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感染者の創造  作者: 岡田健四郎 原案:岡田健八郎
発祥の地
10/13

破滅の始まり

 黒木は車を飛ばした。

 まったくいい気分ではなかった。

 まさか研究所からあの新種ウィルスの亜種が盗まれるなんて。

 そう思いながら、山道を走り、大きな橋の前で止まった。

 既に薫子が待っていた。

「待ってたぞ、こっちの村だ」

 黒木と薫子は橋を渡り、山中にある村に行こうとした。

「どんな症状だ?」

「目鼻口耳から出血、高熱、嘔吐、頭痛」

「くそ、やっぱりあのウィルスだ!」

「今その子は隔離してる」

「政府や近くの病院に連絡は?」

「しようとしたけど研究所から止められた。ウィルスの存在を公にしたくないそうだ」

「クソッタレ」

 黒木達は再び道路に出た。

「とにかく案内してくれ」

「分かってるって」

 薫子は微笑んだ。

「あなたは他の連中とは違うな」

「と言うと?」

「他の研究者は極秘だの、機密維持など、被害者の事は考えてない」

「俺は単純にさっさとその子を研究所に連れて行きたいだけだ」

「分かってる」

 その時、突如パトカーが走ってきた。

 2人は間一髪避けた。

「警察の癖に荒い運転ね」

 薫子は悪態ついた。

 中から制服警官が現れた。

「お巡りさん、危ないじゃないか!」

 薫子が近寄っていった。

「了解、射殺します」

「えっ?」

 突然警官がホルスターからリボルバーを抜き、発砲しようとした。

「危ない!」

 黒木は薫子を押し、伏せた。

 弾丸は2人の頭上を横切った。

「危ないじゃないか!」

 黒木はそう言いながら薫子を連れて山道を登り、民家に出た。

 民家は昭和の家を連想する作りだが、2階建てだった。

 すぐに民家に入れてもらおうとしたが、何を考えたか薫子と一緒に床下に隠れた。

 警官が現れた。

「おとなしく、出てきなさい」

 そう言って民家に入った。

 しばらくは静かだった。

 だが、3発の銃声と悲鳴が聞こえた。

「畜生、やっぱりな!」

 黒木は床下を出た。

「山岸、ここで隠れてろ」

「あ、あんたは?」

「あの汚職警官を殺ってくる」

 そう言って民家に入った。

 廊下を進み、居間に出た。

 居間に、母親と小さな娘が頭を撃ち抜かれていた。

 くそ、容赦が無さ過ぎる。

 そう思いながら、何か武器に無いか探した。

 ビール瓶が近くにあったから拾い、廊下に戻った。

 壁側にバスルームがあった。入ってみると、バスタバのお湯に浸かったまま頭を撃ち抜かれている父親の姿があった。お湯は血で真っ赤に染まっており、一見すればトマトスープに見えなくも無い。

 すると、2階から叫び声が聞こえた。

 黒木はすぐに階段を上がって2階に向かった。

 丁度2階の部屋で幼い少女が警官と向き合っていた。

「やめろ!やめるんだ!」

 叫びながら駆け寄ったが、警官は無情にも少女の頭を撃ち抜いた。

 黒木は雄叫びを上げながら警官に組みかかり、2人は窓を割って裏庭に落ちた。

 全身に痛みが感じたが、すぐに立ち上がり、瓶で警官の頭を殴った。

 警官は怯み、その隙に拳銃を奪おうとした。

 だが、警官の力は凄まじかった。たちま地面に叩きつけられたが、目の前にシャベルがあった。

 警官は拳銃を向けた。

 もはや終わり、そう思いながら覚悟を決めた。

 カチッ!

 弾切れの合図だった。

 同時にシャベルで警官の頭を殴りつけた。殴り殴り殴りまくった。

 警官は動かなくなった。

「とどめだ!こんちくしょー!」

 警官の横腹にシャベルを突き刺した。鮮血が流れ出す。

 黒木は薫子を迎えに向かおうと思い、戻ろうとした。

 だが目を疑った。

 死んだはずの警官が立ち上がった。

 拳銃を装填し、銃口を向けた。

「やべ」

 銃声と共に、左肩に激痛と衝撃が走り、意識は遠退いた。

 そして後ろの崖に転落する。

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