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証言

インタビューです。


側近アレス視点 → テルモア視点

証言 側近アレス


【クランガウンド様についてお聞かせ下さい】



「クランガウンド様ですか?あの方は凄い御仁ですよ。竜騎士団に入団するやいなや、次々と竜騎士団4天王をバッタバッタと薙ぎ倒し、25歳には最強と言われるほどになりました。そして、30歳という若さで陛下より騎士団長を拝命されたんです。

私はあの方の側近になれて大変嬉しく思っています。」


【マーナ様とクランガウンド様についてお聞かせ下さい。】


「一言でいうと『溺愛』ですね。マーナ様と出会ってからというもの、クランガウンド様の浮かれようときたら……ものすっっごいですよ!

毎日デレデレされてノロケてばっかり。


『今日、初めてマーナの手を握ったら頬を染めて大変可愛らしかった。』


『マーナがおかえりのキスをしてくれた。俺は幸せでおかしくなりそうだ。』


『マーナが屋敷に来て、初めてクッキーというものを作ってくれた。美味しかったが、俺はマーナを食べてしまいたい。』


………。


あんた何歳だよ!

35歳だよ!

おっさんだよ!?

と、言いたくなりますね。


毎日、クランガウンド様を定時に帰宅できるように調整し、馬車馬のように働いているこちらの身にもなってほしいですよね〜。

まぁ、私の野望のためには仕方ないことですが。」


【あ、クラ(え、黙ってろ?わ、分かりました)ごほんっ、えっと野望って何ですか?】


「あぁ、野望ですか?

あの朴念仁様(クランガウンド)に頑張ってもらってマーナ様とくっついてもらうことですね!


しっかし、あの朴念仁様(クランガウンド)ときたらなかなか言わないんだから。メロメロなの誰が見てもすぐ分かるのに。

分かってないのマーナ様くらいですよ?だからさぁ…



【あ、それくらいで止めておいた方が……】


「まぁ、それももう終わりで、え、何?」


《言いたいことは終わったのか?アレス》


「ひぃっ!ク、クランガウンド様。い、いつの間に後ろに?!」


(めっちゃ顔怖い!どこから出してるのその低い声!悪魔も魔王もびっくりして腰抜かしちゃうよ!?やべ、僕、オシッコチビッタカモ…)


《おっさん…あたりからだ。》


「……そ、そうですか。」


(聞かれたくない所全部聞かれてるじゃん。ヤバイヤバイヤバイ!どうしよう!

……なんてね。ふふふ。こんな事もあろうかと用意していた秘密兵器を出す時が来たようですね!)


「あ、そうだ。クランガウンド様、実はマーナ様よりお手紙を預かっていたのをうっかり失念しておりました。こちらです。」


《な、何!?マーナからの手紙、だと?》


「はい、『やっと字が書けるようになってきたので、クランガウンド様にお手紙を書いてみたいです。』と頬を赤らめておいででしたよ?

もしかしたら、恋文かもしれませんね。」


《こ、恋文………。ごほん。あ〜、俺は少し休憩してくる。アレス、この書類は任せたぞ、明日までに頼む。》


「はい、いってらっしゃいませ!」


(ふっ。ちょろいな、クランガウンド様。マーナ様は『お仕事の合間にお渡し下さいませ。励ましの手紙なんです』って言ってたな。

それにしても、明日までって何の書類だろう?ゲっ!これ3日はかかるでしょ!鬼!悪魔!)





「今日も徹夜かぁ……。僕も妻に癒されたい。」




************



証言 テルモア



【クランガウンド様についてお聞かせ下さい】



「そうですねぇ。私は元々はクランガウンド様のお母上様付きのメイドだったのですが、クランガウンド様がお生まれになった時はそれはもう大変な騒ぎでした。ふふっ。


『また男か!おや、なんと目つきの悪い赤子だ!可愛気がないな、ガハハハッ!』

『まぁ、貴方にそっくりではございませんか。おほほほほっ。』


と、ご両親共に大変お喜びで、上のお二人のご兄弟様もクランガウンド様を大変可愛がっておられました。


ただ、成長期に入りますと…その。お顔立ちが変わられまして……。


15歳で学院にお入りになりましたらご学友様達から『悪魔』だとか『鬼』だとか。恐れられるようになってしまい…。

くすんっ。

お可哀想なクランガウンド様……。



【マーナ様とクランガウンド様についてお聞かせ下さい。】



「クランガウンド様がマーナ様をお連れになられた時は、それはもう驚きしたわ!

マーナ様が、あの気性の荒い黒竜に乗っておられたのもびっくり致しましたが、クランガウンド様のマーナ様へ向けるあの甘い視線といったらっ!

ふふふっ。

やっと春が訪れたのだと、夫と一緒に手を取り合って喜びましたわ。」


【テルモアさん、夫がいたんですね?】


「あ、はい。影がとても薄いのですが、このお屋敷で執事をしております。」


【へぇ〜、そうなんですか。あ、マーナ様はお元気ですか?】


「はいっ。それはもうお元気ですよ。

1週間前の舞踏会では、何やらあったご様子で、帰るやいなやマーナ様のお部屋でお二人きりで話込んでいらっしゃいました。

クランガウンド様はお話が終わると、寝ずにある貴族のことをお調べになっておられました。

私は、お二人のことが気になってしまい、寝られなかったのでございます。

クランガウンド様に紅茶を淹れて差し上げましたら、お顔がいつもの3割増し凶悪でびっくり致しましたが、何かを見つけたのか、不敵に笑っておられましたよ?

おほほほっ。


マーナ様は、その翌日昼前頃起きられたのですが、ベッドの上で『きゃあ〜』『うわぁ〜』とゴロゴロされておいででした。

とてもお幸せそうで、私も嬉しくなりましたわ。


あっ、そうそう。


クランガウンド様とマーナ様は5日前に正式にご婚約されたのですが、クランガウンド様が強行に『最短で結婚式を!』と言われまして。


普通なら2ヶ月はかかる所を、20日後に結婚式を挙げることとなりました。


2日後にはクランガウンド様のご両親にお会いになるそうです。


マーナ様は、

『ご両親に、クランガウンド様を下さい!ってお願いしないといけないわね。私、頑張るわ、テルモアさん。』と張り切っておられましたが…?

普通は逆ではないかと思います。


ふふふっ。

私も、着いて行くことになっておりますので、黙っておくことに致しました。

クランガウンド様はどのようなお顔をされるのでしょうか。


とても、楽しみでございます。




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