5話
「ふわぁぁぁあ・・・良く寝た。」
あのままソファで寝ちゃっていたらしく、起きて目に入ってきたのはリビングの天上。見慣れないのと寝ぼけているので、ここどこ?って思った。
あ、私の部屋だ。そう思い出すのと同時に、寝る直前まで持っていたマグカップ。半分も飲んでいなかったような気がするそれを、私はどうしたんだっけ・・・??
!!!
ど、どこにも零してないよね・・・??
身を素早く起こして、ソファや床を見るけれどどこにもこぼれていなかった。
元凶のマグカップは、目の前の机の上に。その中には一滴も入っていなかったし、全部飲んでから寝たのかな??
一応安心すると、周囲を見る余裕が出てきた。
見渡したリビングの中は、初めとは違って随分と可愛らしくなっていた。まだ生活感は出ていないし必要な物もあるけれど、これが自分の家になるんだと思えばやる気がぐんぐんと出てくる。
それに、目の前には折り畳める、小さな可愛い机が。一人暮らしか、誕生日のどっちかで絶対に買ってもらうんだって思っていたやつ!!
でも、もうちょっと小物を置きたいから自室の小物と、あとお金と相談かな、っていうのが感想。
ん?リビングに残っていた段ボールも全部ないし・・・私が寝ている間に2人供が頑張っていてくれたってこと?
はぁ・・・
「2人が頑張ってくれている間に寝ているなんて、かっこがつかないよね・・・。」
溜め息を吐いて、体を伸ばす。ソファっていっても大きくてフカフカしていたから、体がポキポキ鳴ることもなかった。
そういえば・・・
ふっと思い出したのは、夢のこと。やけにはっきり覚えていることが、妙に引っかかった。
暗い空間で、誰かと話しをしたこと。
魔法使いに魔女、魔法に使い魔だなんて・・・誰かに話せる様な内容でもないけど、でも、本当にあったら良いのにって前々から思っていたこと。
「・・・本当に魔法が使えたら良いのに。」
「使えるよ?」
「・・・はい?」
声がしたのは、机を挟んだ向こう側。
ちょこん、と居るのは白いネコ。
どこから入ってきたの!?
ってか、今話したの、このネコ!??
「なに?」
「いや・・・え、話したのは、キミ??」
「そう、ボクだよ。あぁ、別に腹話術とか機械だとかじゃぁないよ?
ボクはそういう生き物だ。あぁ、僕たちを表すに最適な用語があったよ。
『魔法生物』
どう?理解出来た??」
魔法生物?つまり、水魔とかユニコーンとか・・・そういうもの???
え、これ夢??
「いたっ・・・夢じゃない・・・」
夢かと思って頬を抓ってみたけれど痛いし。
「夢かと思ったの?
・・・まぁ、どちらでも良いよ。どちらだろうと時間は進むんだから。」
可愛いフォルムに可愛らしいテノールの声なのに、言ってることは堅苦しい。
え、てことはおじいちゃんなのかな??
私は立ち上がると、スタスタとネコの方に歩いて行った。
「な、なんなのさ・・・??」
ネコが浮かんだ。そして、何か距離を取られた。
「何で逃げるの?」
「き、キミが怖いからだよ。なんなの??」
「・・・機械なのか、魔法生物なのか・・・知りたいだけだよ?」
にっこり
笑ったはずなのに、ネコはもっと距離を取る。なんでかなぁ??
「ち、近づかないで!?」
なんか、私犯罪者みたいじゃない??
状況的には不法侵入で、ネコの方が犯罪者なのに。
「・・・じゃぁ、このまま、話しを続けよう。
キミは魔法生物。夢の声はキミ。なら、私は魔女になれる。代賞無しに、魔力・・・つまり、ゲームで言う所のMPとイメージ、つまりは想像力で魔法が使える。
そして、そこにキミという使い魔がパートナーとして付いてくる。
これで合っている??」
「・・・付け足すとするなら、魔法を使うには勉強しなければ行けない。勉強せずに、知識無しで使った魔法は自殺と同等だよ。
あと、使い魔とはパートナーじゃない。そう思っている魔法使いや魔女もいるし、時代で見ればそう見てきた方が多い。けれど、今はペットだと思っている魔法使いや魔女・・・あぁ、長いな。魔法使い、で総称するけど、それが大多数。
あぁ、胸くそ悪いけど、下僕と思っている魔法使いも少なくはないよ。」
「ふうん。・・・命の危険はないの??」
「漫画や映画みたいな?」
「そう。」
「ないよ。もちろん、指名手配されていたり、警察みたいな危険な仕事に就いたり、危ないことに首を突っ込んだりすれば別だけどね。
普通に生活していれば、そんな危険はテレビの中だけの出来事だよ。」
「ふぅん。」
なら、ネコが夢の中で言ったように目立たないよう、静かにしている必要はないってことだよね??
・・・つまり、ネコには狙われる要素があるってこと、だよね。
ま、いいや。これは後々。今はネコとの契約だよね!!
「それじゃぁ、ネコ。契約しよう?」
「・・・なんの契約?」
「使い魔になるための契約でしょ?」
「・・・・・・契約なんていらないよ?」
なら、その間はなに?
でも、私は指摘しない。だって、これは駆け引きでしょ?
私は駆け引きとか全然上手くないから、使える物は全部使うんだ!!
向こうはおじいちゃんみたいだし。
「・・・そっか。でも、私使い魔契約に憧れていたの。
だから、紙に契約内容と名前と血判押そうね!!」
「け、けっぱん!?」
「そう。念には念を押して!!ね?」
血判って言うと、急に慌てだした。
なんだろう?やっぱり血っていうのは大事なのかな??
「わ、わかった!!ちゃんとしたやつをやるから!!」
「ほんとう??」
「本当!!」
よし!!
思わずガッツポーズしちゃった。
「・・・キミは、本当にボクで良いの?もっと他に、良い子がいるよ?」
「キミが良いんだよ。一番始めに良いに来た、キミがね。」
何か言いたそうなネコ。もう一度私を見てくるけど、変わらない私を見てようやく観念したらしい。
ネコは、私と距離を詰めると床に降り立ち姿勢をただした。
また長くなりましたね。
長くなると、頭がバカになるんです。もともとバカなのに、もっとバカになるんです。
バカになると、説明文とかが疎かになって会話文が8割を占めるんです。
なので、多分後日修正します。