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Final story + First story  作者: サイカ
間章 臨時Aクラス昇格試験
21/38

二十話目 過去と補習

遅れました!!!言い訳はしません!全部自分が悪いんです!


 Side 静




戦闘が終わって二人が近寄ってきてこう言い始めた。



「もしかしたらと思ってたけど、シズカが戦士を二人も倒していたんだ・・・。」


「静、あいつらの顔見たか?魔法使いに近接戦で負けて、泣いてたぜ・・・。」



「でも向こうから挑発してきたんだからね?普通褒めるところじゃない?」







―――瞬がロークと戦闘中、静の状態―――





兄さんが安い挑発に乗ってから、ロークのチームの戦士二人が戦闘中なのに武器をしまってこちらに歩いてきた。


「な、なあ、きみ?」


「どうしたの?いまは一応戦闘中だから、あまり無防備にしないほうがいいですよ?」


「あ、いや、さっきのあいつの発言って本当のことなのか?」


「兄さんの『自分たちが貴族じゃない』ってことですか?

そうですよ、ぼくたちは貴族じゃありませんよ。」



急にそんなこと聞いてきてどうしたんだろう?



「やっぱりそうだったか・・。

いや、確かに俺たちは貴族を嫌ってる・・・というか平民で貴族を支持している奴はいないが・・・。だからこそ、貴族かどうかなんて見ればわかるんだ。」



「じゃあなんでぼくたちのことをあんな風に?」


「名前が名前だけじゃなかったからだ・・・ああ、名字があったからということだ。」

「この国じゃ、名字があるのは『貴族・有名な大商人・ギルドランクA』保持者の主に3つだからな。」


「貴族以外も名字があるんですね・・・。」



だったらなおさらです。

商人は有名どころですからまだわかりますが、Aランクの可能性を疑っていくのが普通になりそうです。



「なぜAランクか疑わなかったか?

それは、Aランク保持者の周りで何かあると国はそれを公表するからな。」

「たとえば、結婚とか子供が生まれたとかだ。

そしてその記録には、この年に入ってくるAランクの子供はいないとなっていた。」


「それで没落貴族と・・・。」



「ああ、あのときは済まない。

バカなことをした、少し考えれば分かることなのにな。」


「俺からも謝っておく、すまない。

ロークとは孤児院時代からの付き合いだが、あいつの言うことは当たった試しがないのにな。」



ロークさんと兄さんは結構似てる気がします・・・。



「で、どうするんですか?戦いますか?」



「・・・そうだな、せっかくAクラスの人と戦えるんだ。」

「俺ももちろんやらせてもらいます!こんなことありませんから!」



「それはいいですけど・・・まさか、魔法使いの女の子相手に戦士二人で戦おうなんてしてませんよね?」



「「そんなこと思っていませんよ!?」」



「・・・じゃあどちらから戦います?」




「「・・・俺からでいいか(な)?」」


どうやら決まりそうにないです・・・。

今のうちに魔法を詠唱しておきましょう、武器強化の魔法ならそんなにかかりませんし。





場面は戻って戦闘後・・・





「で、一人目を近接戦闘で倒し、もう一人を近接戦闘中に詠唱した魔法で相手のSPDを下げてこれも近接で倒す・・・・。

なんか自分より目立ってないか?」

「・・・シュンの戦闘に目が行ってて、全員が最後しか見てなかったみたいですよ・・・。」

ぼくは兄さんみたいに後先考えずに戦いませんから、目立たずに戦えてました。

でもこれでぼくたちがAクラス居ていい人たちだと分かってもらえればいいのですが・・・。


試合が終わり、全員がレーベル先生の周りに集まる。

そして、先生は静かに話しだした。

「・・・お前ら、わかったか?

俺の考えが正解に近かったことが・・・もちろん、あの選別でこいつら3人がふさわしくないと思ったら俺はその場でBかCと言っていただろう。」


『・・・・・。』


「それと、確かに盗賊が火のリーダーでは不満の奴もいただろう。

だが、その強さも分かってもらえたと俺は思っている。

B・Cクラスで一番強かった戦士4人のうち一人を正面から打ち破ったんだ。

文句はないだろう。」


『・・・はい。』


「そして、一番気になっている者が多いから言うが、シュン・シズカは・・・・貴族でも大商人でも、ましてやAランクの子孫でもない。

それは本人から言ってもらうのが一番いいだろう。」



レーベル先生がぼくたちに立つように促す。兄さんが先に立ち、話し始めた。



「自分たち兄妹は遠くにある辺境の村で育った。

そこは、魔物もモンスターもほとんど出ない、とても和やかな場所だった。

だが、数年前・・・村が襲われたんだ。どこかの軍隊みたいだった。

村は壊滅し、村人は散り散りになって逃げた。友人も親戚も行方知らずになった・・・。」



兄さんが次々と作り・・・を展開していく。


このストーリーはレーベル先生と事前に決めたぼくたちの偽の生きてきた物語です。

みんなを騙すのは苦しいですけど、ぼくたちはあまり有名にはなりたくない・・・・というより、有名になって国などに縛られたくないのです。

続きはぼくが語ることになっている。

ぼくはゆっくりと立ち上がり、兄さんの後を受け継いだ。



「それから、各地を転々としてこの学院の森に迷い込みました。

そこでレーベル先生と会い、この学院に入ることにしました。

ぼくたちの村には、名字をつける習慣がありました。

なので、ぼくたちは貴族ではありませんが名字があります。

もしかしたら、貴族であったかもしれませんが今となってはわかりません。」



話し終えてふとみんなを見ると、女の子のほとんどが泣いていた。

慌てて、話を変えようと思ったが、なにも思いつかない。

おどおどしていると兄さんがまた口を開いた。



「自分たちはここらの常識みたいなものも知らないし、変なことを聞くかもしれない。

そのために学院に入った。みんなは特に気にしないように話してくれ。」


兄さんがフォローのような話が終わった後も、みんなの雰囲気が変わることはなかった。

兄さんも打つ手が無くなったようできょろきょろしている。



その空気を打ち破ったのはさっき兄さんと戦っていたロークだった。

いきなり立ち上がったロークが叫ぶ。





「つまりお前たちは俺たちと同じ平民だったんだな!」

「「「この話聞いて感想はそこ!?」」」




シリアスな空気とか一瞬で無くなりました。

狙ってやったんなら尊敬しますが、ロークを見る限りそんな気配は微塵もしませんでした。

でも、みんなの雰囲気は明るくなりました。そこだけは感謝ですね。



「で、では皆さん!そろそろ夕飯ですので塔に戻りましょう!」


「「「おう(はい)!!!」」」



その返事の大きさでクライスをみんながリーダーと認めてくれたことがわかりました。

ぞろぞろと塔に帰ろうとする一年生を、レーベル先生が呼びとめた。


「あれ?まだ何かありました?」



「いや・・・お前らが仲たがいが無くなったところですまんが・・・・俺は確かに言ったはずだが?」
























「B・Cクラス全員、いまから補習だ。すぐに座禅用の教室に来るように。」



3人を除く全員から悲鳴が上がったのは言うまでまないだろう。


これで間章は終了です。次回から2章に入ります。


その前にキャラ設定を追加するかもしれません。

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