表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君がいてくれたから  作者: sakiko
8/16

⑧共感度8

本当に嬉しそうなA組の笑顔に囲まれて、いかだ流しは終わった。

次はすぐに800メートル走だ。

すぐに入場門に戻り、即効で入場する。

1年女子は、走る順番が1番最初なんだ……。


「唯香、若菜ファイト〜!」


学級委員としての着順判定係の明日ちゃんが、近くから声をかけてきた。

緊張しながらもうなずいて見せる。

得意な中長距離。

短距離じゃ良いところを見せられないから。

だから、絶対に勝ってみせる!!


「位置について」

「バン!」


一斉に走り始める。

わたしは、後からスピードをあげていくタイプ。だから、最初はあまりとばさない。

今のところ、6人中3位。

前には、若菜と実梨ちゃんがいる。


「若菜ファイト〜!」


200メートル走ってスタート地点に戻って来ると、ひときわ大きい明日ちゃんの声援が聞こえてきた。


「実梨ファイト! 唯香ファイト〜!!」


ちゃんと実梨ちゃんのことも応援している。

2周目は順位変動ナシで走り切り、3周目。

実梨ちゃんと若菜の速度がどんどん落ちてきた。

わたしはどんどんスピードを上げ、トップに立った。


「唯香〜!! 頑張れ〜!!」


聞き慣れた声の全力の応援。

あと1周。このまま走り切る!!

ラスト1周だと告げる鐘を、生徒会副会長の3年生が鳴らした。


「若菜ファイト〜!!!」


若菜が近くにいる。

息遣いと足音、気配でそれが分かった。

イヤだ、イヤだよ。絶対に勝つんだから!

あと100メートル。

あと80メートル。

ウソ。

若菜に抜かれた……。

でも、もうこれ以上スピードを上げることはできない。

わたしは若菜が白いゴールテープを切った直後、2位でゴールした。

トラック内に入ると、みんなも次々とゴールしてきた。


「お疲れ様」


4位係の明日ちゃんが声をかけたのは、実梨ちゃん。

2位のところに並ぶと、先生がコップに入ったスポーツドリンクを渡してくれた。

熱い体に冷たいスポーツドリンクが染み渡る。

ふわふわしていた意識が、戻って来た。

ああ、1位とれなかった……。

でも、A組ワンツーフィニッシュだもんね!

そういう考え方をすれば楽になれる。


「お疲れ様。すごかったよ!」


わたしと若菜に笑顔で声をかけてきた明日ちゃん。

返事をするのも辛いので、ほほ笑んでうなずいて見せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