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君がいてくれたから  作者: sakiko
7/16

⑦共感度7

「あ。次、姫里さん走るんじゃない?」


B組美化委員の華波(かなみ)が言った。

明日ちゃんと華波には何の共通点もないし、しゃべったこともないはず。

だけど、明日ちゃんの走る能力には、みんなが注目していた。


「明日ちゃんファイト〜!」


一瞬、明日ちゃんがこちらを向いて笑ったような気がした。

生徒応援席からは、応援の声がものすごく聞こえる。


「位置について」

「よーい」

「バン!」


ピストルの音。

1年女子、150メートル走。

すごい、すごすぎる……。

圧倒的な速さを誇るのは、もちろん明日ちゃん。


「姫里さんすごい……」


華波も見とれていた。

そのままぶっちぎりの1位でゴール。2位でゴールした麗羅ちゃんと、笑顔でハイタッチを交わしている。

すごいよ、赤団(A組)がワンツーフィニッシュ!!


「A組、ワンツーフィニッシュ多くない?」

「うん。足速い人がそろってるね」


陸上部の2年女子エースである柚羽(ゆずは)先輩も、誰もが認めるM中陸上部エースの祐梨子(ゆりこ)先輩も、2人とも赤団だ。

1年女子エースの明日ちゃんもいる。

でも、1年男子ツートップの陵河くん(明日ちゃんの好きな人ね!)と川中(かわなか)が2人ともB組なのが辛い……。


「1年生、入場門に行ってくださ〜い」


係の生活委員が呼びに来た。


「あ、もういかだ流しか」


入場門まで歩いて行くと、A組のみんなに囲まれている明日ちゃんがいた。


「唯香!」


わたしのことを見てほほ笑んでくれる。


「150メートル走めっちゃカッコ良かったよ〜! 麗羅ちゃんもすごかった!」

「ははは。ありがとう」

「明日奈がいるとウチは目立たないでしょ」


麗羅ちゃんが笑う。


「何言ってんの」


明日ちゃんがふざけて麗羅ちゃんを軽くにらむ。


「麗羅が一緒だったから、わたしも頑張れたんだよ」

「恥ずいこと言うねぇ」

「あはははは」


みんなで笑う。

ああ、良い雰囲気。

この調子だったら、学年種目のいかだ流しも頑張れるよね!

わたし達A組は、いかだ流しは練習ではいつもビリ。

男子は速いんだけど、女子が遅いんだよね……。

入場すると、緊張感が高まってきた。

体育祭は大好きな行事。なんとしてでも勝ちたい!


「いっけーいけいけいけいけ赤団!」


後ろから、明日ちゃんが掛け声を始めた。


「いっけーいけいけいけいけ赤団!」


みんながそれに続く。


「おっせーおせおせおせおせ赤団!」

「おっせーおせおせおせおせ赤団!」

「いーけ!」

「はい!」

「おーせ!」

「はい!」

「あーかーだん!」

「ファイト〜!!」


男子、頑張れ!!


「もうそろそろ帰ってくるよ! 準備しよう!」


バトンタッチ。男子から、みふに棒が渡った。

みんなの動きがいつもより機敏な気がする。

夢中で土台を作り、みふが走り、あっという間にゴールした。

え、ウソ……。

B組は、まだゴールしてない……。

今までずっとビリだったいかだ流し。

本番で、A組は、2位を勝ち取ることができたんだ!!

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