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恋を夢見ない少女の物語  作者: Momo
小学校
19/20

帰国直前になりました

転校することになっても、日常は変わることなく、毎日、毎日、同じことを繰り返す、そんな日々を過ごしています。


こどもの日にはレクリエーションをし、長期休みには家でゆっくりと体を休め、部活で週末帰れないときには友達の家で寝泊まりをし、宿題に追われる平日を過ごし、彼氏もできることなく、寮では女友達でわいわい過ごす。


平和な、毎日。



冬休みまで、残す日数はわずか5日。

金曜日、家に帰れば、冬休み。

そして私は、冬休み明けには、もう、ここにはいない。


父の国の入学式は4月。こちらは9月。

私は、卒業することなく、まもなく五年以上の時を過ごしてきたこの学校から姿を消すことになる。



五年間、厳しい日々を共に過ごしたクラスメート

辛くないた日々、励ましてくれた先生方

親でもないのに、週末面倒を見てくれた叔母さん、叔父さん

週末には羽目を外して一緒に遊んでくれた親友


この国で、関わってきたすべての人と、私は別れないといけない。




あぁ、なんで私はこんなにも無力なんだろう

あぁ、なんで私は親には自分の意見をはっきり言えないんだろう

あぁ、なんで私はまだ小学生なのに何回も転校しないといけないんだろう

あぁ、なんで私はハーフに生まれてしまったんだろう


ーーダメだ。こう思ってはいけない。


子は親を選べない。それは間違いない。

でも、親だってパートナーは選べたかもしれないけど、親も子を選べないんだ。

子を成したくても、できない人だっている。

せっかく孕むことができたのに、流産する子だっている。

病気をもって生まれる子だっている。

欠陥があって生まれる子だっている。

自分の親を恨んではいけない。

特に母親を恨んではいけない。

だって、自分の栄養を子供に与え、

お腹の中で蹴られても受け入れるしかない。

産む瞬間の痛みは分けることができない。


母親は、母親の体で、一生懸命子を育ててる。

捨てられなかったのは、愛されてる(あかし)

離婚してないのは、情がある証拠。

両親が健在で、五体満足で、健康に育ってて、食事にも困らず、学校で勉学できている私は、感謝こそすれど、決して嘆いたり、自分を憐れんだりしてはいけない。


自分よりも、辛い思いをしている人がいることを思い出せ。

私は十分、十分すぎるほどに恵まれているんだ。

国が離れていても、SNS、インターネットの世界で繋がっている。

たとえ国が違っていたとしても、連絡を取れないわけではない。

一緒に過ごした時間、その思い出は、みんなが持っている。

それは、確かな私たちの繋がり。





この一週間、毎日と言っていいほど、ずっと泣いていた。


もうすぐ、みんなと離れてしまう。


悲しいよ

寂しいよ

まだ一緒にいたいよ

もっと一緒に遊びたいよ

私を忘れないでね

絶対に思い出してね

いままでありがとう

絶対にみんなのこと、忘れないよ

思い出、たくさん出来たね

毎日が、楽しかったね

辛いこともいっぱいあったけど、

乗り越えられたね

絶対に連絡してね

いつかまた会おうね

次会ったときは、いっぱい話そうよ

お互いが、経験したこと

お互いが、出会ってきた人のこと

お互いが、心で思ったこと

全部ぜーんぶ、話そうね

これは、一時的なお別れ

永遠の別れじゃないよ

仕事したら、お金稼いで、自力で来るよ

だから、それまで待っててね

来てくれるんだったら案内するよ

観光地、調べておくよ

うちに留まるのもいいかもね

私たちは、まだ小学生なんだ

これからの人生、長いんだよ

だから、絶対にいつかまた会おう

今のところ、少しだけ離れるね

約束だよ?絶対に私を忘れないでね





こう、みんなに言い残した。


冬休み前日、廊下で泣いてしまった。

学年主任、副校長、校長、担任、

いろんな先生に心配をかけてしまった。


先生、いろいろありがとうございました

父の国と、この国は、昔、戦争をしていましたね

それにより、私を嫌な目で見る人たちもいました

先生方のお陰で、私は普通の生活ができました

いつも助けてくださり、ありがとうございました

最後の最後まで、手のかかる生徒でごめんなさい

でも、印象に残ることができたのなら、後悔はしていません。

優しい、優しい先生方、

いままで、本当にありがとうございました








こうして私は、母の国を去った。


新しい生活が、始まろうとしているーーー










小学校の部、完

閲覧ありがとうございました!

これで小学校生活は卒業しました!

次回から中学校の部になります!

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