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ジェット騎士団〜影の守護者たち〜  作者: 如月
第一章 絶望と脱却
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暗殺計画

「命を…狙う…?」


イザベルは男の言ったことに困惑した。黒装束の男は更に続ける。


「そうだ。アルフレッド・エアハルトは聡明で人柄も悪くない。正に当主として相応しい人物だ。しかし、()()()()()()()()()がアルフレッドの当主就任を妨害しようと暗躍している。」


「一体、誰ですか?」


「『ギュシュタイン・エアハルト』。アルフレッド・エアハルトの弟だ。」


「弟様が?」


「彼は自分こそ当主に相応しいと思っている。自分が当主になる為なら殺人も厭わない。例えその対象が実の兄であっても、な。」


「嘘でしょ……。」


イザベルは呆気にとられた。日雇いで参加した警備の仕事に、まさか貴族の陰謀が絡んでいるとは思わなかった。そして、その陰謀に自分が巻き込まれていることも・・・。その様子を見て察した黒装束の男がイザベルに尋ねる。


「その感じだと、君は奴等の仲間ではないな?」


イザベルは大きく首を縦に振る。


「勿論です!私は広告を見て警備の仕事に参加しただけです!計画のことは全く知りませんでした!」


「広告?」


「はい!私が今利用している宿の郵便受けに入っていたそうで…あっ、ということは!他にも広告を見て参加された方がいるのでは?!」


「…なるほど。そういうことか。」


「えっ?」


黒装束の男は納得する様に言った。その様子を見てイザベルは何のことか分からず、首を傾げる。


「イザベル君。警備員の数が異常に多いと思わなかったかい?」


「あっ、はい!」


「実はな、暗殺者達は警備員に扮装しているのだよ。」


「えっ!?」


「警備員ならたくさん配置しても怪しまれないからな。実際、アルフレッドはこれまでに何度も命を狙われてきた。むしろ警備員を増やした方が感謝される。」


「じゃあ、広告で警備員を募集したのも…。」


「恐らく計画と無関係な人間を紛れ込ませ、特定されるのを防ぐ為だ。人員が多いとそれだけ顔を覚えられにくい。もっとも、警備員の顔を覚えている奴なんていないだろうけどな。」


「警備員の人選や配置は全て弟様が?」


「そうだ、奴が担当した。1階に配置しなかったのは()()()()()()()()()()()()()()だ。人を多く配置し、対象から目を離さない様にする。そしてチャンスがあれば動ける奴が動く。実行した後、会場は混乱するだろうがそれに乗じて逃げればいい。警備員の中には無関係な人間もいるから確認に時間がかかる。その間に証拠隠滅すれば事件は闇の中だ。実に用意周到、というより執念深い男だ。」


「ど、どうしましょう!?誰が暗殺者か分からない上にアルフレッド様のお命が!」


慌てるイザベルに黒装束の男が冷静に対応する。


「大丈夫だ。紛れ込んだ暗殺者達の顔は割れている。後はどうやってこの計画を秘密裏に終わらせるか、だ。イザベル君、すまないが手伝ってくれないか?」


「はい!もちろんです!」


男の頼みにイザベルは迷いなく即答する。酷い仕打ちを受けても、彼女の心にはまだ騎士道精神が残っている様だ。


「よし、ではついて…その前に。」


移動しようとした直後、黒装束の男は立ち止まってイザベルの方を向いた。そしてフードを取り、正体を明かした。


「自己紹介をしておかないとな。俺は『アルベルト・シュパイデル』だ。」


「よろしくお願いします、アルベルトさん。」

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