九話目 実践もんすたー講座
サブタイトルの『もんすたー』は仕様です。
決して、作者の思い付きではありません。
読み終えたときに「内容関係なっ!!」と思っても、気にしてはいけません。
もう一度いいます。決して、作者の思い(ry
Side 瞬
「あれ?もしかして君たちもAクラスなの?」
「ああ、そうだが・・・お前もか?」
「うん。よかった・・・一人だったらどうしようと思っていたんだ。」
「こっちも二人だと思ってました・・・良かったね、兄さん。」
「兄さんって・・・同じ学年で!?それって双子ってこと?それにしては似てないけど・・・?」
「違う違う。自分が4月で、静が翌年の3月で、双子じゃない。」
そのような会話が続く・・・と思いきや、先ほどB・Cクラスを座学部屋に案内していたレーベル先生が戻ってきていた。
「おう、お前ら待たせたな。見ての通り、Aクラスはお前たちだけ・・・つまり2人+人外1だな。」
「待ってください先生。いつから自分は人外1と数えられるようになったんですか?」
「あ、兄さん。人外で自分だと思ったということは、ついに認めたということですか?」
「・・・・・・・・あ。し、しまったぁぁあああ!!」
最近人外扱いに慣れてきてしまっている・・・。
『人間何事も慣れ』と言うが、こんな慣れはこっちから願い下げだ!!
「あ、すまん。1人+人外2だったな。」
「「兄さん(静)と同列!?なわけあるかっ!!」」
「何言ってるんだ、静?お前の考え方は12歳の女の子からは軽く飛んだ所にあるぞ?」
「兄さんこそ。なんで、通常時は何も考えていないのに戦闘時だけは冷静な狂戦士になるの?」
「「先生!ぼく(自分)のどこが他の人とかけ離れているんですか!?」」
「・・・自分たちが言い合ったことを考えてみろ、そこの人外兄妹。」
「あの・・・そろそろ授業に入らなくて良いんですか・・?」
同じAクラスの人に気を使われてしまった。流石に騒ぎすぎたので、少し落ち着くことにした。
「さて、軽く自己紹介でもしてもらうか。まずはそこの少年からだ。名前とLvと職業、後は自由だ」
「は、はい・・・。えと、クライス・アルフォードです。
Lv.3の盗賊です。これからよろしくお願いします・・・。」
「じゃあ次は自分だな。上杉瞬だ。シュンでいいぜ。
LV.1の戦士だ。自慢じゃないが、逃げ足だけは自信があるっ!!」
「ほんとに自慢じゃないよね・・・。あ、ぼくは上杉静。シズカでいいよ。
LV.1の魔法使い。これからよろしくね。」
自己紹介も終わり、クラスの役割を決めることになった。
3人の中から一番LVの高いものから、このクラスをまとめる係に就き、実質この学年を引っ張っていくことになるらしい。
Lvの高いものというと、クライスだったのでそのまま決定した。
「え・・・ぼくでいいの?戦士のシュンがやったほうが良いと思うんだけど・・?」
「いや、クライスが適任だ。自分はすぐ相手に向かっていってしまうから、他の人をみるなんて出来ないからな。」
「じゃあ、シズカなら・・・。」
「ぼくは兄さんの暴走を止めてる間は、他の人の面倒は見られないんだ。けど、クライスは火属性にしては落ち着いているし、周りもしっかり見れると思うよ。」
「でも僕1人じゃ・・・。」
「ああ、別に1人でやれと入ってないぜ。必要だったら適宜頼ってくれて良いぜ。」
クライスは少し迷っていたが、了承してくれた。
実を言うと、自分も静も互いを気をつけながら、学年を引っ張っていくことは多分できる。
しかしここで注目を浴びてしまうと、いつか自分たちが異世界人でだとばれてしまうかもしれない。
それは、一番避けたい・・・と静が言ってきたので、ここでは少し強引だったが、クライスにやらせることになった。
「よし決まったようだな。
クライスは今後何らかの用事で呼び出すことがあるから、そこだけは頭に置いといてくれ。
じゃあ、早速だが授業に入る!
