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第3話 悪夢の中で


「ガハッ!? …はぁ…はぁ…はぁ…」


  …また死んだ

 奴に食われる瞬間が頭にこびり付いて離れない。


「クソッ何でこんな目に…」


 勝てる訳がない。

 根本的に全てが違いすぎる。

 アリが象に勝てない様に、あまりにも差がありすぎてこの先も化け物共に勝てるビジョンが全く見えない。

 手元に武器もないから抗いようもない。

 

 …全てが詰んでいる。

 

 …それでも


「…諦める訳にはいかない」


 此処から抜け出さなければならない訳がある。

 今、このダンジョンの外がどうなっているか分からないからこそ何がなんでも抜け出さなければならない。


 唯一の家族が待っているのだから。

 

 だからこそ今は


「…進むしかない」


 この地獄を進むしかない。

 それが長い長い悪夢の始まりでしかなかったとしても。







 …あれから何日が経っただろうか。

 …もう何回死んだかも分からない。

 …何度も食われた。何度も嬲り殺しにされた。時には寄生され、体内に卵を産みつけられ羽化した化け物に体内を食い破られて死んだ事もあったし、ゴブリンみたいな化け物に儀式の贄にされた事もあった。

 それでも何とか生き残ったとしても待っているのは飢えによる死だった。

 

 繰り返される終わりなき死の中で、心が擦り切れていく。


 死への忌避感が薄れていく。

 何もかもが摩耗していく中であの日の覚悟だけが自分を繋ぎ留めている。


 死ぬたびに自分の中の人として大切な何かが、それ以上に生き物として重要な何かが失われていく感覚がある。


 多くのモノが自分の中から零れ落ちていく中で、それに反比例するかの様に2つの感情が大きくなっていく。


 1つは自身を嘖むこの状況とそのキッカケとなったであろうモノ共への憎悪。

 そして、覚悟に起因する生への渇望。


 これらの感情に引っ張られるようにして、少しずつ思考がクリアになっていき、死に際にも化け物共の動きを観察する余裕が生まれてきた。


 化け物共の気配の消し方、攻撃方法、森の中での動き方など生き残る為に必要なモノを奴らから学んでいった。

 

 その結果、確実に以前と比べ生き残っている時間が延びていき、生き残る為に必要なことを考え、実行し、死んでしまった時には何がダメだったのかを考察し、検証するだけの心の余裕が生まれた。

 

 そんな事をしながら森の中を気配を消しながら動き回っていると、ある時突然自身の気配が今迄以上に薄れていく様になり、まるで自分自身が森に溶け込み、一体化していく様な感覚に駆られた。

 

 それと同時に、今までうっすらとしか感じられなかった周囲の気配がまるで手に取るようにわかる様になった。遠くにいる化け物の息遣いまでもをハッキリと知覚する事が出来た。


 そこでふとステータスの存在を思い出し、確認する事にした。



------------------------------------------------------


名前: 大谷 勇

LV: 0

JOB:未設定


MP:50

STR:10

VIT:10

AGI:30

INT:30

MND:250

DEX:50

LUK:10


スキル:

○災厄の魔女の烙印

 この烙印を持つ者は死ぬことが出来ない。(死亡時、死亡地点より半径1km以内でランダムに復活する)

 この烙印を持つ者には試練と苦難が与えられる。


○鑑定

 大凡のモノは鑑定することができる。


○刀術(初級)

 刀を扱った際に僅かに補正がかかる。


○隠密の極意

 自身の気配を周囲に同化させる。極めれば世界と同化し、ありとあらゆるモノから知覚されなくなる。


○気配察知

 周囲の気配がわかる様になる。


称号:

災厄の魔女の寵愛、不死者

------------------------------------------------------



 スキルが新たに2つ増えていた。

 どうやら自身の行動でスキルが増えたりする様だ。これはとても大きな発見だ。

 あの化け物共に抗う為の光明となり得るものだ。


 そして今、俺に必要なモノはあの化け物共に抗う為の力だ。幾ら逃げ回っても奴らを倒さなければやがて飢えて死ぬだけだ。この森の生物は小動物ですら俺を確実に殺すだけの力がある。それに、このまま逃げていてもこのダンジョンからは脱出出来ない。


 だからこそ力を付けなければならない。ステータスにレベルがある事からわかる様に化け物を倒せばもしかしたらレベルが上がるかもしれない。


 レベルが上がっていけばその内、自分を最初に殺したあの不可視の化け物にも勝てるかもしれない。その為にも今回手に入れたスキル2つは非常に役に立つ。


 気配察知でこの森の中では比較的弱い化け物の居場所が分かり、隠密の極意で背後へと近づくことが出来るからだ。

 

 なので早速俺は手頃な化け物を探す事にした。

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