相も変わらず、兄離れ出来ない妹ですが
三十路の男女が添い寝してるので、念の為、R15にしました。
なーんも起きません。ただのブラコン。シスコンです。
ツッコミは色季にぶん投げました。やっぱ普通の子です。
「ん.......」
朝目覚めると、柔い肉の感触があった。それは体にべったりと纏わり着くようにして、絡んで来る。寝返り一つ打つことさえ叶わぬ程に。
首から下に被さっていた布団を足を使って退かすと、髪の長い娘がいた。彼女はまだ眠っているようで、僕の胸に顔を埋めている。時折しがみつくようにして、背中に回した腕に力が入った。
うーん.......しばらく起きないかもしれない。と思ったのも束の間。不意に顔を上げると、寝惚けた顔で見上げてくる。
「んぇ.......」
「おはよ。まだ眠い?」
顔にかかった髪を指で払うと、まだ眠いようで胸元に顔を埋める。僕はそれを咎めるように、とんとんと頭を小突いた。抵抗するようにまた巻き付く。
このしがみついてくる子。何も彼女じゃない。妹だ。説明すると複雑だが、血の繋がり的には従兄弟に近いものがある。それでも戸籍上の繋がりは妹。ならば妹と言っても過言じゃないだろう。
「眠い.......」
「起きる時間だよ」
「今日は休む.......」
いい歳した三十路の男女が布団で添い寝している状態からして、世間的に色々とまずい訳だが、それでもこれが割と日常的に行われている。ま、咎める者も居ないし、良いか。
また寝息を立て始めた妹の髪を梳く。毎朝こうやって髪に触れている。「結ってくれ」と言ってゴムとブラシを渡してくる。兄離れの出来ない妹なのだ。もういい歳なのに。
それでも仕事遂行時には頼りになるし、何度も守られてきた。昨日だって無理を言って駆けつけて貰った。でも今日はせっかくの休日。だからこの時含めて休ませてあげよう。
「朝ご飯、遅くなるな。伝えとかないと」
そう言って僕も瞼を閉じた。
おまけ
――あたしってブラコンなんかな?
――ん? 今更じゃない?
――ねぇ、朝ご飯出来た..............よ.......。
――ごめんね、色季ちゃん。今行くから。
.......え、ちょっと待って。二つ布団引いたよね? なんで思いっきり一つの布団を二人で使ってんの? 貧乏性なの? いくら兄妹とはいえ、もう三十路だよ? 結婚してもおかしくない歳な訳で。つかなんで寝巻きの合わせ目ぐしゃってんの? 此処あたしの家!!
えええええええええ。考えるの、辞めよ。
私もお兄さんに抱きつきたーーーーい。
拳骨が頭上にめり込むまであと五秒。