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擬音的

「姫、そんな物を見ていては

体に毒です」

酷く太った男が

まるで形容ししがたい

神々しさをたたえる

女に

そういうと

リモコンをさわろうとしたが

姫と呼ばれた人物に

その場所に

刀をたたきつけられ

急いで

その手を引っ込めた

しかし

それでも、あきらめきれないらしく

「姫のこころに、このような汚らわしい感情を入れるのは」

しかし

男の言葉は

またしても

向けられた刃物によって

切られてしまうのである

時間は午後一時

気違いTVが流れる時間帯

近所のアニメオタクと名乗る

六手類 源五郎 (ロクデナシ ゲンゴロウ)によって

幾度と無く妨害されるが

それを彼女は

大した感情も無く

受け流す

その流した刃により

デブは

その体に、無数の針をぬわなけらばならず

最近その傷が元で

膿を切除する

大手術が決行された

されど、彼女はその行動を変えることなく

毎日かわらず

何が楽しいのか

気違いTVを見て

また稽古に勤しむのだ

オタクがここに出入りし始めたのは

古武術を、習いたいとか言って、辺り構わず

ここら辺の道場を荒らし回っていた頃

たまたま、スーパーの帰りだった薪姫に

手刀で全治、半年の、大けがを食らわせられたのだ

それからと言うもの懲りることなく

彼女を倒そうと

躍起になっているうちに

何かと世話をするという

奇妙な物になった

彼女は彼女で

やることしかやらず

たいして気にもとめない

そして、それがかえってこの

源五郎と言う、男には居心地がいい環境だったのだろう

早六年ものつきひが経とうとしていた

「しかし、姫は何をしてこうも毎日稽古を、していらしゃるのですか」

不意にそんなことを、デブが聞く

「・・・・知らぬ」

それはそういうと

歯折り煎餅ー長門師匠

をかじりながら

ただテレビと

衣類を畳んでいた

「しかし、道場を開いているわけでもなしに

この時代、鍛えるだけでは食っていけないと思いますが

・・・そういえば、どうして食べているのですか

まさか不埒な」

「・・・・・」

彼女は、無表情で

面みたいな顔で

光るような刃物を

男に向けていた

「・・・・・・・・・すいません」

「出て行け・・・ここには来るな」

それは二年三ヶ月ぶりに聞く

彼女の声であった

「・・・それはどうにか・・」

しかし男の脇には物が刺さる

それは縦になっており

ゆっくりと

横に変わろうとしていた

「・・」

冷や汗が男の背中を伝う

ただそれを感じるには

実に怖い状況下で

男は刃が当たらないように

体を抜くと

そのまま姫の前から姿を消した

「・・・・」

それはそれを見ていたが

また姿勢を前に戻すと

そのままテレビを見ながら

煎餅を食べるのである


最近彼女の家に

役人が来るようになった

何でも家を出て欲しいという

その金額は徐々に上がるが

彼女は首を縦に振ろうとしなかった

そんな役人がぱったり足が途絶えると

次にやってきた物は

柄の悪いもので

次々に脅し文句を言い

最後に猫なで声で

役人が言った金額よりも

多い額を示す

それを否定すると

更に悪態を付いて帰って行った

それも半年が過ぎた頃

姫にある意味

怒りのような物が

心の中でピキーンと弾けた

それを皮切りに

彼女はその屋敷に来た物を五人まとめて

切ると

そのままタクシーに乗って、奴らが所持していた物にかかれてあった

事務所に行くと

そこで次々と始末をつけた

辺りはすぐさま赤い血の海とかすが

しかし

彼女の喪服のような黒い

道場着は

それでも尚

黒さを失わず

彼女の肌のみが

わずかに赤く点を染めている

「・・おおっお前、何もんじゃ」

一番奥の、大きな額が飾られた

物の下に

年相応の老人がいた

それは拳銃を持っていたが

あっという間に

間をつめられて

手首を強打されると

その拳銃を取り落とした

姫はそれを軽く払うと

割れた窓から外に流れていく

「・・っか・・金か」

「シズカニシロ」

