表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MILD•War  作者: Ruru.echika.
2/2

薬草を探せ

「ちょっとセルティー!そっちじゃないってば!」



「え?ああごめんごめん。」



持っていた籠を背負い直して、アニーの声のした方へと歩いて行く。

視線の先にはアニーが居て、ぷりぷりと怒っている。



「迷子になったらどうすんの!?」



「なった時はなった時。自力でも家に帰る。」



「それ地理を理解してないセルティーには無理がある!」



その声に笑って「やっぱり?」とおどけると、アニーは呆れた顔でため息をついた。



アニーの家に保護されてから一週間が過ぎた。

小さな村には噂が広まるのが早く、次の日には村長と名乗るレオルドさんが挨拶に来た。



彼曰く「心の傷が癒えるまで、どうぞゆっくりして行って下さい」との事。



それから村長宅に押し入ってこの村の起原や歴史を洗いざらい聞きだしたり、その息子であるジェイクさんに牛の世話を見学させてもらったり、近くの川に村の子供達と遊びに行ったりと…色々な事をした。

そしてどれだけ体力が無いのか思い知った。



ああ…体鍛えなくちゃアニー達に負ける。

私はそう思って、アニーの山菜採りのお手伝いを勝手出た。

エリダさんは危ないと止めようとしたが、村長さんがこれも経験と説き伏せた。

…あのおじさまは話しが分かるなとひそかに上から目線なのはご愛敬だ。



「セルティー?」



「あー、ごめん今行く!」



再度の呼びかけに答えて、私はアニーの隣に腰掛けた。

…アニーの付けてくれた名前は村中に広まり、まったく知らない人からも黒髪のセルティスと声を掛けられる事も多くなった。

しかし愛称で呼んでいいのはアニーとエリダさん。村長と他数人にしかアニーが許可を出していないらしく、大事にされたもんだなーと感動したのはまた別の話し。



「…で、アニー。山菜ってどれだけ種類があるの?」



「まあ一口に言っても食べられるものと医療物で食べられない奴がある訳だけど…。

今日私達が採るのは5種類ね。ちなみに村長から頼まれたのもあるから、量は多くなっちゃうよ。」



「おじさまってば何気に鬼畜だね」



私がそう返すと、アニーはすんごい形相で頷いた。



「…この近くには洞窟があってね、その奥の湖の所に採取ポイントがあるんだ!」



「湖…そんなのがあるんだ。」



向こうに居た時には見に行った事も無かったからなーと頭で考えていると、ぺしりと叩かれてしまった。

むっとしてアニーを見ると、にかっと笑っていた。



「…なにさ、気持ち悪いな。」



「それはひどくない!?」



再びぷりぷりと怒り出したアニーを華麗に無視して、私はその洞窟とやらを目指した。



そこから10分程歩くと、岩壁にぶち当たった。



「へえ、洞窟とか言うからもっと薄暗いもんかと思った。」



「ここは特別だよ!

上にはボコボコ穴が空いてて、そこから光が洞窟に入ってんの。

だから朝から昼過ぎまでは明るいの。」



アニーの説明通り、洞窟内に入ると思いの外明るく。

岩肌剥き出しだからか少し涼しく、上からやら横からやら風が通っていて中々に居心地が良い。



人が通るためか、洞窟の入口から向こうの光までの道は整備されていて歩きやすかった。



「かなり短い洞窟なんだ?」



辺りをきょろきょろ見渡しながらそう聞くと、隣でこくりと頷いた。



「湖の規模が大きいから、この山のほとんどは湖の上に山があるって感じかな。」



「湖、かなり良い感じに隠れてるんだね。」



私の言葉に、アニーはクスクスと笑った。



ほんの5分くらいでもう洞窟を抜けた。

目の前に広がるのは、樹々と草花に縁取られた大きな大きな湖。



所々にひゅんひゅんと飛び回っている虫の様なものが気になるが、それ以外を見ればもうただの立派で綺麗で大きな湖でしかない。



際にまで近付いて水面を覗き込むと、透明度がハンパない。

向こうの方まで水が無い様に見える。



「セルティス様の加護により、この山の湖は他に無い効果もあるんだ」



「効果?湖の水に?」



なんだなんだ?聖水とか言うのか?



「英知の水って言って、作物に艶が出る」



「さすが農家」



私が笑ってアニーの肩を叩くと、次いで聞こえた言葉に首を傾げた。



「ま、清めの効果もあるよ。

ゴーストとかアスターンとか、この水大嫌いだから。

御守りとして水筒にいれてく人結構居るし。

私達の村はこの湖の水を貯水庫に貯めて、色々使わせてもらってるの。

ほら、ここから一番近いし!」



「ごめん侮ってた。私の心構えが甘かった。」



その場に伏せると、アニーが「大丈夫!?」と同じく腰を下ろした。



…うわ。マジでファンタジーなんだ。

ゴーストとかならまだ理解出来るけど、アスターンてなんだアスターンて。

なんか初歩的なモンスターしか知らないけど大丈夫なのこれ?

ほぼ聖水と威力変わらなくない?

エデュオンすげえ。ハンパないのは湖だけじゃなかったわ。



「…そもそも、私の知識に無いものが多すぎるよ。

このメモに書かれてるおじさまからの文字とか訳解んないもん。

なにこれ、マジックグラスって。

ルルスギスとかファッシュとか。薬草なの?それとも…」



「まあ見て知れば追々慣れるって!さっさと摘んで帰ろうよ!!」



そう言って更に湖の奥にある採取地に向かうアニーの後を、私は不貞腐れながら追いかけて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