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桜の季節

作者: 春川寧子

僕はこの春、大学に合格した。第一志望の大学だった。

 3月に合格発表があった。それはそれは喜んで、興奮状態になった。と思いきや、それはわりかしすぐ収まって、穏やかな時間を過ごした。読みたかった本を読んだ。東京で桜が開花したというニュースを見て、桜を探しに散歩にでかけたりもした。近所の公園で、一輪だけ咲いているのを見つけた。

 3月後半になると、大学入学のための準備が始まった。手続きは複雑で、説明会の度に貰う資料は重かった。一緒に入学予定の高校の友人と一つ一つこなしながら、シラバスを見て話し合った。大変だったけれど、大学生活が楽しみで仕方なかった。オリエンテーション等のために何度も大学へ足を運び、気づけばキャンパスの桜は満開だった。

 4月になってしばらくして、授業が始まった。何もかもが期待はずれだった。こんなに授業がつまらないなんて思わなかった。サークルも騒いでいるだけで、周りの同級生達も大したことなかった。なんなんだ、大したことないって。全部自分の人見知りのせいなのに。気付けば桜はひらひら地面に落ちていた。

 

 僕の通う大学はちょっと変わっていて、授業が始まるのが入学式より先だ。大学のキャンパスのカフェの窓から、もう葉桜が見える。入学式にはすべて散っているだろうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めて参加したオリンピックで、いきなり金メダルを獲ってしまった選手と同じですね。 いきなり希望がかなってしまうと、次なる方向性すら見失ってしまう。 そんなことなら、銀メダルのほうが良かった…
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