三
まだ日が高いというのに教室の気温が一気に下がったように感じテツとエリオを囲んでいた女子達の顔が青冷めていく、今まで馬鹿にしていたフェルの背中が恐ろしく見え足の震えが止まらなくなる。
「やめてください」
繰り返すように言う……別に自分がどう思われようとよかったはずなのにテツが傷つけられる所を見たら自然と武器に手が伸びていた、テツが馬鹿にされ傷つく姿を見ると腹が立ち奥歯を噛め締めていた。
「なな何してるんですかかかか!!」
タイミングよくマリアが教室に入ってくると血を流すテツに膝をつくエリオ、傷だらけの女子達を見て腰を抜かす、マリアはいい先生であろうと今まで努力を惜しまなかったが崩壊されたような気分になる。
おそらく……間違いなくトラブルの元はテツと考え肩の傷口を抑えるテツの肩に足を乗せ見下しながら先生とは思えない顔を見せてしまう。
「何をしたんですかウジ虫、私の可愛い生徒に何をしたか答えなさい」
「あだだだだだ!! てめぇババアふざけんな!!」
「私は何をしたか聞いてるんですよ、命乞いなら後で聞いてあげます」
見かねたエリオが立ち上がると事の事情を説明する、女子達はすっかり小さくなり全てを聞いたマリアは腰に手を当てて大きく溜息をついてしまう、教室に遅れてきた理由もあり仕方なくテツに手を貸す。
わざわざ肩を掴み起こす辺りは容赦なくテツに皮肉たっぷりの笑顔をプレゼントしながら。
「学園長がお呼びです、ここは私に任せて行きなさい」
「ありがと――とよ三十路手前!!」
「パンドラも持っていきなさい、それから女性は歳ではなく外見が美しければ……待ちなさい!!」
パンドラ片手に廊下に飛び出すと角がぶつかってくる、契約者になったせいか武器の言いたい事はなんとなくわかってしまい、これから言われる事に嫌気がさす。
「人間、お前は私の奴隷なの? わかる、お前が負けるという事は最強である私が」
「失礼します」
パンドラの小言を聞かないように足速くに学園長の部屋の前で声を上げて扉を上げると黒いソファーに座りテーブルに足を乗せ変わらずにいた、対面に座ると学園長は拍手をし笑いテツは不快な思いをする。
「ククッまさかお前が本当に契約者になるとはな、ハハッちょっと見せてみろよ」
テツが渋々渡すと新しい玩具を手に入れた子供のように楽しげにパンドラを眺める、テツからパンドラの魔法を聞くと更に笑い遂には腹を抱えて笑い転げてしまう。
パンドラは一応は無言を通してるが契約者であるテツは怒りを感じ嫌になり視線を落とす、今日はついてない……その一言に尽きる。
「お前この国の王様に呼び出されたぞ」
「ん? こんなおっさんに何の用だよ王様は、よほど暇なのか」
「アホか!! 紛いなりにもお前は契約者になったんだ、つまりは強力な戦力になるんだよ!! まぁお前の報告をしたら興味を持ったのもあるが」
知るかと言いたと思い傷口を抑えると痛みがなくなってる事に気づき、傷口周辺を触ると塞がってる事実に驚愕してしまう、驚異的な回復力にテツは嬉しさはなく自分が本当に化け物になった気分になり冷や汗が出てしまう。
「俺は人間だ」と心の中で言い聞かせ学園長に向き直るとパンドラを返してきた。
「ニノはもう向かっているからお前は後を追え、馬車を用意してやる」
「ニノの野郎朝から見当たらないと思ってたら」
「一応言っとくがベルカの王様に気に入られれば金なんていくらでも貰えるぞ、契約者ってのはそれだけ貴重なんだ」
パンドラの取っ手を勢いよく持ち上げ背中に預けると学園長室を出る、我ながら失敗したと反省が時間が立つにつれ込み上がってきた、女子数人を殴り鼻まで潰したんだ……クラスでの立場は絶望的な立場で間違いなし。
反省はするがフェルを思い出すと後悔はまったく感じずテツは用意された馬車に足を運ぶ、この強大な王国の頂点にいるベルカ王に会いにいく。