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Final story + First story  作者: サイカ
第二章 首都のギルド
32/38

三十一話目 寸止め



Side 瞬


 バテー草原


なだらかな平地にひざまでの高さまで成長した雑草が生い茂る場所。

危険性はモンスター以外には天然の罠があったりするが、戦闘中にかかると厄介だが移動中なら特にかかっても笑い話で済むレベルである。

モンスターのレベルはそこまで高くなく、耐性持ちはスライム(物理耐性)のみという初心者ご用達の狩場でもある。



しかし、その初心者向けのバテー草原には、高レベルのモンスターから作られる武具を身に着けた戦士・魔法使い・僧侶・盗賊から成る四職業から、その派生形までが数十人規模で集結していた。

その中で、もっともランクの低いCランクに分類される、10人ほどのなかでも装備が一番充実していない者が―――おそらくCランクに上がりたてだろう―――二人いた。



(・・・全員、すごい装備ばかりだな・・・。

フーリさんが団長から最低装備一式をもらってなければ、学院指定の皮系装備だったのか・・・。

ものすごい場違いだな。)


(僕たちみたいに鉱石系の装備を付けている人はほとんどいないね・・・。)



もちろん、二人とは変装した瞬、静のことである。

ガラの悪い冒険者がここに居たら、迷わずケチをつけるところだ。

しかしここにいる冒険者は自分たちが昔そういう経験(駆け出し装備で参加)などは日常茶飯事であったので、あの二人をなるべく守れるように動いていた。



「やあ、君たち。

装備から見るにCランクに上がりたてで、このような大規模な戦いに参加するのは初めてかい?」


「は、はい・・。」


「Cランク二人ということはAかBの人が一人いると思うんだが、誰がいるのかな?」


「Bランクの人が一緒です。

たしかギルドのG,Fランク受付兼新人育成係のフーリさんです。」



「「「フーリさんだって!?」」」



こちらに聞きに来た人もその後ろで聞き耳を立てていた人も、一気に騒ぎ始めた。



「フーリさんってそんなに何かあるんですか?」


「おっと、新人よ。

大規模戦では支援魔法の強さで戦いがぐっと楽になるのはわかるだろう?

あの人の支援魔法は同じステの同装備の人間より効果があるんだ!」


「いやいや、妨害魔法も忘れちゃいけないぜ!

あの人の魔法で大けがを免れた奴は両手じゃ数えきれないからな!」



「あの・・・ほめてくれるのはありがたいですが、そろそろ時間なので静かにしてくれませんか?」



「フ、フーリさん!?」

「一体どこから出てきたんだ!?」



静かにしてとフーリさんは言ったが、冒険者たちは話題の人物が登場したせいか全く騒ぎが止まらない。

フーリさんは、ため息とともに詠唱を開始した。

そして杖を振りかざすと騒いでいた人たちが急に喉を抑え始め・・・どうやら風魔法で音を遮断したらしい・・・これも妨害魔法なのか?



「・・・では、今回の作戦を発表します。

Sランクと一部のAランクは単独でスライムを間引きしています。

たまに爆発音が聞こえていますが、魔法ではありません。

私たちは全員で固まって動いてリーダー格を一匹ずつ倒していき、ロードだった場合は即撤退、単独行動の冒険者と合流し、ロードを討ちます。

大まかな動きはここまでです。何か聞きたいことはありますか?」


「あの、そろそろ魔法を解いてもらっていいですか?

息の根を止めるのは一分以上では危険ですから。」



半分以上の人間が青い顔をして地べたにぶっ倒れている。


訂正。魔法で音を遮断したわけではないようだ。

喉自体を圧迫していたよう・・・・あれそんなことしたら死ぬんじゃない?

ちなみに話しているのは騒いでいなかった冒険者の方だ。



「がはっ、ごほっ!

・・・ったくフーリの姐さん、声を止めるなら音遮断でいいじゃないか・・・。

なんで息の根まで止めにかかるんだ。」


「何のことでしょうか?あと、姐さんはやめてください。あなたたちより年下なんですから。」



「じゃあ、フーリ嬢ちゃ(ガクッ」



「あ、強く締めすぎました。シロ君、回復魔法をお願いします。」


「あの・・・死んだひとに回復魔法は効かないのでは・・?」



「大丈夫です、虫の息ですから。」



死んだと仮定した静も大概だが、そこまでに追い込んだフーリさんが鬼すぎる。





「さて、お遊びはここまでです。

間引きもそろそろ終わりそうだと連絡が入ったので、リーダー格を倒しに行きますよ。」



「「「おうっ!」」」



あれから数分が経って、フーリさんの端末に連絡が入り戦いを始めることが決まった。

リーダーは3体、ロードは1体で、ロードは後回しでリーダーを各個撃破していくようだ。




しかし、ここでアクシデントが。




「・・・いないぞ?さっきからもう30分は探してるが。」


「だな。森の中ならともかく、こんな視界のいい草原で見つからないってのはおかしい。」


「S・Aランクが討ち漏らしたスライムならいるんだがな。」



予想されていた戦闘に向いた平坦なところにはせいぜい属性付加スライムのみ、ほとんどはプレーンスライムという状況。

S・Aランクの人がこの場所を大きく囲むようにモンスターを誘導しながら戦っているはずなのだが、どこを探してもいない・・・。



「でも何かおかしいんだよな・・・?」


「どういうこと・・・ですか?」


「新入りの嬢ちゃんも駆け出しのころを覚えてないか?

ここらの平原はあんなでかい岩なんてなかったはずなんだが・・・まあ数年前のことだから俺もよく覚えていないんだが。」



ひぇっ、男に嬢ちゃんって言われるとか鳥肌じゃなくて、じんましんが出そうだ。



って何だって!?



「・・・まさかあの岩って・・・!」


「シロ君、クロさんどうかしましたか?そんなに驚いた顔して?」



フーリさんや他の冒険者の人がなにやら心配してくれている・・・が今はそんなことに構っていられない・・・!



「シロ!投擲用短剣(素材:木)でいいか?」


「姉さん、しっかり当ててよ!」



「お、おい?新入り二人どうかしたのか?あの岩なら特に」



くそっ!戦士系の脳筋にはわからないのか!?(いや、兄さんも脳筋だよね!?)

自分たちの予想があったていればたぶんあれは・・・!

そう考えながら短剣(木)は岩の中心めがけて飛んでいき―――





―――岩にめり込んだ。





『は?』



「ちょっと待て!なんで弾かれないんだ?」


「あの短剣(木)はなにか特殊な力でも付いていたのか?」



「これはまた厄介なところに居ましたね・・・!

まさか岩に擬態・・できる『スライムリーダー』がいるとは・・・。」



「「「なんだって!?」」」




そう、誰もが岩だと思って通りすぎていたものは、ランクBの『スライムリーダー:風属性付加』であった。

その体は緑色で、ほとんどが変色して灰色になっていた。

見えていた緑は誰もが苔だという代物に近く、全員がしっかり見ないとわからないモンスターだった。


そのモンスターはこちらへと少しずつ動き始めた。




「足場は悪いですが、仕方ないのでここで戦います!

光属性は後ろに下がって火属性は前に!


碧魔法グリーンスペル:風結界』、解放!」


シロ=静、クロ=瞬


たぶん言わなくてもわかったとか言われそうですが、一応キャラ設定の方も暇なときに追加しておきます。

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