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5:心の破片
不意に砕けた心は 飛散して 四散して
その破片は 街の煩いネオンサインの中に消え
あるいは 改札横に佇む一円玉の中に消え
あるいは 空虚な回想の中に消え
久々に受けたこの痛み
懐かしさより苦しみが勝り
憎しみが募り
砕けてしまった自分自身の
心の破片を集めるように
アルバムを一枚ずつめくっては
貰った手紙に一枚ずつ目を通しては
過去の自分の輪郭を
掴んで放し 繰り返し
あらゆる事象が神経を逆撫でする夜に
住宅街の中では 叫ぶことすら許されず
涙にならぬ涙を流し 溜め息を吐きながら
生きていたい なんて言えはしないけれど
ぽっかり空いた心の空白に
願いを込めて 明日を待つだけ