~選ばれし元軍神~
ゆきの話を聞きレオンはとある場所に向かい人を
待っていた。
「ウル。あいつはまだか?」
レオンは隣にいるウルに問いかける。すると、ウ
ルは一瞬、目を瞑りその問いに答えた。
「あと少しですね。1分もかからず着くでしょう。」
相変わらずの無表情さに、レオンは内心苦笑しなが
ら、「じゃあもう少しだけ待つか」と答え扉に視線
をやる。
そしてウルが言った通り1分待っていると、扉をノッ
クする音が響き渡る。レオンは扉の奥にいる者に聞
こえるように命じる。
「名を名乗れ。」
扉の奥の者は透き通る声で、されど力強く応える。
「ナイトパレード幹部戦闘部隊総司令官【軍神】翔
真ここに参上致しました!」
レオンは苦笑しながらそれ押し殺すように
「入れ」
と、扉の奥の者に声をかけた。
ーーーーーーーーー軍神翔真ーーーーーーーー
レオンは目の前にいる中性的な顔立ちをしている
者をじっと見ていた。色の抜けた水色の髪に、目の
下の隈、されどそれを差し引いても綺麗な顔立ちは
むしろ個性と思わせる程の際立ちをしていた。
「とりあえずお疲れさま。大丈夫?」
「全然大丈夫よーてかレオンさんが俺を呼ぶくらい
だし、なんかあったんやろ?気遣いとかは嬉しいけ
ど、早く教えて」
レオンが気軽にそういうと、先ほどとは同じ人物と
は思えない程軽快に翔真は答えた。
「まぁそうだねー。じゃあ。話をしようか」
先程とは明らかに違うと分かるほどの重圧が、部屋
に広がり、やがてレオンが思い口を開けて告げた。
「邪族と魔族が争っているらしい。そして影響はこ
の国にも出ている。」
翔真は真剣な眼差しを向け、聞く
「発見者と規模は?」
「発見者は治療隊癒天長ゆき被害規模は狼潜在被害
は竜騎士以上と想定されている」
「竜騎士……」
翔真の綺麗な顔は一気に曇る、それもそのはずだ。
狼は力を持つ村の民が10人で、討伐出来るレベル
に対し、竜騎士は上級国軍100人でやっと討伐出来
るレベルしかもそれが最低ラインとなると顔が曇る
のも仕方がない。レオンはそれを察して告げる。
「別に今すぐにそうなるわけではないあくまで、こ
のまま続いたらそうなる可能性が極めて高いという
話だ。」
翔真は顔を曇らせたまま問い返す
「つまり?」
レオンはニヤリとしながら
「争いが生まれる前に潰せばいい」
不適な笑みを浮かべ、レオンはそう応えるのであっ
た。