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~リスナー治療隊天癒長ゆき~

「ふぅ……。」


 レオンは一息ついて目の前のドアで立ち止まる。


やがて深呼吸をしてノックをし、ドアを開ける。


「ゆきさーん来たよー!!」


と、軽快に入るが中でおびただしく、動き回る沢山


の人達に気圧され思わず固まる。


 数分の間固まっていると、小柄で茶髪の女の子が


レオンに気付き近づく。


「こちらからお呼びしたのに申し訳ございません!


レオン皇帝陛下!」


「んー?いや全然大丈夫だよー?むしろ皆の働きが


見れて良かったよー。」


「身に余る光栄です。」


「まぁまぁ堅苦しいのは良いからさー。何かあった


の~?ゆきさん」


「ええ……かなり大変です……。」


レオンに問いかけられた茶髪の少女ゆきは、深刻そ


うな面持ちで答える。目を惹くような綺麗な顔立ち


しかしながら幼さが残る美しい顔は余程、深刻な問


題を抱えているのか、今はほんの少し陰りが見える


そんなゆきにレオンは笑いながら。


「なにー?彼氏でも出来た?それとも、ストーカ


ー?ゆきさんは可愛いもんねー(笑)」


と、じゃれるように言うと、ゆきは少し顔を赤らめ


「私は可愛くないです!」と、言い本題を切り出


す。


「実は昨日妙な気配を感じたんです」


「妙な気配……?」


レオンは先ほどのふざけた顔から一変し、真面目に


話を聞き始める。その場の空気が変わったことを察


したのか、幾分か先程より緊張した様子でゆきは続


きを話し始める


「普段私は稽古も兼ねて、森の周辺を歩いているの


ですが、ここ数日邪悪な気配を感じたんです。」


「邪悪な気配……。」


レオンは更に神妙な面持ちで続きを促す。


「少し不安になって敬語をつけて貰い、調べたとこ


ろ、魔人のと、邪人の気配を観測しました。」


その言葉にレオンは眉を潜める。


「邪人と魔人……?それは間違いないのか?」


その言葉にレオンの目をまっすぐ見てゆきは答え


る。


「はい間違いありません。」


「あの種族は同盟ではあるが協力関係にはない


筈……。なのに共に行動してるだと……。」


邪人と、魔人は見た目、文化、生活様式など、全く


同じであるが、決定的に違うものがある。それが


『邪法』と、『魔法』だ。


邪法は周りに漂う邪素を吸収し己に取り込み邪素が


強ければ強いほど。強力になり侵蝕する性質を持


つ。


対して魔法は己の中に秘める魔力を用いて、それに


見合った威力、段階のものを具現化する。


破壊力は魔法の方が強いものの、厄介さで言ったら


邪法の方がめんどくさく、浄化をするにも下位クラ


スの浄化師10人でも苦戦するほどである。


そしてお互いが似ているからこそ、種族の違いで、


どちらが優れているかと戦争が起き、100年以上争


いが終わることはなかった。


しかし、10年程前、種族の存続の危機を感じ、魔人


の長と、邪人の長が、同盟を組み戦争は終結した。


しかしながら長年の争いのせいで遺恨は消えず、


お互いがお互いを憎んでいるため、同盟関係上表立


った行動や発言は出来ないが、同盟は名だけの状態


のため、協力関係などあり得ないのが現状だ。


「それが本当ならかなりまずいことになる……」


レオンは少し考えた後、勢い良く立ちゆきに背を向


ける。


「レオン皇帝陛下。力及ばす申し訳ございません」


頭を下げるゆきの頭を撫でながらレオンは笑顔で


「むしろ気づいてくれてありがとう。これで沢山の


人が救える。ゆきさんは英雄だよ」


そう言い終わるとレオンは背を向けながら


「あとは俺に任せて!」


そういうと、ドアを開け素早くその場を後にするの


だった。

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