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巨大な樹木の下でテツは息を整える。剣術に関しては素人なテツだがフェルの桁外れの才能に気づき、流れる汗が冷たくなっていく。


腹に二発……テツが最大のスピードと攪乱で拳を放り込みフェルの頬を霞める瞬間に木刀は二振りされた。脇腹とヘソに喰らい動きが鈍るが即座に離脱し距離を離す。


テツの拳は見切られ始めていた。数回見せただけでフェルはスポンジが水を吸収するように学習し、即座に実行と才能としか言いようのない事をやってのけてきた。



「人間。お前は本当に私がいないと駄目ね」



「……うるせぇ」



木陰に置いてあるパンドラの軽口にも気を回す余裕がない。才能もそうだが更に最悪が積み重なる。フェルの小柄から考えられないほどの怪力、打ちこまれた瞬間に骨の悲鳴が聞こえ体そのものが宙に流された。



「いきます」



木刀をダラリと地面に向かい垂らし一気に駆けてくる。その無防備な姿勢に木刀を持つ逆側に移動し刺すような左を繰り出すと、見事に顔面を捕えるが次の瞬間に死神の鎌のような横殴りの一閃が走る。


モーションが少ない左ジャブのおかげで攻撃後の隙は少なく避けるがテツは精神的に追い詰められていく。



「攻撃後の隙を狙いましたが、なるほど牽制でしたか」



「足を使うボクサーを止める上等手段だな。まぁ対策は出来てるんでね」



軽く飛んでまだまだ行けるぞとアピールするが強がりでしかない。最初の二発で体が宙に浮く打ちこむを喰らってる時点でテツの体力はごっそり奪われていた。鼻血を垂らすフェルの顔はどこか可愛らしいと思うがテツは戦闘開始数分で追い詰められる。


戦闘技術なぞ比べるまでもなく、唯一の有利と思われた体格差は圧倒的な怪力でフェルに分がある。


やれやれと溜息を漏らし肩をすくめると樹木から数枚の葉っぱが落ちてくる。フェルから目を離さないようにしていたが一枚の木の葉が視界をさえぎってしまう。



「だぁあああああ!! ちくしょうが!!」



一瞬木の葉に隠れたフェルの姿は次に見る時には目前に迫り横から木刀が空気を切り裂く音が聞こえてくる。スウェーで避けると目の前の空間が歪むように見えるほどの鋭さで震え上がってしまう。


空振りしたフェルめがけ右の大砲をフルスイングで振り下ろすと、フェルは空振りした勢いを止めず逃走に利用すると見事に避け、残ったのは大きく拳を振り抜いたテツ。



「糞が!! ちょこまかと!!」



「テツさんには言われたくありません」



互いに次の攻撃の動作に移りテツは体の軸を回しフックに、フェルは振る軌道ではなく突く体制に入り――



「いけぇテツ!!」



「フェルさん私のお昼ご飯一カ月分を奪いとってください!!」



観戦者二人の願いは――――片方だけ叶えられた。






「だらっしゃぁああああ!!」



テツは拳を振り抜くよりもある事に優先した。それはボクシングで反則と言われる行為、相手の足を踏みつける事……いきなり足を踏まれ攻撃を態勢を崩したフェルが戸惑った一瞬に叩きこむ。


狙うのは顔面ではなく顎。鋭く振り抜いた拳は綺麗に顎に直撃しフェルの脳は左右に激しく揺らされ意識は闇の中に沈んだ。勝利を確信すると力が抜け座り込むと一気に汗が吹き出す。



「あぁああがぁああああああ!! 立ってフェルさん!!」



女性とは思えない雄たけびを上げて地面を何回も叩く光景に学園長は高笑いし勝利の拳を上げる。テツは腰が抜けたのかそのまま大の字になり木陰に流れる冷たい風の感触で息を大きく吐いた。



「人間、実戦なら負けてたね」



「おっしゃる通り、こいつ本当に人間かよぉ~」



たった数分の戦闘で力を使い果たしのかテツは目蓋を閉じる前に横たわるフェルを見て満足げに眠りに……




「おらぁ雄豚がぁああ!! 授業中に居眠りですかぁ!!」



「ババア!! どこから現れた――あぶぅは!!」




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