番外編~Sideオリヴィエ~
友好条約30周年記念パーティーの時に初めて彼女を見た。
なんて華奢で可愛らしい、いい意味で気取っていない令嬢だろうと思った。
話をしていた令嬢に聞くと、彼女は声を出せないらしい。
なぜか私は彼女のことが気になった。
「ヴィルフェルトっ!! よくも~!!」
彼女を助けるため身体が勝手に動いていた。
幸い武術の心得があったので、暴漢をなんなく倒せたのだが、王子の立場で前に出るなとあとで叱られるだろうなと思った。
「大丈夫かい、ご令嬢」
「(……こく)」
やはり声が出せないのか。
頷きや身振り手振りで返す彼女の健気さに心を打たれた。
数日後、彼女からお礼の手紙が届いた。
『オリヴィエ・ブランジェ様
先日は助けていただきまして、ありがとうございました。
咄嗟のことできちんとお礼が申し上げられず、お手紙にて失礼しました。』
そんな短い手紙でも、なんだか彼女の思いが伝わってきた。
律儀に手紙を渡す彼女の心遣いに、もうすでに心が奪われていたのかもしれない。
そんな彼女との婚約が決まった時は私自身嬉しくて仕方なかった。
どんな趣味があるのだろうか、どんなものが好きなのだろうか。
多くのことを聞きたくて仕方なかった。
そして、ついに婚約の儀の当日。
彼女には他に好きな人がいることを知った。
「お兄さまっ!!!! 大好きでした!!!」
なんて素直でまっすぐでそして思いが強いのだろうか。
義理の兄と妹。
そんな絆の間に入れるわけがない。
「ローゼマリー・ヴィルフェルト。私は貴殿との婚約を解消する」
「なっ! オリヴィエ王子!」
「だが、貿易業での協定は予定通り結ばせてもらう。このオリヴィエ・ブランジェの名において、我が父に進言しよう」
「なんと、ありがとうございます」
そうだ、私にできることは少しでも彼女が幸せになるようにと取り計らうだけ。
そう、そこに私の想いなど必要ない。
私の恋心は、誰にも言わずにそっと胸にしまっておこう──
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