姫の口からそういう言葉が漏れたかと思うと

姫は、役人が持ってきた

紙を、奴にたたきつけるようにおくと

そのまま帰って行った

それからだ、彼女の家の周りを

なにやら怪しい物がうろつきだした

それは柄の悪さは、やくざのようであるが

それとは少し違うのを感じていた

「あの」

それはそんなとき

しばらくこなかった

小太り・・と言うか

デブが

家にいた

「・・・・」

「家の周りにいるのは、何者なのでしょうか」

「さあな・・・偽善を感じる」

「偽善・・」

「ああ・・・」

それっきり黙ってしまった

ちなみにこの家に来た五人は

手首を切られたのみだったので

大事はなく帰ってきてみると

そこにはもう誰もいなかった

「・・・・寝込みをおそうのでしょうか」

「さあな・・・お前は、なんでここにいる」

「・・いえ、心配だったもので」

「そうか」

「何かすることは」

「好きにしろ」

「・・はっ・・はい」

それからと言うもの

またしてもこの家に

オタクが出入りすることになる

オタクは一般のサラリーマンであり

夕方に帰ると

姫の居る屋敷に行き

そこで食材で料理をする

しかし

殆ど姫がするので

半ば夫のようだと

浮かれるが

そんなことはおくびにも出さないし

出てもこない

どちらかというと

執事の方が近いのかも知れない

しかも

給金を出して仕えるような

しかしながら

居場所と、居きる意味を得られるオタクは

それは、それで満足であると思っている

かくして今日も、ちょっとした物を買い

屋敷に付くと

なにやら怪しい気配がした

急いで中にはいると

姫が、数人の男たちに囲まれていた

それは姫を中心に

まるで花を咲かせたように

ぐるりと取り囲み

一人が姫に体当たりのような太刀筋で

攻撃をすると

そのわが、乱れ

真逆の方向から

すぐさま別の攻撃がなされる

それを姫は

意図もたやすく避けると

全く攻撃していないような人間を

立て続けに

二、三人後ろから切りつけるのである

そんな光景を

デブは見ていた

デブの得意とするのは

体術である

一見動きが鈍そうに見えるが

それは大きな間違いであり

体が大きければ大きいほど

その力は大きくなる

居合い切りの達人は

そのみを極限まで細らせ

できるだけ空気の抵抗をなくそうとする

また無駄をそぐ

しかし

それはうまみも消しているといえよう

男の体は、防攻一体

その体に刃をさし込もうとしても

その前に

その刃を力によりおり

その力で

その人をあのよへと送る

それはそれほどまでにぎりぎりの強度を得ている

男はすぐさまその集団の和を乱した

しかし

それに関係なく

姫は大方の人間を片づけていた

「どうするんですか」

男は誰もいなくなった広い座敷を見ていった

「・・・旅にでる」

「お金はあるんですか」

「・・・うむ」

女はそういうと

懐から

預金通帳を取り出した

そこには

ぎんちょと書かれており

銀色のがいけんをしていた

「どれほど入っているのですか」

何げもなしに

姫が通帳をあけると

そこには見たこともないような

金額が入っていた

「・・・いくらくらいはいっているんですか」

「知らん・・・五億くらいだったか」

「どうやってそれを」

「・・・ここら辺のとちのかねだ・・・いるか」

「いえ・・・・でも、行く宛でも」

「ああ、そういえば、刺巣世相の所にいつでも来いと言っていた・・・行ってみるかな」

それはそういうと

旅行鞄をひっさげて

旅に出たのである

その晩は

ひどく寒い

真夏の夜であった


幻東京年


その日、私は

一人の少女と対峙していた

それはあったときから非常に

嫌な感じがあった

私は死ぬかも知れない

そう予感させる物がその少女にはあった

まだ十歳にも満たないそれは

日本人形と言っても良いようなおさなさをのこし

更にその顔は

そこだけ西洋人形と

すげ替えたように

実に人間離れした

どこかの国の彫刻を、思わせる

その儚げな物は

しょせんは外見であり

実際にもいんだいなのは

彼女からあふれ出す気のような物だった

