表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑魚モンスターしかコピーできないハズレスキルとして追放された俺、 魔導書を読んだら“世界の前提”が見えるようになった  作者: Y.K
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/405

折れた線の痕

街を出て半日。

風景は緩やかに変わり、道は丘を越えていく。背の低い草原の向こうに、次の街の外壁が見えた。日が傾く前に着ける距離だ。


リュカは先頭を歩いていた。足取りは速くない。だが迷いがない。視線は常に「人」ではなく「場」に向いている。街道の幅、脇道の数、見通し、荷車の轍の新しさ――そういうものを拾い続ける。


ミリアが、歩きながら小声で言った。


「……ねえ。さっきから、ずっと顔が真剣だけど」


リュカは短く返す。


「真剣じゃないと困る」


「怖い匂い?」


「匂いじゃない。線だ」


ミリアが首を傾げる。


「線?」


リュカは歩みを止めず、指で前方を示した。


「ここまでの街道、妙に“整いすぎてる”」


レインも視線を巡らせる。確かに、路面は踏み固められ、脇の草も均一に刈られている。旅人が多い街道なら普通だが、整備の手つきが「継ぎ足し」ではなく「一気に整えた」感じに近い。


リュカは続けた。


「整備は悪くない。でも……」


一拍。


「整備の目的が、移動じゃない」


ミリアが眉をひそめる。


「どういうこと?」


リュカは、道脇の小石を拾って転がす。小石は道の中央に落ち、轍の溝に沿ってきれいに進んだ。


「誘導だ。真っ直ぐ進ませる。寄り道させない」


レインが静かに言う。


「……逃げ道を減らす」


リュカは頷いた。


「そう。街道が“安全”になるほど、選択肢が減る」


ミリアが軽く舌打ちする。


「また、嫌なやつらのやり口ですね」


リュカは返さない。その代わり、速度を少しだけ落とす。先に見える街は、外壁の高さの割に門が広い。出入りが多いのだろう。門の周辺に露店が並び、人が集まっているのが見える。


――そこまでは普通。


リュカの目が、門の上の見張り台に止まった。


「……変だな」


レインが問う。


「何が?」


「見張りの向き」


見張りは外を見ていない。街道を見ていない。半身を内側に向け、門の内側――人の流れを見ている。


ミリアが言った。


「治安のため?」


リュカは首を振る。


「治安なら、門の外も見る。外から来るものを警戒する」


一拍。


「これは、“中の流れ”を監視してる」


レインが《模写理解アナライズ・コピー》を静かに走らせる。見張りの緊張、動きの癖、指先の位置、腰の武器。規律はある。だが「兵」ではなく「監視」に寄っている。


(……誰かに指示されてる)


レインの理解が、言葉になる前に。


リュカの《戦域把握(せんいきはあく/バトルフィールド・リード)》が、もっと嫌な像を結ぶ。


門の内側。

露店が門の正面に集中している。

荷車が道の両脇に寄せられ、中央が空いている。

人の流れが「中央の一直線」に誘導されている。


(……閉じ込める配置)


リュカの背筋が冷える。


「……ミリア」


「何?」


「前に出るな。今日は“前衛”の出番じゃない」


ミリアが一瞬むっとしそうになり、すぐに飲み込む。リュカの声が冗談じゃないと分かったからだ。


「分かった。じゃあ私は、いつでも前に出られる位置にいるだけでいい?」


「それでいい。前衛は、立つ場所が必要だ。今日は俺がその場所を作る」


レインが短く言う。


「……何が起きると思いますか」


リュカは門の前で足を止めた。

人の声、馬のいななき、露店の呼び込み。平和だ。平和すぎる。


「起きる、というより……」


呼吸を一つ。


「起こされる」


その瞬間、門の内側で小さな騒ぎが起きた。荷車が一台、急に倒れたのだ。軸が折れたように見える。果物が転がり、子どもが泣き、周囲が一斉に動く。


――その動きが、揃いすぎていた。


リュカの目が細くなる。


「……今だ」


何の「今」なのか、ミリアが問う前に。


門の内側で、二人の男が怒鳴り合いを始めた。

荷車の持ち主と、露店の商人。互いに責任を押し付け合い、声は瞬く間に大きくなる。


「お前のせいだ!」

「違う、そっちが押した!」


周囲の群衆が、半円形に取り囲む。

見張りは、止めに入らない。

むしろ、視線を鋭くして“見ている”。


リュカは、口の中で呟く。


「……線が引かれてる」


争いが起きる場所。

群衆が集まる形。

逃げ道が塞がる荷車の位置。


全部、最初から置かれていた。


ミリアが、低く言った。


「止めます?」


リュカは即答した。


「止める。でも、殴らない」


レインが静かに補足する。


「……殴れば、相手の思うつぼです」


リュカは頷く。

《退路設計(たいろせっけい/エスケープ・ライン)》を頭の中で組み上げる。


人の流れを変える。

群衆の圧を弱める。

争いの中心を“孤立させない”。


(……まず、ここを広げる)


