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私と山田くん  作者: 佐倉ハル
3/7

第2話  おはよう


 朝、私はいつもより早く学校に行った。


 廊下を歩いていると、トランペットの音が聞こえる。今日は吹奏楽部の朝練があるようだ。そういえば、昨日友達のさくらちゃんが明日朝練があると言っていたような気がする。


 教室に入り、技術の授業で使うスプラウトに水をやる。すでに3日たっているがまだ芽が出てこない。ほかの子達は出ているのに…と少し不安になる。


 そして自分の席に座った。私の席は窓側から2番目の1番後ろの席だ。山田くんは窓側の1番後ろの席。彼の机には、彼の友達が描いたのだろうラクガキが残っていた。それだけで私は彼の隣なんだとうれしくなる。


 『カキーーン!!』


 「ぁっ!」


 (今日ってもしかして……!)


 教室からベランダに移り、校庭を覗いた。


 (……あっ!いたっ…!)


 校庭では、野球部が朝練をしていた。


 野球部は校舎よりで練習をしているようで、すぐに彼を見つけることができた。


 すごく真剣な顔をしていた。冷静に部員に指示を出す姿は、いつもよりかっこよく見える。


 

 ガララララッ



 パッと扉の方に振り返った。ベランダは基本先生がいないときは立ち入り禁止で、先生に見つかったと思ったのだ。しかし来たのは先生ではなく、


 「おはよー。ぁっ!ベランダに出てると先生に見つかるから戻りなー?」


 私の親友の佐伯由衣だった。ホッと息を吐く。


 「うん。おはよー。そうするね~……。」


 まだ見ていたかったのに…と名残惜しく思う。真剣な彼はとてもかっこよく、普段とはまた違って見えた。いつもその姿が見れる野球部の人達がうらやましい。これからは毎日早めに来ようかな?と密かに思った。




 ザワザワ……


 みんなが登校してくると、教室は騒がしくなる。


 『おっ!俺やっと芽ぇでたわ!』


 『へー。やったじゃん。おめでとさん。』


 『あっ!このノートかわいいね?どこで買ったの?』


 『えへへ。ぺんぎ○堂だよ~!あそこ、かわいいの多いよね~!』


 など、楽しそうな話で教室がいっぱいになる。今は8時5分、まだ山田くんは来ないのかな~…?


 「オイやめろって…」


 っあ。来たっ!私はじっと見つめるのはどうかな…と思い、本を読むフリをする。少し、ドキドキする。おそらく彼は、山本くんと来たのだろう。よくいっしょにいるのを見かける。


 ガタンッ


 よしっ、山田くんが来た!あいさつするぞっ…。


 「「…おはよっ……。」」


…うぇっ?…あ…。かぶっちゃった…?…んんっ!?でもさっきかぶったってことは、彼も私におはようって言ってくれようとしたってこと…だよね?


 「…うん。おはよっ。」


 えへへ。ちょっとうれしい。


 「…ん。」


 

 もっと…話せるようになりたいな~…。



 …なんてね。







ありがとうございました!

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