それは間違いなく

私と同じ物を感じる

それは

人から生まれながら

人ならざる思想を持ちうるもの

人から生まれながら

人ではないもの

私はそれを見たときかくしんてきに分かった


私がこの場所に来ることになったのは

必ず必然ではないのかも知れない

しかし

遅かれ早かれ合っていたのは間違いはないだろう

私があの地を離れ

この場所にたどり着いたとき

私の中で

一つの問題が起こっていた

それは、

私はあまりにも長い間

刀を差していたため

これをはずすことがどうしてもできず

そのたびに職務質問を受けることになった

それが都会から離れれば離れるほどに

何でも

コスプレイヤーと、間違っていた物が

その割合が徐々に減ってきたのだろう

私がようやくたどり着いた頃

私はいくつもの

警察学校で

講師を頼まれるまでになっていたが

一人として

ビビっと、来る物はなく

時代を感じるしかない

元々全盛期ですら

私はそこに強さを見いだすことはできない

いや、見いだす必要など無かったのだ

私は私であり

強かろうと弱かろうと関係はない

ただ決められたように

居きればいい

私が生きていればの話だが


私がその場所に付くと

一人の男が出迎えた

その男は

白髪を後ろに束ね

髭も

まるで、筆のような

ながいものである

それを元で縛るから

ますます筆先のように見えた

「あなたが、薪姫であらせられますか」

久しぶりに言われた言葉だ

「ああ、しばらく居させてくれないか」

「ええ」

老人はそういうと

腰に差した刀をこちらに向けた

「私と勝負していただきたい」

私はそのとき

少しは骨があるな

そんなことを思ったのである


老人に、案内されてはいると

そこは実に大きな屋敷であり

大きな庭に老人は案内する

「失礼と存じますが、一戦手合わせを願いたい」

「ええ・・」

姫はそういうと

いつの間にか、愛刀、照屡絶円を、出すと

その剣先を、老人に向けた

それをするかしないかの内に

老人は切りかかっていた

それを避けるが

避けることによって

動きが遅れている

髪が

数本

空中に浮いた

しかし

姫は避けた足で

老人に切りかかった

いや、切るというよりも

刺すという方が正しいのか

まるで槍のように

切りきったろうじんに、勢いのまま駆けながら突き刺す

しかし

それを見切っていたように

老人もそれを避けると

下から、刃を上に上げ

その刀を上に、おし上げると

相手の隙をつき

そのまま今度は、老人の方が

槍のように

相手に突き刺すようにおそった

しかし、姫はそこで、

後ろに下がったり

横に避けることもなく

それどころか

勢いをつけ

前に進んだ

老人は

一瞬動きを止めた

それは進んでいるが

思考を少しにぶらせたと言っても良い

反応するのが遅れたのだ

ふと、気が付くと

首もとに刀が突きつけられていた

少しでも押せば切れることは間違いない

まるで、海の波のような波紋が、青い刀の背に波打っているのが見える

老人は、そこで参ったというかと思われた

しかし、違った

老人は、そのまま、先ほど姫がしたように

首を前に進めたのだ

姫は躊躇することもなく

その刀を

老人の首が切れる位置にさっと動かす

しかし、そこに少々の誤算があった

老人は

命の駆け引きを一つの人生と決めていたことになる

それは、姫という人間を倒すことができれば

それで命が終わっても、何ら後悔もない

それどころか、人生の目標を達成すると言っても良い

どちらにしても

今の老人は

そこに躊躇はない

ただこの勝機を

選んだまでだった

しかしだ

姫は、

わずかに剣を鈍らせた

いや、軌道を変えた

肉を切るはずの道を

わざと最短ルートに変え

老人の腕に突き刺した

老人はそれでも

前に進もうとするが

骨に当たって

それ以上は無理である

姫はそのまま刀をしたに振るうと

老人は

地面にたたきつけられた

しかし

その腕に

未だに刀が握られてるのは

もはや根性と

未練と

それらが折り重なった、彼の魂の執念だろう

「・・・太刀が変わったな」

