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雑魚モンスターしかコピーできないハズレスキルとして追放された俺、 魔導書を読んだら“世界の前提”が見えるようになった  作者: Y.K
第4章

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そして、次の場所へ

街は、静かだった。


暴動の痕跡はもうない。

瓦礫は片づけられ、水も出ている。

だがそれは、誰かが「最適」を示した結果ではなかった。


掲示板の前で、数人の市民が立ち止まっている。


「……ここ、

 昨日より分かりやすくなってないか?」


「……危険区域、

 ちゃんと避けられるな」


「……誰がまとめてるんだ?」


その少し離れた場所で、

リュカは壁にもたれて地図を眺めていた。


派手な指示は出さない。

声を張ることもしない。


ただ、

・人の流れ

・物資の動き

・不安が生まれそうな場所


それを先に潰している。


「……ここ、

 人が溜まるな」


独り言のように呟き、

地図に小さな印をつける。


その直後、

誰かがそこに立ち止まり、

別の道を案内し始めた。


偶然のように。

だが、偶然ではない。


宿の前。


ミリアが荷物をまとめながら、言う。


「……街、

 思ったより

 落ち着いてますね」


レインが答えるより先に、

リュカが肩をすくめた。


「……均衡がいなくなった直後は、

 一番崩れやすい」


「……だから」


地図を畳む。


「……崩れない位置を、

 先に作った」


ミリアが、少し目を見開く。


「……それ、

 いつの間に?」


「……昨日の夜」


さらっと言う。


だが、

それは“支援”の極致だった。


前に立たず、

命令せず、

評価もしない。


ただ、前線が崩れないように固定する。


レインが、静かに言う。


「……助かりました」


リュカは、軽く手を振る。


「……前衛が

 安心して立てるなら、

 それでいい」


その言葉は、

はっきりと“役割”を示していた。


街を出る前。


年配の男が、リュカに声をかける。


「……あんた」


「……昨日から、

 ずっと見てた」


リュカは、少し警戒する。


「……何か?」


男は、首を振った。


「……いや」


「……あんた、

 指示してないのに」


「……みんな、

 動いてたな」


リュカは、一瞬だけ考え、答えた。


「……動ける場所を、

 置いただけです」


男は、しばらく黙り、

それから笑った。


「……それが、

 一番難しいんだ」


リュカは、何も言わなかった。


褒められるのは、

慣れていない。


街の外れ。


三人は、並んで歩き出す。


ミリアが、ちらっと横を見る。


「……ねえ、

 リュカ」


「……私が

 前に出すぎたら」


「……どうします?」


リュカは、即答する。


「……前線を、

 後ろから引き戻す」


「……それが

 無理なら」


一拍。


「……逃げ道を

 作る」


レインが、頷く。


「……それが、

 一番ありがたい」


リュカは、少し照れくさそうに言う。


「……派手じゃないけどな」


ミリアが、笑う。


「……派手じゃないから、

 信じられるんです」


道は、先へ続いている。


均衡はいない。

英雄もいない。


だが――

前に立つ者がいて、

支える者がいて、

見えない線を引く者がいる。


だから、

この旅は続く。


リュカは、最後にもう一度、

街を振り返った。


「……大丈夫だ」


誰に言うでもなく、そう呟いてから、

二人の後を追った。


前線の影で、

 旅を成立させる役目を、

 自分で選びながら。



※ここまで読んで面白いと感じた方は、

ブックマークで続きを追ってもらえると嬉しいです。

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