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十三

「――…ハァッ!!」



鎧も砕かれ骨も何本か折られたハンクはようやく立ち上がる力を取り戻す頃には雨も上がり太陽が照りつけていた。起き上がる動作だけで腹が痛むが戦斧を杖変わりに何とか歩き出すとイリアが頬に肘をつきながらニヤニヤと柱に座っていた。



「ぬ、もういいのかハンク」



「む、平気……ぐぅぉおおおお」



イリアに軽く爪先で脇腹を蹴られると地面に転がり回り痛みを全身で表現すると蹴ったイリア腹を抱えて笑う。



「やせ我慢するなハンク。お前の痛みも私もわかるぞ~いい攻撃だったな」



「む、テツはどうした!!」



「あそこだ」



小さなクレーターのように地面は円形に弾けるようにエグれ、その中心でテツは両手を広げ倒れていた。鼻は潰れ耳から血を流し死んでいると言われても信じてしまう姿に変わり果てていた。



「イリア殺したのか」



「安心しろ生きてる……たぶんな」



座っていた柱から勢いよく飛び起きると腕を組みテツを見てニヤニヤと笑いが止まらなくなる。その強さを認めたハンクを倒し何よりも最強とまで自称する自分をここまで追い詰めたテツに興味が湧いてくる。



「普通ここまでやられればもう二度と戦うなんて思いもしないだろうな」



「お前が戦いの場で情けをかけ相手を殺さないとは気でも触れたか」



「だがも敗北が立ち上がるならば、それはそれは倒しがいのある最高の奴に育つだろうな」



肩を震わせ下唇を舐めるイリアの行動にハンクは溜息を漏らしながら呆れる。戦いに関してイリアは一切の妥協を許さない、だがごくまれに自分が気に行った獲物を泳がせ強くなるまで待つという悪い癖もある。



「ぬ、そーいえばハンクも最初は私の敵だったな。お前は強くなったな~そろそろ私とやるか?」



「今は再び力をつけたベルカや各国の戦いに忙しい。それに俺ももう若くはない、無駄な戦いなど」



「ほほ~う、私と戦い死にかけ命からがら契約者になった台詞とは思えないなぁ~悔しくないのか?]




首筋に血管を浮かばせ歯を噛み締め全力で悔しさをアピールするとイリアはワクワクしたように顔を近付けてくる。かかってこいと言わんばかりだがハンクが大きく息を吐くとイリアも顔を離す。



「ところで確かこいつニノの友人だったな。ハンク、ニノは元気にしてたか?」



「む、まぁ元気いっぱいだったぞ。お前を殺しそうな勢いだったな」



「フッフッハハハ!! 結構じゃないか……さて次の戦場に向かうとするか」



子供がピクニックにいくような足取りでイリアが歩き出すと頭をボリボリとかきながらイリアの補佐役を命じられた苦労人ハンクが後に続く。



「ハンクお前もユウヤから技を学べ、お前は適当な蹴りしか覚えてないだろ」



「~~ッ!! お前の不細工な殴り方よりはマシだ!!」



「ハハ何とでも言え~テツを倒したのは私なのだからな」



子供の口喧嘩のようなやりとりにハンクが我を失いそうになったが踏みとどまり最後にテツに振り返る。酷い怪我だが契約者としての体がすぐに回復してくれるだろう……気づいているのか、契約者はもう人間ではない。化け物と変わらないとい事実に。


最後に一言だけ言い残しハンクはイリアと共に次の戦いに向かう。



「次は負けないからな」



「おぉ~悔しがってる悔しがってる~ハハ悔しいか~」



「黙れ!!」


 

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