リュカは門の内側へ一歩踏み出した。

その背中は、前に立つ者のそれではない。

だが確かに、場を変える背中だった。


「……すみません」


声を張らない。通る高さで言う。


「荷車、今動かすと危ない。子ども、先に避難させよう」


誰に命令するでもない。

だが、言葉が「合理的」だと、人は動く。


一人が子どもを抱え、別の者が果物を端に寄せる。

群衆の半円が崩れ、流れが二つに割れる。


その隙に、リュカは争っている二人の間に、入らない。

横に立つ。並ぶように。


「……折れた軸、見せてください」


怒鳴り合いが、わずかに止まる。


「今それどころじゃ――」


「それどころです」


リュカは淡々と続ける。


「折れ方が自然なら事故。

誰かが細工したなら――」


そこで言葉を切る。

「犯人」と言わない。

「誰か」と置く。


人の意識が、争いから「原因」へ移る。


レインの《模写理解》が、二人の呼吸の変化を捉える。

怒りが「相手」から「不安」へ移動する瞬間。


ミリアは、少し離れた位置で構える。

前衛の仕事は、いつでも前に出られること。

だが前線は、今はまだここに置かない。


リュカは、折れた軸を覗き込んだ。


(……切れ口が、きれいすぎる)


小さな違和感。


そして、その違和感は――

街全体に引かれた線と同じ匂いがした。


リュカは、顔を上げる。


「……レイン」


「はい」


「この街」


一拍。


「事件が起きる前提で、組まれてる」


レインは、静かに頷いた。


「……なら」


「……起こさせない、が最適です」


ミリアが、低く笑う。


「いいですね。クズには、一番効く」


門の上。

見張りの一人が、こちらを見ている。


その視線が、ほんのわずかに揺れた。

“予定と違う”という揺れ。


リュカは、その揺れを見逃さない。


(……見てるのは、あいつらだ)


(……なら)


(……まずは、線を折る)



門の上の見張りが、わずかに視線を逸らした。

その動きは、訓練された兵のそれではなく――「監視する者」の癖だった。人の流れが予定通りかどうかを確かめる目。状況が崩れたとき、上に“報告”したくなる目。


リュカは、その視線の揺れだけで十分だった。


(……いる)


(……仕掛けた側が、この街にいる)


ミリアが、横から小声で言う。


「追います?」


リュカは首を振る。


「追わない。追えば“動いた”って証拠になる」


「じゃあ、どうするの?」


リュカは門の内側に目を向ける。荷車の事故、口論、群衆。

この場だけ止めても終わらない。これは導火線の一部だ。次、次、次と小さな火種が置かれている。


「線を全部折る」


短く言い切る。

それは派手な戦闘ではない。だが、戦いより手間がかかる戦いだ。


リュカは動く。走らない。急がない。

急ぐと“焦り”が感染する。

不安は群衆にとって最も伝播しやすい。


「……そこの荷車、寄せられます?」


言い方はお願いだ。命令じゃない。

だが、お願いの形にしたほうが人は自分の意志で動く。


荷車の持ち主が戸惑いながら頷く。

周りの二人が手を貸す。


「よし。中央、開けよう」


中央の通路が少し広くなる。

それだけで、群衆の圧が減る。

圧が減れば、怒鳴り合いは長続きしない。


ミリアが息を吐く。


「……なんか、戦闘してる気分です」


「戦闘だよ」


リュカは淡々と返す。


「ただ、殴らないだけ」


レインは一歩引いた場所から全体を見ていた。

模写理解アナライズ・コピー》が拾うのは、個々の心情の揺れと、仕掛け側の意図の形だ。


(……事故は作為)


(……口論は誘導)


(……群衆は燃料)


(……狙いは“暴動”)


暴動が起きれば、外から来たよそ者や特定の店、特定の身分が標的になる。

誰かを“悪”にできれば、街は割れる。

割れた瞬間に、別の火種が投入される。


(……均衡のやり口に似ている)


(……でも)


(……もっと、人間臭い)


誰かが“見て楽しむ”類の悪意が混じっている。

均衡の無感情な切り捨てと違い、こちらは「壊れる様を見たい」匂いがする。


レインは、リュカの背中を見た。

彼は今、最前線に立っていない。

だが、前線が生まれる前に潰している。


ミリアが、門の内側の見張りをちらっと見る。


「上から見てるだけって、ムカつきますね」


「ムカつくのは後でいい」


リュカは、群衆の端にいる少年を見つけた。

少年は不安そうに周りを見ている。火種に乗りやすい顔だ。

目が合う。


リュカは、ほんの少し笑って、手で“こっちへ”と合図する。


「……君、家は?」


少年が答える前に、近くの女が言った。


「うちの子です。すみません……」


「大丈夫。今、人が多いから。端の方へ行こう」


言葉は優しい。

だが意味は戦術だ。


(燃料を外す)


