判断
「ええっ!?それってどういうことですか?」
母さんが既に俺が顔を晒したことを知っているという事実を言い渡され、頭の中で様々な感情が交錯する。
いつかは母さんも俺が顔を晒したことを知るとは思っていたがまさかもう知っていたとはな……。というかなんで朝家出る前に何も言ってくれなかったんだよ。
「実は僕と君の母親は昔一緒にインターネット上の世界に行ったことがあるんだ」
「そうなんですか……えええええぇぇぇええ⁉︎」
俺は驚きを隠せなかった。
母さんが昔から秋見先生と知り合いなんて知らなかったぞ……母さんの昔話は嫌というほど聞いたのにそんなことは聞いた事が無かったな。
でも母さんも母さんだよなぁ。あの世界が危険だって知ってるのに行かせようとするなんて……。
「20年前僕も顔を晒してしまったことがあってね。その時に丁度IIDSが発売されたんだよ」
「先生も顔を晒したことがあるんですか?」
「まぁね……だから君が顔を晒したことに対して僕が君にとやかく言う権利はないんだ。それでIIDSを買ったんだけど間違えて2台買っちゃったから当時近所に住んでた君の母さんに画像消去を手伝って貰ってたんだ」
間違えて2台買ってしまったと聞いて大爆笑した。
間違えて2台買ったってどういう状態だよ。ドジな秋見先生らしいな。
「この話はここらへんにして本台に戻ろう。これ以上は言いたくない事もあるし…………」
先生がそう言ったので笑うのを我慢した。言いたくない事というのが気になったが、言いたくないなら聞かないでおこう。
「君の母さんは自分のやってしまったことは自分でなんとかしなさいって言ってたよ。多分多田君に沢山の経験を積んで欲しいから死の可能性のある場所にも送りだせるんだよ」
「でも……」
俺は正直言って不安だ。母さんに言われたことは守りたいけど死の可能性がある事はやっぱり怖い。
「一度起こした事はもう取り返しがつかない。だからこそこれからの君の行動が大切だと思うんだ。インターネットで晒し物にされて自分が死んだ後も晒されるのと画像を消去して少しでも晒されないようにするのではどちらがいい?」
これは自分の運命を大きく分ける選択だと分かっていたので慎重に考えた。そして俺は答えを出す。
「やります! 死の可能性がある事は怖いけれども死んでからもネットの晒し物になるなんて嫌だっ!」
俺は声高にそう宣言した。
俺の判断はこれでいいのかは分からないけどもう言葉に出してやるって言っちまったしな……もうやるしかねぇか!
「よく言った!」
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