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記号と境界
──世界は『境界』と『記号』によって成り立っている。
『境界』とひとえに言っても、はっきり見えるモノから曖昧で見えないモノまで様々だ。
『境界』がなければ生命どころか空間すら存在しないことになる。
全てのモノは『境界』によってその存在を確立させている。
そして、その確立された存在は『名前』という『記号』によって存在していることが確定される。
だが、今ある『境界』と『記号』はあくまでも『人間』という存在が作ったものだ。
色々な存在は人間の手によって『記号化』され、書物に記された。
それによって存在同士の『境界』は、よりはっきりと鮮明になっている。
──ある意味では世界は大きな書物と言ってもいいのかもしれない。
色々な『境界』によって確立され、色々な『記号』によって確定された存在達を世界は内包しているのだから。