人混みの中で感情を増幅させる存在を、ひとつずつ取り除いていく。

暴動は、怒りだけでは成立しない。

恐怖と焦燥と“群れ”が必要だ。


リュカは、次の火種を探す。


《戦域把握》が示す崩壊点は、門前だけではなかった。

市場の奥。噴水広場。倉庫街へ続く細道。

三つのポイントが、同時に“準備されている”。


(……一つ折っても、二つが燃える)


(……全部折る必要がある)


ミリアが、理解したように言う。


「私、走っていい?」


「いい。だけど、前に出るな」


「分かってる」


ミリアは軽く頷き、すっと人波の外へ抜けた。

前衛の足さばきで、人にぶつからず、邪魔をせず、しかし確実に進む。彼女は戦闘で前に立つだけじゃない。こういうとき、身体能力そのものが“道を作る”。


「レイン」


ミリアが遠ざかりながら言う。


「指示、いる?」


レインは首を振る。


「……リュカに合わせて」


「了解」


ミリアは市場の奥へ消えていく。


リュカは、門前の二人の口論に戻る。

今度は言い争いの理由が、変わっていた。

さっきまで相手を責めていたのが、“誰かが細工した”可能性に意識が移っている。


「……誰が?」


「……何のために?」


群衆がざわめく。

だが、これは悪いざわめきではない。


怒りではなく、疑問。

疑問は、矛先を固定しない。

固定しない限り、暴動にはならない。


「落ち着いて」


リュカは淡々と言う。


「疑うのはいい。でも、ここで相手を殴るのは違う」


「じゃあどうするんだよ!」


怒鳴った男に、リュカは逃げ道を渡す。


「修理できる人を呼ぶ。誰か詳しい人いる?」


周囲から手が上がる。

「鍛冶屋なら」

「車輪屋なら」

その言葉が出るだけで、場は“解決”へ向く。


解決は、怒りを溶かす。


リュカは心の中で線を引き直す。


(……よし)


(ここは折れた)


だが、すぐに次。

リュカは視線を広場に向ける。

人が集まり始めている。


(……噴水広場)


そこへ向かおうとした瞬間。


レインが、静かに言った。


「……一つ、気になります」


「何だ」


レインは門の上を見上げる。


「見張りの数が、少ない」


リュカは眉をひそめる。


「少ない?」


「この規模の街の門なら、もっといる。なのに……」


レインは《模写理解》で拾った情報をつなげる。


「彼らは“警備”じゃない。監視。だから最低限でいい」


「……つまり?」


リュカが問い返す。


レインは、淡々と結論を言う。


「街そのものが、監視装置になっている」


「……人の流れ、噂、衝突……全部、観測対象」


ミリアがいないこの場で、リュカがひとつ息を吸う。


(……やり口が似てる)


(均衡が消えても、同じ発想を持つ奴はいる)


それが、嫌だった。

均衡を切り捨てたのに、同じ形がまた現れる。

世界は、あっさりと“次”を用意する。


リュカは、地図を頭の中に広げる。


「噴水広場、行く」


「……俺も行きます」


レインがついてくる。


門前の空気は落ち着き始めた。

だが落ち着き始めた瞬間こそ、仕掛け側は次の火を放つ。


噴水広場に近づくほど、声が聞こえてきた。

怒号ではない。

演説に近い声。


「――この街は狙われている!」


「――よそ者が来てから、おかしい!」


「――誰が得をしている!?」


人々が集まっている。

中心に立つ男が、激情を煽っている。


ミリアが、広場の端にいた。

目配せだけで状況が伝わる。

彼女は前に出ていない。

ただ、いつでも盾になれる位置にいる。


リュカは、息を吐き、ゆっくりと前へ出た。


(……燃やす役がいる)


(ここが本命だ)


男の言葉は巧妙だった。

直接「レインたち」を指していない。

だが、“よそ者”という枠に入れればいい。

敵を作れればいい。


リュカは、男の演説を遮らない。

まずは最後まで聞く。


煽りの言葉が続く。

恐怖を煽り、疑心を煽り、矛先を作る。


そして最後に、男が言った。


「――だから我々は、守るために選ばねばならない!」


“選ばねばならない”。


その言葉で、リュカは確信する。


(……こいつら)


(人に“選ばせる”形で、縛る)


(均衡と同じ構造)