ほとと、姫が言った

「・・・はい」

老人が何のことかと聞く

「昔は、もっと、面妖で、奇っ怪で、早さだけではない、早い物だった

しかしなんだこれは、強さだけを中途半端に追い求めた・・・いやいい

それでわしはどうすればいい」

「いえ、お好きなようにしていただければ」

老人はそういうと

家の者を呼んだ

しかし

そのものが来るときには

姫は居なかった

「・・・やはり、わしの太刀では駄目だったか」

老人は腰を地面につけたまま

そんなことを言った

刺巣世相は、人を選ぶという

と言っても、それは反射神経ではなく

人格がでるという物なのだ

そのものの思想が

型を外れて

べつのうねりを生み出す

そのたちすじこそが

誰にも見ることのできない

抜かずの太刀

刺巣世相なのである

そして老人は

気合いや、根性のみでここまで来た

そして、どんな武術者にも勝てる腕を磨き上げた

しかしだ

老人は、昔から言われ続けた

ことを実行できなかった

何もするな

その一つが

老人は恐怖なのだ

ナニモスルナ

それは、逃げに思えた

そして老人は知っている

今この道場で

幼い頃見た

あの千差万別の太刀を見ることができない

それはつまり

自分が武者修行をしている内に

刀を失ってしまったことを意味していた

自分の家には

代々言い伝えられていることがある

姫の相手をしろ

それだけだったが

しかし

それは代々受け継がれてきた

内の曾じいちゃんも

じいちゃんも

父も

その人には会ったことがなかった

そして何の因果か

もう、何時死んでもおかしくない

ぎりぎりの剣術の、腕の中で

奴にあった

そして無様に負けた

家の太刀もえられず

ただ自分のいきたい方向へ行き

そして得られた物は

誰もが得られるような

そんなすごさであった

老人はふと空を見ると

夏だというのに

ひどく寒そうな

雲が

辺りを真っ白に覆っていた

どうやら異常気象のせいで

何か降りそうだ

そんなことを思ったのである


姫は一人電車を待っていた

誰もいないホーム

寂れた電車が、待合室になっており

そこから線路があるところが辛うじて見える

しかし

姫はその待合室には座らず

ただ立って

素振りをしていた

彼女の時間は

どこにいても大して変わらないらしい

ふと、目線が止まる

しかし、そのうでは止まることはない

「あのーーー何やってなさるか」

それは老婆であった

花柄の服装が

どこかのふるいやしきのテーブルクロスのようだ

「・・・・・」

姫は続けてふる

「どこに行きなさるかのー」

大して気にもとめないらしく

老婆が言う

「・・・・・」

姫はそれを見ながら素振りを続けた

「沢庵食いなさるか」

老婆は、自分の細い骨のような、肩から、駕籠のような、肩掛け鞄を下ろして、中から、半透明の、白いタッパーをあけると

中の黄色い沢庵を

用事を突き刺して姫に差し出す

「・・・名前は、垂井だ・・姓は薪・・・お主は何だ」

「はいはい・・・わたしは、三日月ミカツキ 差等サトウと言います」

「・・うむ・・有り難く頂戴する」

姫はそういうと

その沢庵を

五切れほどさしてくちに運んだ

それからあっという間に

半分ほど、ぎゅうぎゅうに詰まった物を

食べ終えると

「有り難く頂戴した」

そう言って

懐から用事を取り出すと

歯に当て始める

「・・美味かったですか」

「ああ・毒さえ入っていなければな」

「知ってなすったか」

「・・・どうする気だ」

「何で知ってたべなすった」

「面白いからだ」

それっきり

姫の意識は途絶えた

まるで真夏だと言うのに

雪でも降りそうな寒さ

そんな天気の中で

駅のホーム

老婆の横で

姫はまるで、操り人形が

糸を切られたかのように

突然

その体を

重力に押さえ込まれるように

倒れ込んだのである


「じいさま、連れてきましただ」

姫を若い物に運ばせた

老婆がそんなことを言う

と言っても、あのホームから

彼女は、肩に担いで

スクーターで、刺巣世相屋敷まで来たのであるから

人の体とは分からない

「・・・・何で・・・と言うか、当主と呼べ」

