外伝最終章
傭兵王ルドルフ。
どの世界にも天才が存在するように荒くれ者の集まりの傭兵界にも一人の天才がいた。強さはもちろんのことだが人望もありカリスマ性もある、初めは小さな集まりから始まったルドルフの軍団は次々に他の傭兵を取り込み気づけば世界一とまで言われていた。
傭兵の仕事を受け部下へ送るというシステムもルドルフが最初に作り今では傭兵達の親会社のような存在になっていた。部下の数は正確にはわからないが、イリア率いるアベンジなどでは比較にならないという事はわかる。
「む、聞いてるのかイリア」
「ぬ、つまりそのルドルフって奴を倒せばいいんだな」
「ハンクやはり今からでもこの戦闘単細胞を帰そう。絶対に話がこじれる」
ハンク、イリア、ユウヤの三人はルドルフの居場所の情報を買い、きてみると村だった。ただ普通の村ではなく子供が訓練用の木刀ではなく、刃剥き出しの剣で打ち合ったり、縄で囲まれたリングで殺し合いしている二人を囲んで大人たちが酒を飲みながら騒いでいる。
家は木造ではなく全てレンガで立てられ武器が必ず備え付けてあった。ユウヤはこの村を見て作った人物は頭がおかしいだろうと思い嫌な予感がした。
「む、あそこか」
村の中でも一際大きい門を見つけて近付くと門番らしき男二人が座りながら酒を飲んでいた。我先にとイリアが近づくと立ち上がり長い槍を突きつけ止めてくる。
「なんだお前……ヒック」
「ヒャハハハ姉ちゃん綺麗だ――ふびい!!」
手癖が悪いもここまでくると癖じゃないなと思うような鮮やかなパンチで門番二人を倒すと固く閉ざされた門を掴み力を入れていく。鋼鉄の門はギギッと悲鳴を上げるとイリアの腕に血管浮かび見事にへし曲げられていく。
「おいハンク。お前本当にこんな女がいいのか」
「む、それは……可愛いじゃないか」
「フハハハ!! さぁ傭兵の王とやらの顔を拝みに行くか!!」
庭に入ると豪邸の全貌が見えユウヤは溜息が洩れる。城までとはいかないが、どこかの貴族の家のように大きく気品が漂って何より庭が家の何倍もある。ユウヤが元いた世界では殺しを生業にしている者でここまでの財を築き上げた者を知らない。
そして当然のように侵入者に対し豪邸から血の気の多い傭兵達が怒りの表情で走ってくる。ここでユウヤの話し合いという計画は全て無くした張本人のイリアが魔剣を抜き構え一振りする。ハンクが止める間もなく目の前に迫っていた五人の傭兵達は肉片に変わり果てた。
「おぉおおおい!! よく聞け筋肉女ぁ!! 俺達はこれから話し合いに行くんだよ!!」
「許せユウヤよ。私はこれが話し合いだ」
「何カッコつけてスカした顔してんだよ!!」
イリアに文句を怒鳴ってるとハンクが豪華な金色の装飾が散りばめられた扉を戦斧でバラバラに粉砕していた。イリアもハンクも今回は鎧はつけてなく、あくまで話合いの意思を伝えようとしたユウヤの計画は砕かれていった。
「む、確かに第一印象は大切だ。舐められないようにしないとな」
「フハハハ!! わかってるじゃないかハンク」
「……もういい。俺は確かに戦闘が好きだ。相手を殺すのも好きだが……お前らほど単純な奴らが羨ましいわ」
家の中は玄関ホールになってあり巨大な階段が二回へ続くシンプルな作りになっていた。壁には何枚かの高級間漂う絵と床は綺麗に清掃されユウヤはどこかの高級ホテルのロビーを思い出す。
階段からは次々に傭兵達は下りてくると問答無用で襲いかかってくるがユウヤが前に出て鞘から刀を抜く。
軽く息を吐き流れるように体を躍らせ、七振りすると数人の傭兵は手を抑え痛みに悲鳴を上げ残った傭兵達は魔法でも見たように固まってしまう。
「こんな事してなんだが、ルドルフに会いにきた。こちらに争う気はない」
「ぬ、よく言う奴だ。聞いて呆れるわ」
「む、確かに。武器だけ狙って攻撃など更に悪質な奴だなユウヤは」
「てめぇらは黙っていろ!! お前らが元凶なんじゃねぇか!!」
当然ユウヤの意見が通るわけもなく次々に傭兵達が集まってくると村にまでいた奴らもきて囲まれる。仲間を殺された傭兵達は殺気だって今にも襲いかかってくる気でいると、イリアもハンクも武器を構えユウヤは眉間を指で抑える。
「くぁ~なんだお前らは」
階段から下りてくる一人の男は下着一枚だけしかつけおらず両脇には美女を抱え現れる。男が現れるとその場にいた傭兵全ては身を引き進路を開ける。
中肉で筋肉の上に脂肪をつけたような体系な男は大欠伸を連発しながら三人に近づく。
「俺がルドルフだ。んで何の用事だ」
髪はオールバックにし青い瞳と茶色の髪で死んだ魚のように暗い目つきの男はルドルフと名乗り、ユウヤは誰より先にルドルフの前にいき刀を収め今度こそ話合いをしようとした。