表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感染者の創造  作者: 岡田健四郎 原案:岡田健八郎
発祥の地
5/13

存在しない花

 大輝は湧き出る興奮感を抑えていた。

 もうすぐだ……もうすぐで!

 長かった狭い道の出口が見えた。

 魂が奪われる眺めだった。

 眼下に石造りの、美しい街並みが広がっていた。

 正確に切り出された石材は精緻に組み上げられ、それを手掛けた者たちの途轍もない建築技術の高さを示していた。

 どこからか射し込む太陽の自然光が、地底の都を照らしていた。

 長く続いた洞窟の奥にあったのは、入り口からは想像できぬ大空洞と、そこを埋め尽くす神秘の建築物群だ。

 古びた、古代の都市の遺跡―――

「素晴らしい……」

 カルロは呟いた。

 他の人物達も感動と驚愕で言葉が出なかった。

 そうだとも。古代人の技術は今よりも素晴らしいものだよ。

 目の前に、石造りの大きな橋が立っていた。

 橋の奥に、太陽光が集中していた。

 大輝は橋を渡る。

 他の人物達は今だ眼下の都を見ていた。

 大輝は抑えきれない興奮を胸に、橋の奥に行った。

 そこには、空洞があった。

 大輝は空洞に入った。

 空洞内の中心に、花壇があった。

 花壇には、咲き乱れる青いチューリップがあった。

「美しい」

 カルロがいつの間にか後ろに居た。

「ありえない……」

「何がだ?」

「青いチューリップは自然界では存在しない花だ」

 カルロは驚いた。

 同時に興奮した。

「なら、今宵、また一種類増えるな」

 大輝は用心深くチューリップを見つめた。

 そして、空洞の片側にまた入り口があることに気づいた。

 なんの迷い無く大輝は入り口に向かった。

 入り口の奥は、真っ直ぐな洞窟になっていた。

 地面に何か転がっていることに気づいた。

 空薬莢が無数に転がっていた。

 さらに自動拳銃コルト・ガバメントも落ちていた。

 大輝は拳銃を拾い上げ、奥を進んだ。

 洞窟は長かった。

 ようやく出口が見えた。

 そこは、まるで墓地のように無数の石造りの棺桶があった。

「ここは墓場か?」

 誰かが背中を叩いた。

「うおっ!驚いた、君か」

 薫子だった。

 薫子は無表情で大輝を見ていた。

「単独行動は危険だよ」

「すまない、好奇心溢れる正確でね」

「すまないとかの問題ではない、お前の単独行動のせいでチーム全員が危険にさらされる可能性がある」

 俺の心配じゃないのね……厳しいお方。

 その時、薫子の背後に居る人物に気づいた。

「いいか、今後は―――」

「危ない!!」

 大輝は薫子を押した。

 後ろから何かが飛びついた。

 大輝は頭を下げて避けた。

 それは壁に当たった。

 大輝はそれを見た。

 少年だった。

 四足歩行で歩き回る少年だ。

 歯は全て鮫のように鋭い牙が生えていた。目の強膜は黒く、虹彩は赤く染まっていた。

 大輝は拳銃を構えた。

「動くな!撃つぞ!」

 だが、少年は壁を這った(‘‘‘‘‘)。ありえない!

 壁を這った少年は穴に入り、姿を消した。

「あれは何!?」

 薫子は怒鳴り声で聞いた。

「知るか!俺が聞きたい!」

 その時、上から何かが降りてきた。

 青年だった。

 少年と同じ容姿をした男が上から降りてきた。

「お前、動くな!撃つぞ!」

 だが、男は人間とは思えない奇声を発して走ってきた。

「来るな!」

 男は静止しなかった。

「許せ!」

 大輝は拳銃を一発撃った。弾丸は男の右肩に炸裂した。

 だが、男は怯みながらも走ってきた。

「嘘だろ!?コカインでもやってるのか?!」

 男は口を開けて近寄ってきた。

 大輝は危機感を覚え、拳銃を撃った。

 弾丸は頭に炸裂した。

 血と肉片を撒き散らしながら、男は倒れた。

 大輝は男の近寄った。

「即死、だよな?」

 信じられない。

 こいつはラリってるのか?

 臭いな。

 風呂は行ってないのか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