二十六話目 原石と落ち込みタイム
Side 瞬
「・・・ん。ここはどこだ?」
「あ、兄さん。気がついた?」
「済まなかった、つい本気を出してしまった・・・。
でもなぜ平均的・・・ではないが一年生なら結界があっても、重傷になりうる物理魔法だったんだが・・・。」
え?自分、そんなに重傷になる魔法喰らって、よく生きてられてるな。
あ、INT、VIT最高値まで上げてたな・・。上げてなかったらどうなってたんだ・・・?
そんなことを考えていると、静が団長に話し出した、たぶん自分たちがなぜあんな力を持っていたのかを話すのだろう。
「・・・団長ももう分かってると思いますが、兄さんは平均的な一年生ではありません。」
「ちょっと待てお前もだろ静。」
「兄さんは見かけのステータスだけなら、団長・・・どころかこの国の王でもかないません。」
「ちょっと話すのやめろ。まるで自分だけが人外みたいな言い方じゃないか。」
ことごとく発言を無視された。
これじゃあ、自分だけが人外のレッテル貼られるじゃないか。
「ちなみにぼくは、五属性混合で特殊職の能力があり、魔法力の節約が人よりできますが、兄ほど人間はやめていません。」
「もう静だまっててくれよぉぉぉおおお!!!」
もうほんと一体自分になんの恨みがあるんだよ!
そこまで言うことかよ!
「・・・レーベル先生が言った通りだな。
君たちは確かに、『原石』だ。特に、妹さんはな・・・だから私は勝てたんだな。」
「はい。もし、団長と同じ量の知識や経験、場数、修羅場をくぐりぬけていれば、
兄さん一人でも勝てると思います。」
それは言い過ぎではないだろうか・・。
確かに、ギルドに居たC・Dランクには勝てるとは思うが、さすがにこの人には同じ場数があっても勝てる気がしないぞ。静がいれば何とかなりそうだが。
「・・・済まない、これは私だけで判断出来るようなことではない。
幹部や、王族にも判断に協力してもらわないと・・・。」
「・・・それは、自分たちのことを公に公表するということですか?
もしそういうことなら・・・・」
「いやいや、いきなりさっきの約束を反故にしたりしない!
もちろん公には公開しない。・・・そんなことしたら、国中・・・いや世界中大騒ぎだ・・・・。」
ですよね。
まあ、場数を踏んできた人たちには負けるかもしれないが、そこそこの奴らには負ける気はしない。
そういう風に言ったら・・・
「・・・仮に、こんな子供が現れたら、そこそこの奴らが可哀そう過ぎる・・・。」
「でもギルドって実力主義なんですよね?」
「それでもだ・・・。
ここまで努力してきたものがあっさりと砕け去ったら、さすがにきついぞ。
私だって、ここまで登りつけるのには、相応のことをしてきたからなのに、12歳の子供を相手に本気を出さないと勝てないというのも結構効いているんだ・・・。」
どうやら団長が落ち込みタイムに入ったようだ。
なんだかよくわからんモンスターの名前?を倒しただの、屠ったのだの、言い始めた。
「お前ら、済まんが受付のところに戻っててくれるか?
このままだと、団長が闇一色になってしまうからな。」
「「わかりました。」」
「ああ、それとクライスはギルドの治療室の泊って行くからな。
・・・どうやら、団長はクライスも原石と勘違いしてたようで、結界で体にダメージはないが、気絶が長引きそうだ。」
たしかに初めの一発は力入っていたよな・・・。
加減がわからない最初の一発喰らったクライス、可哀そうに。
「それ以上を喰らって、ぴんぴんしている兄さんは一体どういうことでしょう?」
その質問にはお答えできません。
戻ってくると、受付の人がとても心配そうな目で自分たちを見ていた。
どうやら、戦いはしてたのは知っているようだが、経過や結果については結界の中だから見えなかったようだ。
そのなかの一人が、こちらに向かってきた。
「君たち・・・大丈夫でしたか?
なにかとてつもない轟音が訓練場から響いていましたし、壁は人型にへこんでましたし、地面は大穴があいていたんですが・・・。」
おい、静。自分が気絶してから一体何したんだ。
「・・・(フイッ)。」
「おい、なぜそこで目をそらす。」
「それより、ぼくたちは大丈夫ですよ。ええっと・・・」
「フーリです。私はここの受付嬢で主に学院生の受付を担当しています。
これからよろしくお願いしますね。」
「こちらこそお願いします。」
「おい、それよりってなんだよ。自分にとっては重要なことだぞ。」
そこにB・Cクラスが帰ってきた。
どうやら、全員が無事に終わったみたいだ。
「あ、兄さん皆が戻ってきたよ!おーい、ロザー!」
「・・・ったく、あんな顔されちゃなんも言えないな。」
満面の笑みで集団に駆けていく静。
あれが、前の世界で自分が作ってやれなかったものの一つだな・・・。
・・・やべ、なんか涙でそう。
「シュン君?どうして君は泣きそうな顔して、B・Cクラスを見ているのですか?」
「へ・・・、い、いや別に泣きそうじゃないです、スペイル先生!
自分泣かせたら大したもんですよ!」
「はあ・・・まあ、いいですか。
それより、そろそろ帰りの準備をするからこっちを見て座ってと皆さんに伝えてくれませんか?
学年長のクライス君は今日は目を覚まさないと言われたので。」
「あ、はい、分かりました。」
そうして、自分も静と同じように集団に加わり、話をつけていく。
途中で静も加わり何とか全員がスペイル先生のほうを見た。
「すみませんが、まだレーベル先生の準備が終わってないようなので――――
「よし!お前ら帰る準備ができたぞ!予約が開いて本当によかったぜ・・・。
さあこっちについてこい!」
――――終わったようですね、ではレーベル先生についていってください。私は最後列につきます。」
それにしても・・・予約?何のことだ?
学院に帰るのに、そんなことが必要なのか?
「なあ、クライス・・・はいないんだったな・・・。静?どう思う?」
「まあ、夜に全員を見切れないと考えると、馬車でもあるかもね。」
「おーいお前ら!こっちの部屋だ!」
「「部屋!?」」
あれ?馬車って部屋に居るのか・・・?
この世界では馬置き場みたいな設備は全部中に設置してあるのか?
「よーし全員聞いてるか?
聞いてるな。
聞いてるってことにして話すからな。
今から学院に帰るがその手段は―――――――
転移魔法陣で帰るからなー。」
「「「「「そんなものあるなら最初から使おうよ(使いましょうよ)!?」」」」」




