全力で防ぐんだ! 回避してもいい! とりあえず注意を引きつけろ!!」
2匹のモンスターに指示を出し、俺は魔法の詠唱を開始する。
「さぁ、反撃の開始だ」
一度は相手の作戦に嵌ってしまったが、これからは俺たちの番だ。
「よし。少し試してみるか……」
本来ならスキルがなきゃ出来なかったある事を思い浮かべ、俺はスキルが無くてもこの世界なら出来るのか少し試してみることにした。