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ベルカ騎士学園。


王国ベルカが魔王に対抗するための騎士を育てるために作った学園は毎年多くの受験者をほぼ全て採用する、少しくらい能力が劣ろうとも学園に入れて鍛えるという方針だが、実の所は単純に人手不足、わざわざ自分から戦場に出向き死に行くと考える若者は多くなく一般の仕事につく方を選ぶ。


いくら戦火が世界中に広がっていると言ってもベルカ国内は安全で市民達はそれほど危機感はない、国の上層部だけが焦りまだ学園生の生徒を戦場送り出す始末、一人でも多くの騎士を育てあげないと滅んでしまうのだ……今は各国様子見だがいつ全面戦争が起きるかもわからない。


最近では魔王に寝返る国も出てきて政治的にもベルカや各国が頭を悩ませてる中――一おっさんが学園の廊下で歳がいもなくドキドキしていた。



「ふぅ、落ち着けぇ~最初が肝心なんだ!! 元気よくいい人って印象でいこう」



ニノに連れてこられ2週間立ちようやくウィルとニノに慣れると学園の手続き、制服の注文と全ての準備が整いテツは学園に連れてこられる、中卒のテツは学園生活に憧れがあり妄想の中で幾度も繰り返した薔薇色の思いを込めて廊下で緊張と戦っている。


教室の中からは何人もの生徒達の声が聞こえてきて不安と希望がテツの胸を駆け巡る、正直この世界に連れてこられやけくそ気味に開き直ったテツは楽しむ事にした、そうでもしないと精神が持ちそうにない。



「あああああの今日は転校生がきますぅ、皆さん仲良くおお願いします」



なんとも頼りない女性の声がすると生徒達が騒ぎ出す、そりゃそうだ転校生といえば学園イベントの華!! テツは黒を主体にし肩と足のラインに白い縦線の入った制服を着直し何年ぶりかくらいに整えた髪型を触りキリッとした表情を作る。



「でででではテツ君入ってきてください!!」



背筋を伸ばしスッと静かに扉を開けて威風堂々と教室内に入り教壇の前に立つ、隣でビクビクしてるのは担任だろうか長いストレートの茶色の髪と肩を震わせ覗くように見ている、テツは生徒達を見渡すとこの時異世界に本当にきたんだと実感してしまう。


赤、金、緑、青と髪の色が派手、元の世界だったら間違いなく退学級の髪色の生徒達が見てくる、でもこれも楽しみの一つ……20年以上ゲームをしてるテツはこれくらいじゃ驚かない、最初が肝心を思い出し声を張って第一声を教室に響かせた。



「名前はテツ歳は33だ、これからよろしくな」



短いがテツなりに考えわかりやすくした挨拶だ、2時間くらい悩んだり練習したかいあって納得の出来栄えに無意味な優越感に浸っていると教室の空気がおかしい、普通ならここでクラスに一人はいるギャグ担当が質問してきたり誰かしら声をかけてと……と妄想に浸っていると一番後ろの席で座っていたニノが手招きしてくる。



「あぁ席はニノさんの隣でお願いします。あ、気にらないですか……すませんでも本当にお願いします!!」



いきなり担任に勢いよく頭を下げられ渋々テツはニノの隣の席に向かう、生徒達の机の間を歩いている時に不思議と誰も目を合わせようとしない、それどころか進んで目線を外してくる、笑顔で生徒の顔を見ながら進んでるテツが馬鹿みたいに見えてくる。


席につくと朝の連絡か担任が自信なさげにどこか不安そうに連絡事項を告げていた、テツには何の事かわからないのでとりあえず黙って待機、お楽しみはこれからだ。


先生が出ていくと一度大きく深呼吸しテツは待つ……質問を、同級生の何人かが必ずくるはずだ、これは転校生イベントの鉄則と言っても過言ではない、そうくるはずなんだ――



「これからよろしくなテツ」



「あぁよろしくニノ、あれ」



誰かくる所か教室の空気が重い、数人の女子がテツを見て何やら小声で話したり男子に至っては誰も席を立とうとしない、さすがのテツも状況に違和感を覚えふと気付く、それは学園生活と言われ舞い上がって見落としてた大きく致命的な欠点だ。


若者で構成されてる学園にテツはきた、ここは定時制でもなければ夜間学校でもない、そこに33歳のおっさんがいきなり学生服を着て現れ転校生……もはやギャグレベルだ、普通なら先生という立場ならわかるがテツは生徒としてきたのだ。



「あぁ~ニノぉ今からでもいい、実は全てがドッキリで嘘でしたって言ってくれないか」



思い描いてた学園生活は初日で粉々に砕け散ってしまう。


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