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1:幻想
暑い暑い夏がやって来て
冬よ早く来いと異口同音
されど寒い冬が訪れる頃には
夏よ早く来いと不協和音
そんな我が儘な人間達が 今
地下鉄に揺られながら
スマホの画面を眺めながら
笑った
怒った
泣いた
小さな小さな文字で 絵で 音で
小さな小さな 一人一人の人間の
感情までも動かせるのなら
例えそれが幻想であったとしても
汚れて腐った掃き溜めのような思想を
時に苦しみながら 時に泣きながら
日常に溶けて 消えてしまう前に
ここに書き留めておきたい