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10話 『終わりの見えてきたダンジョン』

 俺が気を失ってからどれくらいの時間が経っただろうか。

 魔法の連続使用によるデメリットが多分、今の俺の状態だ。


 今の状況を確認したいが、体がまだ思うように動かない。かろうじて瞼を開けることが出来るのがまだ幸いだ。

 これで状況だけは確認出来る。

「……どう、なってんだ……?」


 目を開け、前を見る。

 どうやらホブゴブリンは居ないようだ。いや、ただ前方に居ないだけかもしれない。

 現に左右から視線を感じる。ただ、どうにも左右っていうのが気になる。上手くテイム出来た2匹であることを祈りつつ、俺は恐る恐る目を動かした。


「はぁ……良かった……」


 とりあえず、2匹が俺に攻撃してくることはないようだ。多分、一応テイムしたモンスターなのだろう。


 まぁ、()()()()()()()()()()()()()()|


「まぁ今は考えなくていいか。とりあえず起こしてくれねえか?」


 体だけが思うように動かない。だから俺は自分のテイムした2匹に起こしてもらうことにした。


 俺の言葉がちゃんと届いたのか、2匹はダンジョンの壁にもたれかかるように俺を移動させてくれた。

 これでようやく2匹の変化が見える。


「……!? お前、ゴブリン、だったよな? なんかさっきの奴みたいになってねえか? それにスケルトンも、って変わりすぎだろ!!」


 前言撤回だ。さっきは考えないようにしようと思ったが、これは無理。さすがに変わりすぎだ。


 と言っても、2匹から俺の言葉への返答はない。やはり喋れないようだ。となると、さっきのゴブリンは少し喋れたからレアだったのかもしれない。


「まぁ味方なら良いか。お前らが進化したってことは、俺もレベルアップしてる筈だよな!」


 自分のステータス画面を開き、レベルを確認する。

 確かにレベル自体は上がっていたが、とくにステータス自体が少し変化しただけでスキルやらには何の変化もない。


 それでも、MPやスタミナが全回復したのはデカい。


「はぁ。魔法の使いすぎはやっぱダメだな……」


 幾らMPやスタミナが回復しても、レベルアップ前に無理に魔法を使いすぎると、レベルアップして回復してもその反動は残る。

 まぁ、今の俺の状態になる訳だ。だから、これからはあまり使いすぎないようにしないとならない。

 さすがにもう気絶はしたくないしな。


「うっし! そろそろ進むか!」


 2匹に守られながら数十分が経ち、ようやく俺の体は動くようになった。


 俺は立ち上がり、ホブゴブリンへと進化したゴブリンの後を歩く。

 もちろん、俺の後ろはスケルトンからスケルトンナイトへと進化したモンスターが守ってくれる。

 完璧な布陣だ。


「おっと、行き止まりか?」


 ホブゴブリンが立ち止まり、俺達も続いて止まる。

 どうやら大きな扉があるようだ。

 ホブゴブリンがその扉を開ける為に、罠の危険性を考え、俺とスケルトンナイトは安全な場所へと離れる。


 そして、大きな扉は重厚な音を響かせながら少しずつ開いていった。俺達が通れるくらいの隙間が出来た時、カチッという音が聞こえ、ホブゴブリンへと目掛けて矢が飛んできたのだ。

 当然、扉を開けているホブゴブリンは防ぐ術もなく、矢を受けてしまった。

 幸いにもあまりダメージはないが、もしも俺が扉を開けていたら最悪死んでいただろう。


 モンスターの肉体だからこそ耐えれたのだ。


「これがダンジョンの罠か……」


 どうやら、この扉には一つの罠しかないらしく、ホブゴブリンが扉を開け終わるまで何も起きなかった。


「さて、扉の奥はどうなってんのかな?」


 大体罠がある扉の奥は宝箱などがあると俺は思っている。

 だが、それは間違いかもしれない。

 明らかに広く、障害物も無い部屋。ここは明らかにダンジョンコアのあるボス部屋だ。


 不自然なまでに短いダンジョンであり、宝箱も無く、罠もさっきの一つしかない。

 となると、多分このダンジョンは最近出来たのだろう。運が悪いと言うべきか、それとも簡単にボス部屋まで来れたらから運が良いと思うべきなのか。


「はぁ。ま、でも一回入ったら出れねえしな。戦うしかねえか!」


 俺の後に続いて入ってきたスケルトンナイトが扉から少し離れた時、扉は大きな音を出して勢いよく閉まった。

 これでもう俺たちはボスを倒すまで出れないという訳だ。


「弱かったら良いけどなぁ……」


 ボスが弱いことを祈りながら、俺は広い部屋の中央へと歩く。

 中央へと歩く理由はちゃんとあるのだ。


 まず、ボス部屋というのは、扉を開けて入ったらもうボスが姿を現して待っている、もしくは今の俺のように中央まで歩いたら出てくるボス。この2パターンが存在する。


 大体前者の待っている系ボスは強い。逆に、後者のボスはまぁランダムだが弱い時のが多い。


 だから、俺は弱いボスが出るのを祈りながら歩いているのだ。


「それじゃ、ボスが出てくるみたいだから戦闘準備してくれ。俺は出来るだけ援護をするから近接戦闘は任せたぞ」


 俺の言葉を聞き、スケルトンナイトとホブゴブリンは俺より前へと出る。


 そして、俺たちから見て前方に不自然に魔法陣が現れた。

 これはボスが出てくる合図だろう。


「眩しっ……!!」


 激しい光を出しながら、魔法陣からボスモンスターは現れた。

 ボスモンスターは光の中で見えるシルエットからでも明らかに大きく、光が無くなった時その姿は露わになった。


 ()()()()()()()()。ゲームの中でそう呼ばれていたモンスターが俺たちの前へと現れたのだ。

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