「・・・連れてきて欲しくなかったか」

「いや・・・・・・まあ・・・・あのまま帰られるというのは

先祖の沽券に関わる」

「・・・・で、どうする」

「どうするも何も、居てもらうしかない」

「・・・・・飯代はどうする」

「年金があるだろ」

「まあ、それで良いなら良いが

今日から、しばらくは、雑誌を買うのも中止だな」

「ああ」

月刊「名刀大全」週間「一刀」

・・・・老人は、この現世でのわずかな楽しみが脳内をよぎった

しかし

それにしてもこの老婆

つきあいが長いにしても

恐ろしい奴である

「・・・大丈夫なんだろうな」

「何が」

「なにがって、薬の方は」

「わしゃの薬にケチ付けるかと」

「・・・・・」

そんなときに姫が

「うるさい」

そう言って、上半身を跳ね起こした

「・・あら、もう起きただか」

老婆驚きの声を上げて

姫に近づく

「それで何者だ」

姫は、いつの間にか照屡絶円を、老婆の眼球に突き出す

「うっわああ・ああ」

老婆は、わざとらしくしりもちを付いた腰をそのまま後ろに引かせた

「あほ、するからじゃ」

「なっ・・なにを」

「姫、無礼をこのものが働きまして、あいすまんことで

しかしながら、どうです、しばらくは、ここで生活をなさってみては」

「雑誌が買えないのであろう」

「そんなことは、あなた様がいれば、どのようなものとて

取るに足らぬ物です」

「そうか、なら二三日いる」

かくして姫は、平然と

二、三日すると

姿を消した

「・・・でて、いってしまわれたな」

「ああ」

かくして結局

姫はそのまま更に上へと上っていった

果たしてどこまで行くのだろうか

どちらにしてもこのとき、姫は、つうちょうのつかいかたがわかって

居ないことだけは確かであった


「姫」

そう呼ばれたのは何時からのことだろう

いつの間にか

そう呼ばれた

それは決まっていたことなのかも知れないし

全く不確定だったのかも知れない

どちらにしてもいまそう呼ばれていることだけは確かである

私はふと、自分の手を見た

それが自分の手だと認識するのは難しい

しかし

それは、私の手なのである

私はそれを開いたり握ったりする

やはり意志で動く

でも、それが自分の手だと

やはりどうしても思えないのである


私は考えていた

どうして私は死なないのだろうと

しかし

そんなことはどうでも良いようにも思え

私は考えるのをやめてしまう

私はどうして居きるのだろう

どうしてここにいるのだろう

なぜに人を切るための稽古をこうもしているのだろう

私はまた、手を開いたり閉じたりした

こうしている間にも

稽古の時間が迫る

私は急いで、手を閉じるのをやめ

庭に出た

庭にでると

もう、なにも考えずとも

ただ行動を繰り返す

それが終われば

決まった行動に

移行するのみ

私はそんな時間の中で

実は

私は

無機質よりも

無機質なのではないか

そんなことが頭をよぎった

しかし

やめることはできない

なぜなら

止めたくないからだ


ある日私は、買い物に外に出た

外は蒸し暑く

北海道とは思えない

しかし

このまま家に引き返すこともなく

私はそのまま、街道を横切り

スクーターで、近所のスーパー「ばるさん」に向かった

そこで魚を三匹

それと、野菜を買う

家に畑はあるが

それを耕すことはない

私はただ、同じ時間を繰り返すのだ

買い物を終えると

またスクーターに乗り

そのまま家に帰る

それを繰り返す

飽きることはない

つまらないこともない

tだ、意味は、分からない

私はそんなことをして、この地で年々ほど過ぎただろうか

そろそろ、お金がつき始めた頃

私は別の地に旅立つことにした


東京、大阪、北海道

徐々に上に移動してきたが

今度はしたに行こうか

別に楽しくはない

ただ、この場所を移動するときが来たからだ

私はただ、繰り返す

繰り返す必要のない日常を

異常なまでに、無機質に

平穏に

異音に

擬音的に

ただ繰り返す



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