住所特定される可能性
「おーい!多田!起きろ!学校に着いたぞ」
俺はいつの間にか先生の車内で寝てしまっていたらしい。
俺はまだ眠かったが流石に先生の車内で寝ている訳にもいかないので起き上った。
「今はちょうど1時間目の授業と2時間目の授業の間の休み時間だから休み時間が終わらない内に教室に戻れ」
俺は先生に言われると急いで学校の校舎内に入って教室に向かった。
教室にたどり着くとギリギリ間に合った。
「おおっ! 安弘が戻ってきた!」
「お前もやしと何処行ってたんだよ」
「まぁ色々とあったよ」
また関わると面倒な連中が寄って来たので適当に受け答えをした。どうせ話しても顔を晒したことを馬鹿にされるだけだし。
周りでは女子が俺の方を見て笑っているが、これも気にしない方がよさそうなので放っておく。
2時間目の授業が始まってもずっとネット上の世界の事で頭がいっぱいで授業に集中できない。
気がつくと6時間目の授業も終わっていた。今日の授業は6時間で終わりで帰りの会もないので俺は部活に向かおうとした。こんな状態で部活に出るのもどうかと思うが、秋見先生には平常心を保つためにも部活には出ておいた方がいいと言われている。
「安弘。おーい安弘!」
俺が振り向くと俺の無二の親友で同じ部活で頭がそこそこいい推名拓弥がいた。
俺は拓弥の能天気さが憎めない。
「まさかお前が顔晒すなんて思ってなかったぜ。なんなら俺も晒そうか?」
「晒すと色々と大変だからやめた方がいいと思うよ」
「そういえばもやしに呼びだされたんだってね。大変だったろうね」
「いいや大変なのはこれからなんだよ」
「まぁ画像が拡散すると大変だからね。大悟の時みたいに住所特定されないといいね」
「そういえばあいつも顔晒したんだよな。それで住所特定されて引っ越したんだよなぁ……急がないといけないな」
「ん?何を急ぐんだ?」
「あ、いや、別に……」
大悟というのは小学校5年生の頃に顔を晒して画像が拡散されて住所が特定されてしまい引っ越した友達のことである。
大悟のことがあったため、あまり個人情報はインターネット上に出さないように心がけていたのだが、このようなことを起こしてしまうとは……全くもって不甲斐ない。
俺は拓弥に仮想空間の事を言っても信じてくれなさそうなので仮想空間のことは言わない事にした。
「そういえば今日予定あるから部活休むから誰かに言われたら言っといて!」
拓弥は部活を休むと俺に宣言してきた。あんなことをしてしまった俺ですら部活に出るのに、全く自由なやつだ。
「どうせくるんだろ。部活」
「いいや行かないって!」
「それじゃあな安弘!」
「おう!部活でまた会おうな」
別れを告げると、俺は拓弥と分かれて部活に向かった。