十五話目 苦戦と火属性
お気に入りが少しずつですが増えてきました。うれしいです。
これからもよろしくお願いします!
P.S.題名入れ忘れました。ボケって進行するんですね。(17歳)
Side 瞬
「「「臨時Aクラス昇格試験?」」」
「そうだ。実はあんな方法で決めたことにも苦情がきている。
自分たちがしっかりしてないせいなんだがな。」
あんな方法とは、初日の装備点検のあれか。・・・確かに自分も静がいなかったら確実にCクラスだったな。
「これであいつらが負ければ、
『わけのわからないままに振り分け試験が終了して不満が積もる』から
『Aクラスの人たちに勝てないからB・Cで当然だ』という風になる。」
「な、なるほど!それなら僕たちも何か言われることもなくなりますね!」
「でも、レーベル先生・・・それって勝てる場合のみですよね。
万が一、ぼくたちが負けた場合は・・・?」
その言葉が言い終わると同時にレーベル先生の顔に何かが宿った。
「シズカ、お前は勝負に負けるつもりで挑むのか?」
「そ、それはそうですが・・・いざというときのことも考えて行動することもわるくないのでは・・・?」
「今は別に命がかかっているわけではない。
気楽にいけ、もし負けてもこちらでしっかりとフォローしてやる、心配するな。」
「・・・わかりました。」
「じゃあ集合場所に戻るぞ。そろそろB・Cクラスが出てくるだろう。」
先生の言うとおり、塔から少しずつであるが見知った顔が出てきた。
そして自分たちが近づいていくと、さっきまでなぜ気付かなかったのか不思議になったくらいたくさんの目がこちらを向いていた。
気になる目で見る奴から、見下す奴、敬うような奴、締めには自分たち兄妹を魔物でも見るようなおびえた目で見る奴もいた。
その視線たちは消えることのないまま授業が始まってしまった。
「なあ、静?あんまり力を出しすぎてもだめなんだよな。」
「・・・・あ、うん。そうだよ、苦戦するように戦ってね。」
「まだ考えてるのか?」
「・・・うん――――――
そうだよな。
静は後先考えずって無理なタイプだからな。
先生がどんなフォローしてくれるのか、知りたかったんだろうな。
―――――――広域紅蓮魔法って使っていいのかな?」
「さっきの自分の言葉を思い出せ!?苦戦するんじゃないのか!?」
「相手がね。」
「静の苦戦は俺の言ってる苦戦と意味が違う!」
「大丈夫!手加減するから。」
「その魔法の名前だと、手加減しても相手が死ぬ可能性が見えてくるのは自分だけか・・・?」
本当に広域紅蓮魔法なんて使ったりしないよな・・・・。
そんな不安をよそに授業が始まった。
クライスのあいさつが終わり、先生が例の件について話し出す。
「お前らからたくさん意見をもらった。
俺の考えでは、火属性でも先を見通す力をつけて欲しかったが、まだ早かったみたいだ。
そこでだ。」
一回言葉を止め、静かになるまで待ち次の言葉をつづけた。
「俺の基準が間違っていたのか、お前らが間違っていたのか。
明暗をつけておこうと思ってな。今日の授業は中止だ。
その代わり・・・・・・・・今からAクラスに入りたい奴の希望をとる!」
一瞬沈黙した空気が爆発した。
突然のことで戸惑っている人もいるが、ほとんどの人がすでに言葉に出さなくても希望を顔に出していた。
「予想通りだな。
だが、希望した奴が入れるわけではない!
また検査みたいなみみしいところを基準にするわけでもない!
火属性らしく、戦って決着をつけてもらう!」
「「「うおおおおーーーーーー!!!」」」
「B・C混合でやるが、時間がないからトーナメントで決める!
Aクラスに入りたい奴はさっさとチームを組め!
上位4チームはさらにもう一戦、俺の用意したチームと戦ってもらう!
そいつらに勝てば、Aクラス入りを認めてやる!」
B・Cクラスのやる気は最高潮に達していた。
先生の用意したチームというのはもちろん自分たちAクラスである。
感がいいやつは気づいているのか、こちらをチラチラとみているが気付かないふりをしたほうがいいだろう。
「よし、チームはできたようだな!早速だが始めていくぞ!まずは、クリスが代表のチームと――――――――
チームが呼ばれて、少しずつばらけ始める。
「―――――のチームが戦ってくれ。これが一回戦になるぞ。
周りは保護結界で囲んだから、派手にやっても相手の体にはダメージは残らん!
制限で体力が半分以下になると気絶することだけ覚えとけ!
では・・・・・始めっ!!」
戦いが始まり、剣戟の響く音で結界内は一杯になった。魔法は使える人はいるが戦士が多いのでたまにチカチカと光るだけだ。
その一種の戦場のなかで自分たちはというと・・・
「自分たちこんなのんびりしてていいのか?」
「いいに決まってる・・・というより動いちゃダメ。
ぼくたちが勝った後に、試合を先に見ていたから勝てたとか難癖付けられるかもしれないからね。」
「そうだね。
準備運動も試合前にするだけ、そんなことし始めたら僕たちが先生の用意したチームだってバレバレだからね。」
「戦う方法はどうするんだ?
クライスが一番活躍しなきゃまずいだろ?」
「うーん・・・まずくはないけどそれが一番いいよね。
せめて、同じくらい・・・一人は戦士を自分で倒したほうがいいかも。」
「ええっ!そんなの無理だよ、盗賊と戦士じゃ正面から戦ったら勝てないよ!」
「「ああ(うん)、勝てないな(よ)。」」
「じゃあどうするのさ!」
「そこで、静の支援魔法の出番じゃないか。
たぶん戦うのは戦士が多いはずだ。
真正面からやりあえば勝てないが、静が支援魔法を使えば、1対1なら同等には戦えるだろ。」
「そ、そうなの?」
「しかし勝てるかどうかはお前次第だ、クライス。
いくらPOWやSPDがあったって、使う人自身が弱ければ、勝つことはできないぞ。
出来ないと思うなら、あきらめて自分たちにすべて任せとけ。
先生もそこら辺は盗賊だから・・・とかいってフォローしてくれるだろうからな。」
クライスはほんの一瞬迷ったが、すぐに答えを出した。
「・・・やるよ。やって見せる!」
「よし!じゃ、早速作戦会議だ。静、頼む。」
「自分で少しは案が出せないんですか?」
「無理!!」
あるチームの会話の一部始終
「いいか?上位4チームなんてこの面子ならいけるが、問題はどうやってあいつらに勝つかだ。」
「そんなに強いんですかね、あいつら。」
「強いと思っていたほうがいいと思う。
何のひいきか一応Aクラス様なのだから多少は出来る奴なのだろう。」
「じゃあどうするんですか?」
「そうだな・・・・一番いいのはもちろん勝てることだが、もし相手が強くて負けそうになったらあの盗賊を狙いに行く。」
「それはいいな。
貴族が威張ってるのはもともとだからいいが、火のリーダーが盗賊だったらこの学年が馬鹿にされる。」
「じゃあ、その前にさっさと優勝しちゃいますか!!」
「「「おう!!!」」」
静の思っている苦戦とは
相手が痛みで苦しむという意味での苦戦です。
でもそんな大魔法を結界内で放ったら、結界が壊れて間違いなく死人が出ます。




