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霧崎琢磨 side


今日は白峰コーポレーションとの商談へ来た。

白峰コーポレーションはここ数年で急成長した大企業だ。ここ数年ほぼ同格というところまで成長している。

そんな白峰コーポレーションとの商談は我が社にとって、必ず利益になるはずだ。


そして、白峰コーポレーションと言えば忘れてはいけないのが社長だ。噂ではこの社長はまだ若いらしい。ここまでの会社を設立したというのになんとも信じ(がた)い噂だが、俺は結構信じている。

ただの感だがな。


そして、なぜかこの社長は表舞台に一切顔を出さない。顔を見せることが憚られる何らかの理由があるのだろう。

だが、正直顔を隠す意味が分からない。そんなことをしても百害あって一利なしだ。相手の顔も分からなければ、何をするにしてもいい印象を受けない。

きっと、社長はよほどの物好きなのだろう。




「かしこまりました。霧崎様でいらっしゃいますね」


初めて彼女を見た時、何か引かれるものを感じた。

この時は、受付については秘書の全木に任せていた。なぜ、自分がやらなかったのかとひどく後悔したものだ。次からは彼女が受付にいたら自分でやろうと心に強く決意した瞬間だった。


しばらく待つと副社長の秘書を名乗る女性が来た。そして、副社長のいる部屋へと案内される。

分かりきっていたことだが、社長ではなく副社長が出て来るとはなめられている感がしてならない。




「ようこそ。本日はよろしくお願いいたします、霧崎社長」

「こちらこそ。この度は、商談に応じていただきありがとうございます」


そう言って、俺は求められていた握手に応じた。


「ところで、社長はいらっしゃらないのでしょうか?」

「申し訳ありません。社長は只今外出中でして……。ここしばらくは忙しいため、代理を務めさせて頂きます」


(やはり出てこないか)


こんな事で出て来るのならもうとっくに表舞台に出て来ているだろう。


「それでは、商談を初めさせて頂きます___」






しばらくして商談が休憩のため、一時中断となった。俺はそれを利用して少し探りをいれる事にした。尤も、少し見て回るだけで何かが分かるなんて期待はしていない。

そうして、ふらふらしていると彼女に出会った。


「霧崎様?このような場所でどうされましたか?」



俺を警戒しているのだろう。まあ、当然か。

俺はは道に道に迷ったと言って彼女に案内してもらった。もちろん嘘だ。

彼女は、嘘だと気づいている様子だったが、何も言ってこない。彼女から話しかけてくる事はなかったが、俺が話しかけた事を無視するようなこともなかった。


少し話した中で気になったのが、「黒の社長」だとかの異名がついていることだ。

こんな異名があるなんて恥ずかしくないのだろうか。少し本気で考えた。やはり、社長はかなりの物好きなのだろう。






あれから数日後、白峰コーポレーションとの商談の帰りにまた彼女と出会った。以前とは違う服装をしていたが、それはそれで彼女は魅力的に思えた。

彼女の希望で寿司に行くことになった。正直、俺は寿司はあまり好みではないが、彼女となら何でもいい。


彼女と別れた後、 彼女の名前を聞いていなかったことに気づいた。それを言うと、全木は呆れたような顔をした。自分でも、普段仕事でしないような基本的なミスをしたと思う。


「いったい何をしていらっしゃったのですか。調べておきます」


全木は話が早くていい。余分な事はせず、必要な事だけをやってくれている。もうかれこれ長い付き合いだ。






それからまた、数日後。彼女の名前が新橋晴海だということを知った。丁度その日は、早くに仕事にキリがついたため食事に誘うことにした。彼女の携帯の番号が全木が名前と一緒に調べていた。

かなり無理矢理だったが、それでも彼女が来てくれたことはうれしいものだ。


そんな感じで一時間、彼女と過ごした。そして、彼女に思いを伝えた。

少し早い気もしたが、どうしても言わずにはいられなかったのだ。


返事がもらえなかったことは少し残念だったが、これくらいはいいだろう。

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