31 ハーフエルフっ娘、知らずに乙女ゲーの主人公になっていた
今回は、戦いの前の息抜きとして、戦争の緊張感から解放された話にしました。
「遅刻するとは、お前らいい度胸だ……って……えっ?ええぇぇ?」
いつもの魔道筒状武器訓練。
遅刻してきた候補者達は顔に青あざがあったり、額から血を流していた。
「どうしたの?みんな!」
「つまり、いじめを受けていると……」
「ええ、どこからともなく石が飛んできたり、小さな落とし穴に足を取られて転ばされたり……」
候補者たちは自分に治癒魔法を掛けながら事情を説明した。
「何でまた。何か皆の不快を買うような事でも……あっ、特殊訓練に抜擢されたから、その妬み?」
「いえ、それなら初日から嫌がらせされていたはずです」
「だったら、なぜ?」
全く無自覚の彼女に、候補者たちは嘆息する。
「いじめを受けるようになったのは、明らかに教官殿がリボビタルンの実をくれたり、色々と贔屓するようになってからです」
それを聞いて、フォーリィはショックを受ける。
「教官が部下を過剰に気遣ったから?……迂闊だった……やはり上官から贔屓される兵士とかは、いじめの対象になるのね」
そして的外れな事を言い出す。
それを聞いて、候補者たちは再び深いため息をついた。
「自覚なかったのですね」
「えっ?何が?」
フォーリィがキョトンとした顔で首を傾げる。
「教官殿は、今やこの部隊のアイドルなのです。その貴方に我々が目を掛けられ、贔屓されていると思った貴方のファン達が嫌がらせをしてきているのです」
「えっ?ちょっと……私にファンなんて……あれっ?あっ……だから食事の時は私の前に長蛇の列ができてたの?」
フォーリィはてっきり、皆がムサイおっさんからよりも若い女性から食事を受け取りたかっただけと思っていた。
だから、まさか自分にファンが出来ているとは思ってもいなかった。
そして今、それを指摘されても実感が湧いてこなかった。
「あっ、じゃあ明日の夕飯の時に私が貴方達にこう言えばいいんじゃない?『別に貴方達のためじゃ無いんだからね』って」
「「「逆効果だよ!!」」」
全員からツッコまれた。
フォーリィもツンデレの概念がなかった訳ではない。ただ、今まで結構言いたいことは言ってきた彼女は、そのように見られるなどと思ってもいなかった。
結局、干しマトゥラなどを彼らだけに渡さず、他の兵士達と同じように扱う事で、候補者たちが妬みを買うのを避ける事にした。
(八方美人型の乙女ゲーかよ!)
出会った男の子とは定期的にデートいなければ怒りが爆発して全員の好感度が著しく下がる。前世でプレイした恋愛シミュレーションを思い出し、フォーリィは心の中で叫んだのだった。




