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鋼鉄の塊同士がぶつかり使い手の腕や骨に反動を伝え、イリアと学園長を中心に雨粒が外側に弾け飛ぶ。挨拶といわんばかりの小手先無しの単純な力で両者が交わる。


豪音を響かせると互いに再び振り被り二度目の激突で学園長の手は痺れから感覚が無くなっていく。人生を戦いに費やしてきたつもりだが……甘かった。相手は天才な上に契約者、やはり判断は間違ってなかったと笑うとマリアが上から振ってくる。



「ぬ、私と互角で打ち合えるとはな。それにその武器、相変わらずだなお前は」



「喋るなんて余裕ですね!!」



「余裕だ小娘。少しばかり腕が立つとはいえ」



二本の剣から繰り出される斬撃を魔剣で捌きつつ大振りだが当たれば致命的な一撃を繰り出すと、学園長が飛び出し受け止め潜り込んだマリアが下から腹を狙い一突きする。


正確無比な一撃だったがイリアは膝で剣を蹴り上げ回避する。学園長の返しの一撃も華麗なステップで回避し距離をとると学園長とマリアの動きが止まってしまう。



「見ましたか学園長」



「あぁ認めたくねぇが……ありゃテツの動きじゃねぇか」



膝での剣を蹴り上げる行為に何よりも距離をとる時の無駄のない足捌き、一度目にしたら忘れらない動きだ。あんな真似できるのはテツ以外見た事なくマリアが二本の剣を構えながら焦りを切っ先を震わせながら出していく。



「フハハ驚いたか、ある男に教わって使ってみたが……中々便利なもんだ」



「はぁ~テツに感謝だなマリア。見といてよかった」



「そうですね。いくら回避運動に優れても対策などいくらでもあります!!」



一本を地面につけ一本を肩に担ぎ駆け抜けていく。雨で泥まみれになった地面を削るように下からの斬り上げと上からの叩き落としの同時攻撃。無論イリアが間合いに入る前に魔剣の横からの一閃で応戦するが学園長がしっかり受け止める。


二人のコンビネーションに見事と褒めたい所だが目の前にマリアが二本を上下から獣が獲物を噛み砕くように遅いかかってくる。魔剣では大振りすぎて間に合わなく、学園長がその隙を見逃すわけがない。



「貴女の敗因は己の力を過信しすぎた事です。終わりです!!」



上下の連携を叩き込むタイミングと速度も申し分ないが……イリアがそこで奇妙な動きに出る。唯一の武器である魔剣を手放し横に逃げていく。確かにあの超重量の魔剣を離せば身軽なり回避は出来るであろう、しかしマリアには理解できない。


攻撃の手段をわざわざ手放すか? それは負けたも同じと考え見事に空振りしたマリアが視線でイリアを追うと。



「――…ッ!! ゲハッ!!」



脇腹に痛みが走り拳が深く突き刺さると肋骨の悲鳴が聞こえた。イリアが笑顔でマリアの首を掴み戦慄の膝で腹を突き刺すと口から泡を吹きながらマリアは地面に転がり苦痛の声でのたうち回る。


そこにとどめを刺すように腹を蹴り上げると人一人が宙に上がり飛んでいく。それを見ていた学園長は動けない。


イリアは今テツのような異世界の技術を使った。それもテツのような単純に殴るわけではなく、首を掴んで膝を打ちこむ……雨がより一層激しくなる中はイリアは平然と魔剣を拾い笑う。



「これもある男から教わった技だ。どうだ中々の物だろう? さて一人になってしまったな」





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