一
その日の昼休みにテツは何気なくフェルを見る、休み時間というのに黙って座って黙々とパンを口に運んでいる姿はどこか愛らしく後ろから見ていて飽きない。
しかしフェルの後頭部に丸めた紙が勢いよく当たり床に転がりテツは何事かと思い飛んできた方向を見るとクラスの半分の女子生徒がフェルを見て笑っている、最初は理解できなかったがなんとなく察した。
「おいフェルいいのかよ」
「気にしてません、まぁ友達も作らず一人でいればこうなりますね」
クラスどころか学園でも有名な変人四人組……その中でもおとなしく小さなフェルを狙われるのは必然なのかもしれないとテツは考え額に血管が浮かぶ、いくら世界が違っても子供のやる事は大差ない、後日フェルを問いただし話を聞くとテツと知り合う前から続いてたらしい。
テツはなぜ反撃しないと捲し立てたがフェルは何を言ってるといった顔で首を傾ける。
「別に私に被害はありません、それにこんな事で腹を立てては器がしれますよテツさん」
理解出来ないテツ眉間に指を乗せて考える、確かにフェルは器が大きいかもしれないしたかが紙をぶつけられてるだけだ、テツは男子で女子社会の事は知らないし元いた世界でも高校は1年で退学になっているのでフェル本人がいいと言えば――
「おいエリオちょっとこい」
エリオをいつもの屋上に連れていくと柵に背中を預けて両手を乗せてジッと見つめる。
「お前さフェルの頭に紙クズがぶつけられてるの見てきたわけだよな?」
「なんだよいきなり」
「あのさお前フェルの事が好きだよな?」
エリオは臆した、テツの気迫に押し潰されるそうになってしまう、冷たい声色だがそれだけに只ならぬ空気を出し目を細めて見つめられるとすくんでしまう。
「あれは女子の間での事だろ、男子の俺がとやかく」
「あぁ~わかるぞ~エリオ、お前は女子のトラブルに首を突っ込むと自分は嫌われるんじゃないかと脅えているわけだよなぁ」
柵から背中を離し両手を広げまるで演説でもしてるかのようにテツは歩きだしエリオの回りをグルグルと嫌味たっぷりな言葉で歩を勧めていく。
「まぁ気持はわかる、俺だって少しは学生時代は経験してきた……だがな、お前は好きな女の頭に紙クズぶつけられてる姿見てヘラヘラ笑って俺と喋ってた事になるよなぁ」
立ち止まりエリオの肩に腕を回し耳元で囁くように言葉を入れていくと肩が震えだす、さすがにここまで言われたらいつものヘラヘラした笑顔は出さず下を向いて拳を握りしめる。
「フェルがよぉこんな事で怒ってたら器が小さいって言うんだよ、どうやら俺の器は小さいらしいわ……俺がくるまでずっと一人であいつはクラスの女子にいじめられてきたんだぞ」
「どうするってんだよテツ!! 男子の俺らがとやかく言うとこじれるぞ!!」
「ハッハお前はそんな事言ってるから今まで見て見ぬふりしてたんだろうが!!」