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ジェット騎士団〜影の守護者たち〜  作者: 如月
第一章 絶望と脱却
2/23

発表

入団式が終わり、イザベル達は場所を移動して本部の外に出た。向かった先は入り口前の広場。いよいよここで、配属される騎士団が発表される。新人の騎士達は緊張、不安、そして喜びが顔に表れていた。


「ああ、どの騎士団に配属されるかな!?ダイヤモンド騎士団だと良いなぁ!」


「…イザベルはどうしてダイヤモンド騎士団にこだわるの?」


「えっ?ああ、それはね…。」


イザベルは養成学校3年目にダイヤモンド騎士団へ仮配属された時のことを語り出した。


「私がダイヤモンド騎士団に仮配属された時にね、とても親切に教えてくれた先輩騎士がいたんだ。カッコよくて、頭が良くて、私が目標にしている人。もし私が騎士になったらあの人と一緒に働きたいって、ずっと思い続けていたんだ。」


「…そうなんだ。」


イザベルが目を輝かせて語る一方で、リディアーヌは目を細め、口を曲げ、面白くないという顔をした。ちょうどその時、黒い髪の男が前に現れた。


「静粛に!これより、配属される騎士団を発表する!各々(おのおの)、見落とさぬように。」


男が場を静め、手に持っていた紙を掲示板に貼り出す。同時に騎士達が一斉に近づき、自分の名前を探し出した。各騎士団によってグループ分けしてあり、一目で自分がどの騎士団に配属されるかが分かる。


「やった!エメラルドだ!憧れのシナプス先輩と一緒だ!」


「ブラッドストーンか…。アメジストに入りたかったなぁ…。」


「やったわ!ガーネット騎士団よ!アメリは?」


「私もガーネットよ!一緒に働けるね、エルザ!」


「げっ、ラピスラズリかよ!またあの人と一緒なのか…。」


希望した騎士団に入れた者、逆に入れなかった者。友達と一緒の騎士団に入れた者。苦手な先輩騎士がいる所に入った者。各々が自分の所属する騎士団を確認し、一喜一憂した。そしてイザベルとリディアーヌは…。


「えっと、私の名前は…あっ!リディの名前あったよ!」


「え、どこに?」


「ほら、ここ!」


イザベルが指を指す方向にリディアーヌは目を向けた。


「リディアーヌ・べアール」・・・・・ルビー騎士団


「あった…ルビー騎士団か…。」


「確か3年の時に入ったんだよね?慣れたところに入れたなんてラッキーだね!」


「う、うん…。私はイザベルと一緒ならどこでも…。」


「ん?何か言った?」


「ううん、何でもない…。それより、イザベルはどこに配属されたの?」


「そうだった!えっと、私は…。」


イザベルは掲示板に目を凝らして自分の名前を探した。が、どこを探しても彼女の名前は見つからない。


「あれ、おかしいな?私の名前がない。ごめん、リディも一緒に探して?」


「分かった。」


リディアーヌも掲示板をくまなく見る。しかし、それでもイザベル・コーランの名前は見つからない。


「どうして?何で私の名前だけないのかしら?」


「きっと何かの間違いだよ。さっきの人に聞いてみようよ。」


「そうだね、聞いてみよう。」


イザベルとリディアーヌは紙を貼った男の元に向かった。男は掲示板の横に立ち、様子を見ていた。


「すいません!」


「何か?」


男はしかめっ面でイザベルを見た。


「あの、私の名前だけが無いのですが、何かの間違いでしょうか?」


「名前は?」


「イザベル・コーランです。」


「イザベル・コーラン…。」


男は手に持っていた書類をめくり、イザベルの名前を探し出した。待っている間、イザベルの心に不安が生まれる。


「大丈夫かな、私…。」


「大丈夫だよ。イザベルなら絶対に…。」


その時、男の手が止まり、ある一点に目を向けた。


「あった、イザベル・コーラン。君は…なるほど。」


「あの、一体私は…?」


イザベルが言い終わる前に、男は口を開いた。この時男の放った言葉が、彼女の運命を大きく変えることになる。


「イザベル・コーラン。君は、騎士団に入れない。」

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