意外な誘い
「何が食べたいですか?」
そう言われてメニューを見たが、すぐにやめた。料理は複雑な名前が多く、早々に理解するのを放棄したかんじだ。
「何でもいいです」
諦めて霧崎さんに選んでもらうことにする。適当に選ぶことも出来たが、霧崎さんなら変な物は選ばないだろうと思い、頼むことにした。
「分かりました」
そう言って、料理を頼んでくれた。
おいしい。
さすがの高級店である。そこらへんでは、絶対に食べられないような味だった。もちろん、素晴らしいものだった。
もう一度言おう、さすがの高級店である。
「どうです?ここの料理は?」
そう言われたのは、世間話をしながら料理を食べていて、この店に来てからだいたい三十分くらいたった頃だった。
「はい、とてもおいしかったです」
とても満足できた。
「それで、今日はいったい何の用だったんですか?」
本当は忘れていたかったが、こう何度も誘われたらたまったものではないと思い、本題に切り出すことにした。
料理だけなら何度でも来たいんだけどね。
「告白しようと思いました」
は!?
「私と付き合っていただけませんか?」
はいぃぃ~!?
この人はいったい何を考えているのでしょうか。冗談ですか。冗談ですよね!?ああ、そうですよね。きっとからかわれているんですね。
「冗談なんかではありませんよ。私はいたって本気です」
くすって笑ったようなその顔、とても絵になります。ていうか、何で考えている事が分かるの!?エスパー!?
「とても分かりやすく顔に描いてありますよ」
これでも顔の表情を隠すとかは得意だったんですけどね。というか、またよみましたね。
「まあ、返事は急ぎませんので次に会うときまでに考えておいてください」
そう言って、私を○○駅まで送ってくれた。まあ、運転していたのは原田さんだったけどね。
家まで送るというのはさすがに遠慮しておいた。まだ家はバレたくないからね。
☆自宅にて☆
(どうしようどうしよう)
私は、家に帰ってからずっと部屋の中をぐるぐると歩きまわっていた。
(そっ、そうだ。こんな時はあいつに相談しよう)
プルルルル。プルルル、ガチャ。
『もしもし?』
「もしもし、優磨君!?どうしよ~」
困った時の幼馴染み。なんかちょっと違う気がするけど。あと、呼び方については気にしないでほしい。
『篠夜?どうしたんだ?』
久しぶりの電話に少しだけ驚いたようだった。
そして、今日の事を話すと少しだけ考えたように言った。
『……まあ、お前が付き合いたいならそれでもいいんじゃないか?』
「なんで?」
『なんでって、霧崎コーポレーションとお前の所は別にいい感じの関係で通っているんだろ。特に問題はないからな。お前の好きなようにすればいいだろ』
「う、うん。ありがとう」
『別にこれくらいはいいよ。じゃあな』
「うん、ばいばい」
こうして、優磨との会話は終わった。
実を言うと、私は別に霧崎さんの事が嫌いではなかった。ただ、立場を考えて控えた方がいいんじゃないかと思っただけだ。でも、優磨との会話で少し考えが変わった気がした。
電話の後の優磨はというと……
「なんで、そんな事を俺に相談するんだよ」
実は、優磨はずっと篠夜のことが好きだったのだ。もちろん、篠夜はそんなことは気づいていない。
そしてさらに、だいたいこの頃の霧崎社長と全木
「言ってしまったのですね」
「なんだ。別にいいだろ」
「さあ。やっぱりかわいそうな晴美さん」
「なんか言ったか」
「いいえ、何も」