レインが、隣で低く言った。


「……誘発側の狙いは明確です」


「暴動を作って、正義の旗を立てる。旗の下で、人を選別する」


ミリアが、唇を噛む。


「……ムカつく」


リュカは、落ち着いた声で言う。


「ムカつくのは後。今は線を折る」


そして、彼は“折り方”を選ぶ。


殴らない。

黙らせない。

論破しない。


“群衆”から“個人”へ戻す。


リュカは、広場の端に立つ老婆を見つけた。

不安で泣きそうな顔。

燃えやすい。


近づき、小さく言う。


「大丈夫。ここ、風が強いから。火は広がりにくい」


老婆が意味を理解できなくてもいい。

“安心”だけ渡す。

安心は群衆をほどく。


次に、子ども連れ。

次に、荷物を抱えた男。

次に、耳の遠そうな老人。


ひとつずつ、糸を切る。


群衆は、群衆である限り燃える。

個人に戻れば、燃えにくい。


男の演説が、少しずつ空回りする。


「――聞け! 聞け!」


だが、全員が同じ方向を見ていない。

視線が散る。

散れば、熱は逃げる。


男が焦り始める。


「――よそ者が……!」


その瞬間、リュカは男の正面に立った。


「よそ者、って誰のことです?」


声は大きくない。

ただ、通る。


男が一瞬言葉を詰まらせる。

群衆が「誰だ?」と見る。

視線が、演説者からリュカへ移る。


これは危険だ。

目立てば、敵にされる。

だが、ここで目立たないと線が折れない。


リュカは、敢えて“嫌われ役”を引き受ける。


「あなたは、守るために選ばねばならないと言った」


「じゃあ聞く」


「選ばれなかった人は、どうなる?」


男の顔が強張る。


「……そんなことは――」


「重要です」


リュカは淡々と言う。


「守るって言葉は、誰かを外すときに一番便利だ」


群衆がざわめく。

だが、怒りではない。

考えるざわめきだ。


レインはその瞬間を見ていた。

《模写理解》が拾うのは、演説者の微細な反応。


(……この男)


(本気で信じてない)


(役割を演じている)


(誰かに言わされている)


レインの視線が、広場の奥――屋根の影に向く。

そこに、誰かがいる。

見ているだけ。

一瞬で消える気配。


(……観測者)


レインの背筋が冷える。

均衡とは違う。

でも、同じ“観測”の匂い。


リュカは、演説者を追い詰めない。

追い詰めると暴発する。

暴発すれば、火種になる。


代わりに、逃げ道を用意する。


「守りたいなら、守ればいい」


「でも」


「選ぶのは、あなたじゃない」


一拍。


「この街の人が、決める」


その言葉が、広場の空気を変えた。

演説者の正義の旗が、ふっと軽くなる。

持つ手が震える。

旗は、重いから正義になるのではない。

背負わされるから正義になる。


ミリアが、遠くで小さく頷く。

前衛は今、動かない。

それが勝ち筋だと理解している。


リュカは、広場全体を見渡す。


(……折れた)


完全ではない。

だが、燃え上がる火は消えた。

残ったのは、小さな煙だけ。


リュカが息を吐く。


「……レイン」


「はい」


「見えたか?」


レインは、静かに頷いた。


「……仕掛けた側が、います」


「ただし、まだ正体は掴めない。街の構造に溶けている」


リュカは、低く言った。


「じゃあ、次は」


「……こっちが、線を引く番だ」


門前、噴水広場、倉庫街。

火種は折った。

だが、仕掛け側は“失敗”を嫌う。


必ず、次の手を打つ。


そしてそれは――

今までより露骨になる。


ミリアが、小さく笑った。


「クズって、失敗すると顔出しますよね」


リュカは、短く返した。


「だから、出させる」


噴水広場の熱は、完全には消えていなかった。

だが、燃え上がることもなかった。


人々は散り、各々の場所へ戻っていく。

誰かを糾弾する声も、英雄を求める声もない。


残ったのは、

「考え直した」という空気だけだった。


リュカは、広場の端で一度だけ深く息を吐いた。


「……今回は、ここまでだな」


ミリアが、剣から手を離す。


「前に出なくて済む戦いって、変な感じですね」


「でも、必要だった」


リュカは短く答える。


レインは、広場の奥――屋根の影に目を向けたまま動かない。


「……見てました」


「仕掛けた側が、失敗を認識した瞬間です」


ミリアが眉をひそめる。


「逃げた?」


「いえ」


レインは首を振る。


「次は、もっと分かりやすく来ます」


「失敗した誘導は、必ず“修正”される」


リュカは、それを聞いて頷いた。


「……なら」


「次は、こっちが先に線を引く」


ミリアが、少しだけ笑う。


「やっと、追いかける側ですね」


三人は、その場を離れた。

街は、何事もなかったかのように夜を迎える。


だが、確かに――

折れた線の向こう側で、誰かが苛立っている。


その気配だけを残して。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