ゆっくりと思い出して欲しいわねぇ
Mカレ 第二話
「それで、そこのお店がね。もう凄いのよ。天井にシャンデリアがあって…って、聞いてる?桜。
…ちょっと桜、桜ー!?」
「…何?聞いてるってば」
それを聞いて友達の葉燈は、ため息をつく。
「はあ〜あ。さっき聞いた時もそう言ってたわよ、あんた。
で、今度はどっちなのよ。」
「どっちって…。何の話よ。」
桜が葉燈から目線を逸らしつつ言うが、葉燈は桜に軽くデコピンをして面白可笑しそうに口を開く。
「荒縄と三村の、どっちのこと考えてたのよ!どんなにあんたが隠そうとしても顔でどうせ丸分かりなんだから早く言っちゃいなさい?」
桜も、ひりひりする額を抑えながら顔を朱に染めつつ喚き散らす。
「も、もう!大きな声で言わないでよ。私のヒミツ知ってるの、葉燈だけなんだから!
だ、誰のことでもいいじゃない。
それに、その言い方だとまるで私が浮気者みたいじゃない!」
「へえへえ、違うというなら昨日のあんたと私との会話を今一度ゆっくりと思い出して欲しいわねぇ。」
「なっ!そんなの決まってるじゃない!!えーっと確か、荒縄さんがアレした話でしょ?そのあと王子が数日前にラブレターを一日に十通貰った話、次に…荒縄さんがコレして…王子が…う…」
言えば言うほどとんどん深みにハマっていくのを感じ、やがて桜はむぎゅっと口を結び黙ってしまった。
「ほ〜ぉうら、あんたの会話荒縄と三村しか出てこないじゃない?
もういいから認めちゃいなさいよ、あんたはどっちも好きなんでしょう?」
「うっ…」
追い詰められた動物の様な顔をし桜はじりじりと後ずさるが、葉燈がそれを許してくれない。
なので、もう桜も認めることにした。
現状を認識し、元凶を意識しつつかあっと頬を紅潮させながら。
「どっちかなんて、選べない。
私はどっちも…すき、だから」
「だってさ、三村!」
「…え?」