012 チートへの道(スキル取得編)
ビルの隙間から溢れる朝日が眩しい。
道玄坂から見える渋谷の街は、まだ朝の6時前だというのに人が溢れていた。
無事に難問を乗り越えた俺は、実に清々しいサッパリ感を胸に車に乗り込んだ。
タバコに火をつけてから、軽自動車を駐車場から出した。
あくびをすると煙が目にしみる。車窓を開けると煙はどこかへと流れていった。
ちなみにタバコは久々である。なんとなく待合室での緊張をほぐすために買ってしまった。
ゴールドで支払いができる店にソープランドはなかったため、結局渋谷の性感ヘルスに行くことになる。
待合室には大きく「本番禁止!」と書かれていた。
俺が、時間をかけてじっくり写真を見比べて指名したのは、リオ(21歳)と名乗る茶髪ロングヘアの似合うギャルだ。
黒髪美少女系はなんとなく避けたかったんです。
リオは細身だが日焼けしたお尻が素晴らしい。ギャル美尻説を提唱させてもらいたい。え?それ、もうあるの?
自分でも意味が分からないが、泣きながらオッ○イを舐めていた俺に「ちょっとだけだよ」と言って、中に○れてくれた。
すごく、すごくいい子である。たぶん。
新たな天使の登場かもしれない。
また行こう。
ちなみに、70分2万5千ゴールドでした。
開店は朝の4時だそうです。ごくろうさまです。
「あら、帰って来たのね。どこ行ってたの?」
「ちょっとコンビニ」
「昨日、あれだけ辛そうだったのに、もう大丈夫なのね。ご飯できてるわよ」
「はーい」
俺は、祖母と目を合わさずに朝食をとった。
俺は、リオにもらった名刺をミニコンポのスピーカーの下に隠す。
時折、祖母が勝手に俺の部屋の掃除をするので気を抜けない。
そんなものを財布に入れっぱなしにする度胸もなかった。
別に見つかってもいいんだけどね。大人なんだし。
ひとごこちついた俺はベッドに座ってスマホを手に取った。
コンビニで買ったペットボトルのミルクティを飲む。
思うところが多々あって後回しにしていたが、俺はギルドアプリで新たに取得できるはずのスキルの項目を目で追うことにした。
今更だと思わないでもないが、緊急事態だったのだ。仕方がない。
〜 固有スキル「生霊召喚」を取得しますか?
「生霊召喚」は超レアスキルです。
レアすぎて前例がないため、スキルの解説ができません。
あなた自身で確認してください。
すでに発現しているため、対価となるコストは不要です。
スキルとして正式に取得すると、
「召喚」と「召喚キャンセル」が任意で可能になると思われます。
「生霊召喚」を取得する。 Y / N
コストが不要ってのは素晴らしいな。
武器やら防具やら用意しろと言われているモノが多いのに、風俗でゴールドを使ってしまう迂闊な俺には渡りに船としか言いようがない。
しかも前例のない超絶激レアスキルである。
これはチートの予感しかしない。
ついに俺の無双が始まるのだ。
ゴブリンに殺されかける低ランク雑魚冒険者からの卒業は決定事項となったのだ!
俺は涙を浮かべながら、スキル取得操作を行った。
リオさん、ありがとう。貴女は幸運の女神に違いない。
久しぶりすぎて腰の振り方が分からなかったよ。
でも、童貞じゃないんだよ。勘違いしないでね。
俺は、取得した「生霊召喚」のスキル操作画面に移行させる。
すでに「召喚」アイコンはアクティブになっていた。
「ん?」
もう一度、画面を見る。
「まぁ、いいか」
『よう!』
なんか聞こえた気がする。
目の前には鏡に映った俺しかいない。
ん?鏡?
そんなもん目の前にあったっけ?
『これはゲームではない。もしかしたらラノベかもしれないが、フィクションではないという設定だ。どうせなら剣と魔法の世界が良かったなぁ』
ん?
鏡のない場所に映った俺がなんか言ってるよ、おい!?
俺は、もう1人の俺のような存在の後ろに回って確認する。
へー、この服、後ろから見るとこんな風に見えるんだぁ。
『これは覚えてるだろ。ナイスアシストだったよね。「相手の体勢を崩すことを第一に考える。まともに向き合ったら、その時点で負けだ。ケンカは格闘技の試合じゃねーんだ」!!』
「はいはい。ん?」
『ソープに行け!』
「お前かよ!」
俺にチート無双は、まだ少し早かったようだ。
『あきらめへんで!』
ついに固有スキルゲットだぜ!
更新頑張ります。




