小説 【アブナカシヤマ 第9章】
僕は、最近、調子がよい。体調も以前より、いい。
何より、回りの人たちが、どことなく、いい。
だけど、
ある朝、起きた時、庭に無造作に置いてあったコンクリートの塊をマイカーに乗せて、僕は、自宅をフラッと出た。
ハンドルを力強く握り、歯を食い縛り、安全運転に徹する。
昼だが暗く、いや、夕方かもしれない。
昔から、そこに聳えたつ荘厳な山脈の脇を通過して、まだ、車を走らせ、そして、体力の限界…。
マイカーを、通行する車が邪魔にならない場所に停車させ、仮眠をとろうと、シートをリクライニングさせ、呟いた。
「僕が今、車に乗せているのは、あの山々の一部…完璧に封印せねば…」
ふと、車窓から外を見ると、その街の漁師と思われる人たちが忙しなく漁に出る前仕度をしているようだった。
そのうちの、一人が、こちらにきて、僕に言った。
「あの、そこにいられると色々、都合わるくてね…」僕は、もっともだ!と思い、嫌な汗をかいていたが笑い、車を発車させた。
その状態で、僕は、思う。
(考えてみれば、このコンクリートを別に何もしなくても問題ないのでは…)と。
まだ、辺りは暗く、ふと、ゴジラの何百倍の黒光りのゴツゴツした壁面を目にする。
それを横目に、
「でかくなってる、ヤバくなってる…」と思わず、僕は、声に出してしまった。




