↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/84

023 騎士

「あぁ、お前も大丈夫か?こっちは津神さんの孫が参加してくれる。あぁ、そうだ勇者のな。3人も興味持つんじゃないか?ははは。まぁ、そっちは任せた。じゃあな」


祖父の翔一が助けた3人の新生児は成長し、今や東京支部の最高戦力Sランク冒険者となっていた。

祖父が最初に助けた軍神マルスの化身と呼ばれる「中本静香」、桃花が親友と呼ぶ「菊地絵夢」、そしてもう一人「御園由宇」。

まさに、ゆうちゃん、まじ、ゆうちゃん。である。

『なにそれ、どういう意味?』

わからん、無性に言いたくなった。Sランクは奥が深い。そんな気がする。たぶん。

そして、美杉が今まで電話をしていたのは、Sランク3人を支える男だという。

「小噺京」、騎士スキルの使い手で、Sランク3人の指揮官であり、プロデューサーを名乗るAランク冒険者だ。

彼がキツネ顔のため、3人のパーティーは「フォックス・スティール」と呼ばれている。

未だに日本に帰れていないようだった。桃花も心配してるだろうな。



「小噺が言うには、羽田空港が狙われる可能性が高いということだ。他の候補地には何人か残して、一度、羽田に集合だな」


「空港って、危ないのは、いつなんですか?」

「わからん」


「。。。」

『愛梨が乗るのは、羽田からとは限らんぞ。成田の可能性も高い。関空って線もある』

そうだけどさ。もしも。。。

でもさ、杞憂で終わるなら、それがいいだろ?


「今すぐ羽田に行きたい。急ぎたい。すぐに対応にかかれませんか?」


「お前の勘に従おう。あの人もそうだった。翔一さんを思い出すぜ」


美杉は、少し考えてから、笑ってそう言ってくれた。




美杉は孔雀院の庫裏で夕食を取りながら、関係各所に連絡をとっていた。

しばらくすると、俺のスマホに通知が入り、ギルドからの「クエスト受注済」を知らせるメッセージを受信する。


孔雀院が普段は送迎などで利用しているという大型バスを用意してくれる。

美杉に呼ばれた数名の冒険者と一緒に、俺たちはバスに乗り移動を開始した。

途中、高速道路を降りて、追加の冒険者を拾う。

御室、美杉しか冒険者を知らなかったが、皆「よろしく」と声をかけてくれた。

JKZのイベントで見た気がする人物がいる。彼は手を上げて小さく笑ってくれた。

女忍者は消えていた。いや、この中の誰かがそうなのだろう。たぶん。

この人たちが冒険者ギルド東京支部の仲間か。これから、一緒に戦ってくれるんだな。


俺は、美杉の隣の座席に座り、気になることを確認していた。


「美杉さん、俺の中学の事件のことですが、ナニが起きたんでしょうか?」

「暗殺者ギルド残党は、お前含めて生徒を校舎ごと空間消滅させるつもりだったらしい」

「そんなこと、できるんですか?」

「難しいことだが不可能ではない。暗殺者ギルドには能力者や熟練の魔法使いもいたからな」

「祖父がそれを阻止したんですね」

「そうだ。それと誠君だな」


「えっ?」


「誠君は元気か?」

「親父ですか?すみません。全然会ってなくて。親父も冒険者だったとか?」

「いや、普通の人さ。そうでありたいと思っていたらしい。俺たちは嫌われてたと思う」

「親父は、祖父のことを知ってたんですね」

「なんとなく、だろうがな」

「学校の事件の前に、翔一さんと誠君はかなり揉めていてな。誠君が翔一さんに協力して、お前と生徒たちを救ったのは意外だった」

「そんなことが」

『。。。』

「翔一さんは、誠君が自分の言うことを信じて動いてくれるなんて考えもしなかっただろう。それで、事件後はいつもより浮かれてたな」

『「。。。」』



親父が。。。

『そうか、それで。。。』

なんだよ?

『いや』

お前は俺なんだろ?

『そうだよ。間違なく俺はお前だ。ただ、どうしてズレたか、やっと分かったよ』

ズレた?

『そのうちに教えてやる』

な、今言えよ!

『親父に会ってみたいな。爺ちゃんの言葉を信じるのに、迷いすぎだっての』

はぁ?


意味がわからない。どうせ教えてくれないんだろ?

『そのうちにな』



羽田空港。時刻は深夜0時。俺たちを乗せたバスは到着した。


空港内では、静かに翌早朝の便を待つ人々が思いおもいに過ごしている。

見た感じには、なぜか警察官が多いかもしれない。

立ったまま、あくびをしている中年男性。シートに座り虚空を見つめる少年。その少年にもたれて眠る母親。泣きはらしたような赤い目で黙って座る女性。手すりにつかまり、下の階を気にしている青年。スマホで何かを読む若い女性。疲れ切った顔でシートに眠る女性。柱にもたれ懸かりスマホのゲームをする青年。シートで足を伸ばして眠る男性。疲れを見せず歩く客室乗務員たち。暇な手続きカウンターを片付けるスタッフ女性。


『愛梨はいないな』

あぁ。

『会えるなんて期待してなかったじゃん。そうでもないか』



「御室さん、来ましたか?」

「北条警視!」


御室は警察の上司っぽい人に連れられて離れていく。

美杉が言うには、今回は警察の協力も得ているらしい。警察官で冒険者経験者は想像しているより多いのかもしれない。

現役冒険者だって、御室だけじゃないだろう。


俺は御室と北条の背を見送った後、広いフロアにいる人々をもう一度眺めた。




ここでこうしている人たちにもさ。

『あぁ』

みんないろいろあるんだろ?

『そりゃそうさ』

みんな、それぞれ思いを抱えて旅に出るんだ。

『たぶんな』

愛梨に会いたい。

『知ってる』

ここにいる人たちはみんな、愛梨やリオかも知れない。

『あんなおっさんでもか?w』

あぁ、何かを抱えて幸せになりたいと、みんな願ってる。たぶん。

『みんなに幸せになって欲しいか?』


あぁ、なって欲しい。

守ろう。全員。



俺たちで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。