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感染者の創造  作者: 岡田健四郎 原案:岡田健八郎
発祥の地
4/13

考古学発掘隊

 大輝は飛行機の中で寝てしまったのか、気づけば既にフィリピンについていた。

「いい夢は見れたかな?」

 カルロが笑みを見せながら言った。

「すいません、どうも昔から俺は飛行機に乗ると寝てしまう体質なんで」

 適当に言い訳を考え、言った。

「これからは?」

「車で現場まで向かう」

 外にはワゴン車が待機していた。

 大輝は、首を鳴らしながら、飛行機を降りた。

 ワゴン車の後部座席に乗り、出発するのを待った。

 カルロが助手席に乗り、運転手がワゴン車を出発させた。大輝は退屈しのぎのために、夏目漱石の坊ちゃんを取り出し、読み始めた。

「車内の読書は目を悪くしますよ」

「安心してください。既に悪いです」

 そう言えばとばかりに、大輝は聞いた。

「俺の愛犬は?」

「後で届きます」

 それを聞いて安心した。犬は人よりも忠実で、飼い主を裏切らない。俺が世界で唯一、信頼できる人物だ。いや、犬物か……

「到着までは?」

「もうすぐですよ」

 そこは人気の無い、町外れの乾燥地だった。

 だが今は、多くのテントがある。

 よく見ると、武装した人物達が居る。

「あれは?」

「雇った傭兵だ。みなベテランばかりだ」

 大輝にとって、兵士はベテランかベテランじゃないの問題ではなく、忠実か忠実じゃないかの問題だった。忠実じゃない兵士はいつ裏切っても、おかしくないからな。

 車が止まり、カロルは下りた。大輝も慌てて降り、カロルの後ろについてきた。

 1人の男が来た。男はオールバックの白髪で、青い目をし、しわだらけの顔をしている。

 だが、1970年の起きたベトナム戦争でのアメリカ軍のような、熱帯野生服を着ている。

 M1956型個人装備を着け、手榴弾2個をぶら下げ、やって来た。

 明らかに老人であったが、年齢を感じさせない屈強な体つきをしていた。つまり、マッチョだ。

「やあジョン。こちらは日本人のクロキタイキだ」英語でカルロが説明した。

「どうも、武装傭兵部隊総隊長のジョン・ハドソンです」

「どうも、黒木大輝です」

 大輝は左手を差し出した。ジョンは一瞬ためらったが、快く握手した。

 ジョンは2人を案内した。

「黒木君、ここでは英語でしゃべれよ」

 カルロは黒木に小声で忠告した。

 テント内に入ると、2人の男が種類を纏めていた。

「こちらは、考古学発掘隊護衛部隊隊長のロシュです」

 ロシュがお辞儀した。ロシュは背が高く、剛直で意思が固そう顔だ。黒っぽい髪を軍隊風に短く刈り上げ、その青い眼差しは、まるで歴戦戦士のように鋭く、強靭な意志が宿っていた。

 黒いアルマーニのスーツを着て、右耳に用心深くイヤホンを隠したその姿は、傭兵とは程遠いシークレットサービスのようだ。

「こちらはシャルトラン。武装傭兵部隊少尉だ」

 シャルトランは、アメリカ陸軍新装備IIFSに似た装備をしていた。

 顔は細長く血色が悪い。並外れた痩身で、無装飾のアメリカ軍制式採用銃のコルトM16A2を右手に抱えながら近づいてきた。

「テントの裏で、部隊が準備しています。遺跡の入り口はテントの裏です」

 シャルトランは恐ろしいくらい低い声で言った。

 テントの裏に案内された。

 裏では、5人の男が迷彩服や野生服などを着て、旧ソ連のよって開発されたテロリストの銃AK47やその進化型ANアバカンなどを装備して、待機していた。

 よく見ると、2人は傭兵らしくない人物が居た。

「あの人たちは?」

 大輝はカルロに聞いた。

「今回の医療係を担当する野村たけしと助手の山岸薫子だ」

 野村は白衣を着ていた。眼鏡を掛け、無造作なぼさぼさな髪型だ。

 助手の山岸薫子は、袖なしの白いシャツとチノクロスのショートパンツという格好で腕を組んでいた。体つきはしなやかで背が高く、長い黒髪、図抜けた美人とは言わないが、大輝は動物的な強さを彼女から感じられた。遠目では分からなかったが、以外に巨乳だ。

 大輝の前では、巨大な崖が聳え立っていた。

 入り口と思われる場所には、正四角形の穴が開いていた。穴の周りには、細長い木の板が打ち付けられてた。

 大輝は感心した。これぞ地獄の入り口だ。崖が崩れたら、俺は死ぬな。

「いつ中に?」

 大輝はカルロに尋ねた。

「先に調査隊を送ったが、数分前に通信が途絶えた」

 代わりにジョンが答えた。

「原因は?」

「いまだ不明。電波の届かない位置に居るだけだと思うが、万が一の事態も考えられる」

 大輝はぞっとした。昔の古代人の仕掛けた罠に引っかかったのか?

 カルロはジョンに聞いた。

「調査隊の装備は?」

「UZIやイングラムMAC11などといたって軽装備です」

 どこがだと大輝は思った。UZIとMAC11はよく映画で無法者が撃ちまくる銃じゃないか

「早速中に入ろう」

「分かりました。ロシュ!」

 ロシュが慌てて駆け寄ってきた。

「何でしょうか!?」

「お前が護衛部隊を指揮するんだ。分かったな?」

「了解しました!」

 ロシュは敬礼した。

 ロシュを始めとして、シャルトランと5人の傭兵が中に入り、カルロが大輝と野村とその助手の薫子を連れて、後に続いた。

 中は思ったより暗く、通路は狭かった。

「私は野村です。こちらは山岸」

 野村は右手を差し出してきた。

「俺は黒木大輝」

 大輝は握手した。

「良かったですよ。同じ日本人が居て」

「まったくですな」

 本当はそう思っていない。なぜなら相手は得体の知れない男と女だ。

 

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