場所はここから少し離れた草原で行う。内容は着いてから教えよう。」
決して、呼び出されるのがいやだったわけではない。
「あれ?ぼくたち3人と先生だけですか?」
「ああそうだぞ。今から行く草原はLv.1~3くらいの初心者でも簡単に倒せるモンスターしかいないし、特に危ない所もないからな。」
そう言われ、レーベル先生の後ろについて行く。
学園から数十分歩いた所で先ほどまでの背丈の低い草でなく、自分たちの腰の高さまである(レーベル先生は膝くらい)所についた。
どうやらここがその目的地だったらしい。
移動のため外していた武具を着けながら、先生が話し始めた。
「さて、今日の目標は『モンスターに慣れること』だ。
出発前にも言ったが、ここにはLv.1~3の特になんの特徴もなく、毒や麻痺、眠りなどを備えているモンスターはいない。
ここには1種類・・・『プレーンラビット』という白い小動物が生息している。
それを一時間ほど狩る・・・といっても追い払うが関の山、気絶させられれば上出来くらいだ・・・それで今日の授業は終了だ。」
「な、何か注意する点は・・・?」
「そうだな・・・一つ:なるべく囲まれるな。
一体一体はそこまで強くないが、お前らの防具だと、耐え切れない。
二つ:引き際を考えろ。
深いところに入っていくと一年のお前らでは勝てない相手がいる。
三つ:勝てると思え。
負けると思えばどんな勝負でも負ける。じゃあ構えろ!」
「「「はい!!!」」」
先生は金属製のランスと大盾、自分は木の片手用直剣と皮の盾、静は木の両手杖、クライスは木の片手用小剣を一個づつの双小剣を構えた。
そこに草の間を行き来しながらこちらに向かってくる白い影が5,6つ・・・そこに自分とクライスが走りだした。
白い影たちは一瞬止まったものの、すぐにこちらに飛び掛ってきた。
腕や足に噛み付いてくるウサギたちを剣で叩き落し、そのまますくい上げるように前方に吹き飛ばす。
飛ばされたウサギは白い影となって、森の中へ消えていった。
しかし、まだ5匹残っている・・・クライスは盾がないため一撃離脱を繰り返している。
その双小剣の左手がウサギを直撃、また白い影となって森へ消えていく・・・。
先生は静の近くに現れたウサギをランスで突きながら追い払っている。
その静は魔法の詠唱が終わり、杖を天に掲げる。
すると、自分の動きが良くなった感じがした。
クライスも同様のようで、どうやら静は火属性魔法だと、火事になりそうだったので、強化系魔法に切り替えたらしい。
その後、戦いは自分達有利のまま終わり、何回か繰り返している内に一時間が経った。
「お前ら、なかなか筋がいいな。
けどシュンは一撃の隙が大きい・・・相手のLvが上がるとその隙を突かれるぞ。
シズカ、強化系は効果が切れないうちに重ね掛けすること、あと詠唱の間違いがある。
強化魔法を覚えていたのは驚いたが、正確性も大事だぞ。
クライスは全般的には良いが、想定外のことが起こると、慌ててミスが多くなる。
落ち着いて戦ってみろ。
でも、初めてにしては上出来だ。いきなりあそこまで戦える一年はそういないぞ。」
「「「ありがとうございます!!!」」」
「それくらい戦えるなら、最後は3人だけで頑張ってみろ。
俺はモンスターに見つからないくらい離れた所に行くから・・・・・クライス、心配するな。
お前らなら、簡単とまで行かなくても、何とかなるだろう。
が、いざとなった時のためにこれを渡しておく。」
先生が投げ渡したのは、白く輝くビーダマのようなものだった。
どうやら、これは光玉というらしい。
光の属性魔法が込められていて、何かにぶつかると強烈な光を放つそうだ。
「それを地面に投げつければ、ここのモンスターなら10秒くらいなら足止めできるから、何かあったらその間に逃げて来い。
俺もその光が見えたら、すぐに駆けつけるからな。」
そう言い残し、先生は何処かへ行ってしまった。
いくら安全だと分かっても、先生が生徒から目を離していいのか・・・?
だが、そうなってしまったから仕方ない。
話し合いの結果、クライスが前衛で相手をかく乱させ、自分が切りこんで、静がトドメ・・・。
と言う事になった。
「シュン、シズカ。こっちに向かってくるよ。白い影は見える範囲だと・・・3。」
「ありゃ?あんまり多くないな。それじゃ、早速始めますか。」
「・・・・・おかしいよ。」
「ん?静、一体何がおかしいんだ?」
「兄さん・・・。さっきまでのラビットはこっちを敵として、襲い掛かってきたよね?」
「ああ。でもそれがどうした?向こうが認識していないなら、逆にチャンスだろ?」
「ううん・・・向こうはこっちに気付いているよ。
でも、ラビットは何かから逃げるように走っている感じがするんだ。」
言われてみれば、さっきまでラビットは自分達から隠れるように襲ってきたのに、今回は飛んだり跳ねたり、こっちから見ると居場所がバレバレだ。
疑問に思ったその時、目の前まで来ていたラビットが、側面から来た何かに弾き飛ばされて、絶命した。
その何かは空に羽ばたき、自分達を見下ろしていた。




