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ジェット騎士団〜影の守護者たち〜  作者: 如月
第一章 絶望と脱却
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黒装束の男達

「……。」


イザベルは唖然とし、言葉を失った。さっきまで威勢の良かった男達が、僅か数分の間に無力化されてしまった。突然現れた、黒装束の男達によって。


「で、コイツらはどうする?」


「放っておけ。後で誰か気づくだろう。だが俺達がいた痕跡は残すなよ。」


「分かってる。」


銃を持った男が、カエストスを嵌めた男に指示を出す。どうやらこの男がリーダー格の様である。


「さて…。」


リーダー格の男は振り向き、イザベルに目をやる。そしてフードを取り、その顔を見せた。髪は茶色でショート、黒色の瞳を持ち、肌は少し焼けている。


「すまなかったな、巻き込んでしまって。君が助けた女の子から君のことを頼まれてな。」


「えっ、あの子が?彼女は無事でしたか?」


「大丈夫だ。無事に避難した。」


「そうですか…良かった。」


「武器を持った相手に臆することなく啖呵を切ったな。実に勇敢だ。一体君は…。」


「おい、アルベルト。誰か来る。さっさと立ち去ろう。」


「!分かった。君、すまないが俺達がここにいたことは言わないでくれ。俺達と会ったこともな。頼む。」


「えっ?あっ、はい。分かりました。」


「ありがとう。ではまたどこかで会おう。」


アルベルトと呼ばれた男はそう言うと手を振り、他2人の男達と共に去っていった。1人残されたイザベルは、呆然とその場に立っていた。

その後、街の警備を担当する『警備騎士団』によって暴漢達は拘束された。現場にいたイザベルは質問をされた後、解放された。


「ふー、疲れた。今日はもう休もう。」


緊張と長時間の質問で疲れたイザベルは早めに休むことにし、中心街に戻ることにした。その時。


「あっ、お姉さん!」


「あれ、貴女は・・・。」


イザベルに声をかけてきたのは、先ほど助けた少女であった。イザベルのことが気になり、戻ってきたようである。


「お怪我はありませんでしたか?」


「私は大丈夫。貴女も無事みたいね。」


「はい!命を救っていただき、ありがとうございます!何かお礼をしたいのですが、困っていることはございませんか?」


「ありがとう。でも困っていることは特に・・・あっ。」


ふと、あることを思い出したイザベルは少女に尋ねた。


「ねえ。宿を探しているのだけど、貴女どこにあるか知らない?」


イザベルは今朝宿を引き払ったばかりであった。騎士になれば専用の宿舎があるため、寝床には困らない。しかし、イザベルは騎士になれなかった。故に、また宿を探さなければならないのである。


「宿ですね!分かりました!ご案内しますのでついてきてください。」


「ありがとう、助かるわ。そういえば、まだ名乗っていなかったわね。私はイザベル・コーランよ。」


「私はロミルダと言います。ロミーと呼んでください。」


「よろしくね、ロミー。」


こうしてイザベルはロミルダ、通称ロミーという少女と出会い、ついでに宿に泊まることが出来た。

ロミーが案内した宿は、彼女の両親が経営している宿だった。ロミーの両親は助けてくれたお礼に宿代を半額、さらに無期限で利用していいとのことだった。イザベルにとって、この優しさはとても心に沁みるものだった。


「・・・。」


夕食を済ませ、部屋に入ったイザベルは荷物を置くと、すぐにベッドの上で横になった。ふと、天井を見ながら、今日出会ったあの黒装束の男達を思い出す。


「あの人達は一体、何者だったのかしら?」


気配もなく現れ、圧倒的な力で敵を倒し、そして風の如く立ち去る。ほんの数分の出来事であったが、イザベルの心に深く印象付けられた。


「騎士の様には見えないけど、力は騎士と同じ、あるいはそれ以上・・・。あんな強い人たちがいるなんて・・・。」


初めて会った彼等にイザベルは興味を持った。しかしそれ以上考えることをやめた。今はとにかく、これからどう生きていくかを考えることが先決である。


「もう、騎士にはなれないからね・・・。」


昨日のことをまた思い出したイザベルは涙を浮かべた。だがすぐにぬぐい、布団をかぶって眠りについた。

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